Special Issue

<ライフサイクルマネジメント特集>環境激変! IT資産管理のニーズ高まる

2010/04/28 19:56

週刊BCN 2010年04月26日vol.1331掲載

コア
IT資産管理システムが好調
ユーザー評価高まり、販路拡大へ

武内烈 ネットワークソリューション部
情報資産ビジネスユニット長
 有力SIerのコア(簗田稔社長)が開発するIT資産管理システム「ITAM」が売れている。IT資産の構成をデータベースで一元的に管理するというITAMの特徴を、ユーザー企業が高く評価。販売を担うビジネスパートナーに新たに兼松エレクトロニクスが加わるなど、販路も着実に拡大している。コア自身による直販に加え、パートナー経由の売り上げが増えたことなどが後押しし、10年3月期のITAM関連ビジネスの売り上げは前年度比約2割増に達した模様だ。今年6月をめどに開発を進める次期バージョンでは、クラウド/SaaSや仮想化、64bitへの対応などをさらに強化して、シェア拡大を目指す。

 コアの「ITAM」が売れている秘密は、パソコンなどのIT資産のライフサイクル全体を管理する“構成管理データベース”にある。これを中核にして、管理部門や情報システム部、パソコンなどを設置する業者など、複数の組織でIT資産情報を共有。ライフサイクル全般にわたって統合的にIT資産の状況を無駄なく把握できる点が、高く評価されているのだ。

 パソコンのCPUやメモリー、セキュリティ、ネットワーク構成などのインベントリ情報を収集する仕組みはこれまでにもあったが、ITAMはこれら収集した情報をライフサイクル管理に生かすことに重点を置いている。構成情報データベースを可視化して、ライフサイクル管理に生かすためのユーザーインターフェース「ITAM LCM(ライフサイクルマネジメント)」も充実しており、IT資産管理を通じてコスト削減を強く求めるユーザー企業からの引き合いが増えている。

 大手ユーザー企業からの引き合いも増え、「10万クライアント単位の商談も珍しくない」(コアの武内烈・ネットワークソリューション部 情報資産ビジネスユニット長)と、不況でコスト削減を進めるユーザーのユーズに合致した。

 ITAMの開発はすでに10年近くになり、累計の納入社数は1500社、ライセンス数で100万ライセンス余りに達する。数年前まではコア自身による直販が中心だったが、ここ1~2年は大手SIerや有力ソフト開発ベンダーなどのビジネスパートナーが急増。2009年からは本格的なビジネスパートナー施策を打ち出すに至っている。

 ビジネスパートナーは、昨年度(2010年3月期)に新たに兼松エレクトロニクスが加わって、一次代理店が3社に増えた。既存の住商情報システム、東芝ソリューション、そしてコアを含めて計4社で、およそ30社ある二次代理店を強力にサポートしている。さらに今年1月、製品アライアンスパートナーとしてソフトクリエイトが加盟。ソフトクリエイトが独自に開発したセキュリティ製品「L2Blocker(エルツーブロッカー)」とITAMの連携を始めた。

 L2Blockerは、不正に接続されたパソコンを検知・排除する製品で、ITAMのIT資産管理機能で把握していない未登録パソコン(=不正パソコン)を、L2Blockerの排除機能によってネットワークから強制的に遮断する。セキュリティポリシーが適用されていない未登録パソコンをネットワークから切り離すことで、セキュリティ事故の大きな要因になってるファイル共有ソフトやスパイウェアなどによる情報漏えいリスクを最小化するものだ。

 ITAMは、IT資産管理ビジネスを手がける他のSIerやソフトベンダーなどへのOEM提供も行っており、一次代理店、二次代理店、製品アライアンスパートナー、OEMパートナーの計4系統のチャネルで展開する。

 コアは、今年6月をめどにITAMの新製品「バージョン5」を完成させる予定だ。ユーザー企業のプライベートクラウド構築や、サーバーの仮想化、クライアントPCの64bit化など、IT資産管理のメインターゲットであるパソコン端末を取り巻く環境の変化を先取りするものだ。現行バージョンでもクラウド/SaaSや64bitに対応しているが、「大元となる開発言語から抜本的に見直し、従来のクライアント/サーバー型との互換性を保ちつつ、クラウド/SaaSや64bitへの完全準拠を成し遂げる」(武内氏)と、設計を根本的に見直したメジャーバージョンアップとなる。

 ITAMを使ってライフサイクル管理を行うITAM LCMの新バージョン「ITAM LCM 2010」は、今年9月の出荷を目指して開発を進める。ITAM LCMは、ユーザー企業ごとにカスタマイズすることが多いため、新バージョンではJavaのソフトウェブ部品化の手法を使うことで対応機能を大幅に高め、柔軟で迅速なカスタマイズを可能にする。システム構築を担当するSIerにとって、カスタマイズ性能の向上は納期短縮や生産性向上につながり、ユーザー企業にとってもコスト削減のメリットがある。日々大きく進化するIT資産管理システム「ITAM」から目が離せない。





コア=http://www.core.co.jp/nsp/

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