Special Issue
<ぷらっとホーム特集>革新的な分散ストレージを投入、ストレージプールを「破棄レス」運用
2010/09/09 19:55
「使わないストレージ」を抱えるリスクがない
大容量のデータを抱える企業・団体では、一般的にリース期間が切れる5年程度でストレージ(外部記憶装置)のリプレースを行う。その多くでは、リプレースする初年度に5年程度先のデータ容量増加分を見越し、大きな投資をしてストレージを含めたシステム導入をする。しかし、5年も先のデータ容量を正確に計ることは難しく、ITシステム担当者は、最初から余裕をもたせたストレージ台数を計画・導入してしまうことが多い。いわゆる「使わないストレージ」を抱えて、単に運用コストだけでなく、無駄にCO2を排出する環境負荷も生んでしまうのだ。
経済環境の先行きが見通せないなかで、ユーザー企業・団体は設備投資を控える傾向にある。国内の多くのユーザー企業・団体は、なるべく初期費用を抑制し、「使用率の進捗に合わせて柔軟に拡張ができる安価なストレージがあれば……」と感じているはずだ。こうしたユーザーの声を受け、課題を解決へ導くために、コンピュータ機器メーカーのぷらっとホーム(鈴木友康社長)が開発したのが、「破棄レス」と銘打ったスケールアウト型分散ストレージシステム「CloudStation dSS」シリーズだ。
「CloudStation dSS」シリーズは、写真の3U 16ベイモデル(28テラバイト=TB/1ノード)のほか9月9日にリリースのニーズ別に選択できる2機種(4U 24ベイ:44TB/1ノード、2U 12ベイ:20TB/1ノード)からなる「dSSシリーズ」計3機種と、加えて、8月25日にリリースしたスモールスタート用の「Tシリーズ」1機種「CloudStation dSS T2060」(2U 6ベイ:4TB/1ノード)、がラインアップしている。※いずれも3ノード以上が推奨構成
開発担当の柴田裕信・製商品事業本部技術部部長は、「大学などの研究機関や放送業界などで、増加し続けるデータアーカイブの運用で高い導入効果を発揮することができるストレージだ」と、大容量の実験データや画像・映像などのデータを長期保存する必要がある企業・団体に販路を拡大する。
「マスターノードレス方式」を採用
「CloudStation dSS」シリーズは、既存のストレージプールをリニアに拡張しながら運用を継続できるストレージエンジン「dSS(distributed Storage System) Engine」を搭載し、その全機能を利用できる。「dSS Engine」は、単一のマスターノードをもたず、ノード接続だけで容量やスループットをリニアに拡張できる「マスターノードレス方式」を採用している。柴田部長は「シリーズの異なるモデル同士と混在したストレージプールが構成できるので、これまでアーカイブの長期運用などでは避けて通れなかった機器を入れ替えるときのストレージプールの再構成が不要になる」という。既存ストレージを入れ替えることなく運用を続けられることから、「破棄レス」と銘打っているのだ。同社は、「CloudStation dSS」シリーズを、別名「クラウド型の分散ストレージ」と呼んでいる。例えば、スモールスタート用でストレージ内蔵型のサーバー「CloudStation dSS T2060」を使ってストレージプールを構成すると、利用者からは1台の「巨大なハードディスク」にみえ、どのサーバーにファイルが保存されているかを意識しなくてもいい。
レプリケーション/ファイルベリファイの機能を搭載
従来型の大容量ストレージプールは、巨大な容量を1ボリュームとして利用するには、1台のサーバーヘッドにRAIDを複数接続する必要がある。この場合、容量は増やせるが、別ファイルでマウントするために別管理になり、サーバーヘッドが1台なのでパフォーマンスアップができないなどの課題があった。一方、「CloudStation dSS」シリーズは、IPアドレスを指定するだけで相互のストレージ容量・ネットワーク性能・CPU性能などを通信し合い、クラスタを自動的に最適化するほか、ストレージ容量に余裕のあるノードを選択してファイル単位で保存し、そのコピーを他のノードへ保存する「レプリケーション機能」が備わっている。「すべてのノードがデータベース・マスターとして動作するので、どのノードが故障してもサービスを停止することはない」(柴田部長)のだ。
だからこそ、「ハードウェア単位での冗長化が簡単にでき、増設が容易でパフォーマンスも上げやすい」と、松本知巳・製商品事業本部製品事業戦略部広告・マーケティング課課長。こうしたニーズの高い科学研究機関や、アーカイビング・映像配信などを行うユーザー企業・団体への拡販を目指すという。
もちろん、「CloudStation dSS」シリーズは、運用面でもIT管理者の手を煩わせない。5年リプレース時に問題になるのは、移動したデータをベリファイできるかということだ。
「CloudStation dSS」シリーズは、クライアントからオペレーションがない時間を利用して、約6か月周期で、保存したファイルを定期的に読み込みストレージ障害がないかをチェックする。さらに、ノードにはRAID6のコントローラを実装しているので、ファイルの読み込み処理によってハードディスクにバッドブロック(データの保存に利用できない領域)が発生しているかチェックし、発生していた場合には書き込みデータをリフレッシュする。同社は、スモールスタートを希望するユーザーには「CloudStation dSS T2060」を、科学研究機関や放送業界などに対しては「dSSシリーズ」3機種を勧める。
専門業界に限らず、一般企業でも保存データは大容量化し、リプレース時にストレージ環境の再構築で悩みを抱えている。「CloudStation dSS」シリーズには、大手ストレージメーカーと対等に戦えるほどの革新的な技術を盛り込んでいるので、一般企業にも市場が拡大することが予想される。
同社は9月17日、「大容量データアーカイブの『破棄レス』な運用を実現する最新のスケールアウト型分散ストレージを導入する」をテーマに、東京・秋葉原の本社で、ユーザーを対象にセミナーを開催する。ストレージのリプレースを抱えるユーザーにとっては、要チェックのセミナーになりそうだ。
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外部リンク
ぷらっとホーム=http://www.plathome.co.jp/
「CloudStation dSS シリーズ」=http://www.plathome.co.jp/products/server/cloudstation/dss/