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<BCNランキング 2010年上期No.1>エレコム 市場の閉塞状況を打破 下期はより魅力的な製品を投入
2010/09/16 19:55
週刊BCN 2010年07月26日vol.1343掲載
ゲームコントローラ部門 USB部門 スピーカ部門 マウス部門 10キーボード部門 携帯オーディオアクセサリ部門 |
キーボードで
PC以外の用途を提案
商品開発部 部長代理 福良卓二 氏 |
しかし、同社はこの結果に満足していない。福良部長代理は、「市場が価格競争に流れるなかで、上期はユーザーが『これならある程度お金を出してもかまわない』と思っていただけるような魅力的な商品を提案できなかった」と反省。下半期に向けては「面白い製品を怒涛のように出していく」(福良部長代理)という姿勢で臨む。
同社のメイン製品であるマウスやキーボードは、平均単価の下落が進んでいる。「これでは販売店の利益につながらないうえ、ユーザーも面白い製品が手に入らない。業界が滞る一番の原因になっている」と、福良部長代理は危機感を募らせる。同社はPC周辺機器のトップメーカーとして、この閉塞状況を打破する動きに出る。
キーボードでは、PC以外での使い方に注目した。一つは、「スマートフォンでの文字入力にキーボードを使うユーザーが増えている」(福良部長代理)ことから、Bluetooth対応の折りたたみ式キーボードを8月上旬に投入する予定だ。iPhone 4やiPadはもちろん、Xperiaにも対応することで、一般ユーザーだけでなく、マニア層の取り込みも狙う。
売り場では、パネルなどでiPadやiPhone 4で使えることをアピールするほか、iPhone用アクセサリなど、スマートフォン対応の製品に採用する白地にピンクのパッケージで統一し、携帯電話のアクセサリ売り場で展開。スマートフォンとの同時購入や、時間差での購入を見込む。
さらに、Wiiやプレイステーション3などのゲーム機向けキーボードの訴求も強化する。ゲーム機向けはこれまでも販売してきており、2009年夏にラインアップを見直して、パッケージにゲーム機で使えることを大きくうたい、数量を伸ばしている。今夏には、ゲーム機向け製品を赤いパッケージで統一し、ゲーム売り場でアピールすることで、さらなる拡販を目指す。
高耐久ゲームパッドを中心に
ゲーム関連製品を盛り上げる
もう一つの主力製品であるマウスは、価格下落に加え、PC以外での用途提案が難しく、市場の閉塞感は強い。しかし福良部長代理は、「今こそ当社の強みである『提案力』を武器に、価格下落を止めるための努力が必要だと認識している。下期は、ユーザー、販売店ともに満足いく製品を必ず投入する」と、力強く語る。このほか、上期で安定したシェアを獲得したゲームコントローラは、高耐久モデルとして、プレイステーション3に対応する「JC-GMU3312SP」を7月下旬に投入する。高い技術力を誇るアルプス電気製のスイッチを採用したアナログスティックと、200万回の耐久試験をクリアしたボタンを備え、長時間のプレイでも安心して使用できるのが特徴だ。
ゲームコントローラに自信のある製品を投入することで、「ゲーム機向けキーボードやケーブル類など、ゲーム関連製品全体を盛り上げていく」(福良部長代理)という狙いだ。
2010年下期は、スマートフォンやゲーム機など、新たな分野への取り組みを強化していくことで、周辺機器市場を活性化していく。
パソコンの入力装置で、最も重要な地位を占めるのがマウスとキーボード。ここ数年のパソコン市場の拡大に合わせ、販売数量・金額とも年々着実に増加している。とくに、このところ市場を活性化しているキーワードが「無線」だ。現在販売されている製品のうち、キーボードでは約3割、マウスでは約4割が無線接続の製品。安価な製品がばっこするなかで、こうした付加価値製品が徐々に伸び始めている。
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