Special Issue

<期待される企業像2010>イメーション 顧客視点の提案で課題解決 「ソリューション型営業」への変革を志す

2010/04/22 19:55

週刊BCN 2010年04月19日vol.1330掲載

 イメーションは、データメディアを中核に据えたビジネスを展開をしてきた。コンシューマ市場と法人市場に高品質な製品を提供し、市場からの評価も高い。しかし、コモディティ化が進むデータメディアは、価格競争に陥りやすい市場でもある。そこで同社は、営業体制を顧客視点からの提案を行う「ソリューション型営業」へと舵切りを行った。

取締役
コマーシャル製品事業本部 本部長
高橋 秀明
 イメーションは、1996年に3M社から分離独立し、データメディアを核とした各種製品やソリューションを展開している。2007年には、TDKの記録メディアをTDK Life on Recordブランドで展開する権利を取得し、音楽や映像、データなど用途に合わせた新製品を次々と市場に送り込んでいる。

 同社の製品は市場から高い評価を受けており、コンシューマ市場のトップシェア企業を表彰するBCN AWARD でも、昨年はDVDメディア部門、CDメディア部門の最優秀賞に輝いている。

 ビジネス市場でも、LTO Ultriumテープカートリッジを始めとするコンピュータ用テープカートリッジや、CD/DVDの光ディスク、USBフラッシュメモリやリムーバブルハードディスクなどのラインアップを揃え、幅広く展開している。

 「IBMやSUNブランドのコンピュータ用テープカートリッジ、ヒューレット・パッカードブランドの光ディスクの販売業務も行っています。記録メディアを軸に、幅広い製品やブランドで、お客様に対して最適な提案ができるように展開しています」と、高橋秀明・取締役コマーシャル製品事業本部長は業容を語る。

 企業のデータ管理には、長い間、コンピュータ用テープが使われてきた。しかし現在は、ハードディスクの容量あたりの単価下落や、運用・管理を容易にする製品・ソリューションが数多く出てきたことによって、データ管理はハードディスクに移行している。また、高速ネットワークを安価で利用できるようになり、デデュープ技術などで大容量のデータを遠隔地に高速バックアップする体制も整いつつある。クラウドコンピューティングの潮流は、データ管理の環境にも影響を与えているのだ。

 その一方で、旧来のテープの存在感も増している。LTO Ultrium 5は、非圧縮で1.5TB(圧縮時最大3.0TB)のデータを保存でき、データのパーティション管理もできる。WORM(Write-Once、Read-Many)機能や暗号化データの書き込み機能など、重要なデータを保存する最終的な記録媒体として、テープの価値は高まっている。

 「データ管理の環境が大きく変化しているなかで、従来の“物売り”の発想では、お客様にご満足いただける提案はできません。そこで今、当社は“ソリューション型営業”への変革をしていこうとしているのです」と高橋取締役は説明する。

 イメーションには、医療業界でソリューション型営業を行い、成功を収めた実績がある。当初は、医療用画像データを保管・運用するPACS用のデータ管理ソフトウェアを提供していたが、ユーザーニーズに応えて、その範囲を拡大した。現在では、メディカルモニターソリューションや各種ストレージ・ソリューションなど、機器メーカーや医療系ソフトウェアベンダーと協業し、顧客が必要とする製品・サービスを迅速に提供する体制を整えている。

 「医療向けソリューションでの経験を、ほかの市場にも広げていきたい。データメディアを核とした経験やノウハウを生かし、独自の製品・ソリューションの開発をしていきます」と高橋取締役。

 ストレージ市場に目を向ければ、こちらも製品のコモディティ化が進み、他社との差異化は困難。どうしても価格競争に陥ってしまう。「物売り営業」では、この時代を生き抜くのは厳しいが、顧客ニーズを正確に把握し、それに応える「ソリューション型営業」であれば話は変わってくる。

 データメディアの選択や管理・運用、世代交代や廃棄など、データのライフサイクルの各段階での課題は、まだまだ山積している。多くのIT担当者はこれらの課題に悩み、最適な方法を模索している段階にある。イメーションは、これらユーザー企業に対して、課題解決の道筋を示すソリューション型営業を行っていく。これによって付加価値を高め、顧客に対し、バリューを提供できる営業を目指すのだ。

 顧客ニーズに最も適した提案を行うために、他社の製品・サービスを提案することもあるだろう。こうした他社製品の知識が必要になることを踏まえて、同社は営業スタッフのスキル向上をサポートする体制を整えていく。

 高橋取締役に“理想の営業”を聞いた。「お客様に『何かあったらイメーションに相談すればいい』と思っていただけようになりたい。そのために、営業スタッフの教育はもちろん、製品やサービスメニューの拡充も行っていきます。ソリューションで提案する企業として、常にお客様の声に耳を傾けていきたいと考えています」。

 イメーションは、グローバルに展開する企業だ。デファクトスタンダードを見据えつつ、個々のユーザー企業の課題に真摯に応える。そのメリットを最大限に生かし、顧客のデータメディアソリューション活用に貢献していく構えだ。

LTO Ultrium 5 テープカートリッジ
  • 1

関連記事

イメーション、大容量・高速転送を実現したLTO Ultrium 5カートリッジ

イメーション、SMB向けバックアップデータ遠隔保管サービス

【店頭販売奮闘記】イメーション(上) 店員の気持ちになって売り場をつくる

【店頭販売奮闘記】イメーション(下) 米TDKを手本に営業と二人三脚

イメーション BDメディアが5倍以上の伸び 小冊子の展開など販促強化も