「官需」から「民需」への動き加速
小売を中心に業種業務用途向けがカギ

　──それでは、その2009年度ですが、各社では、どんな戦略を打ち出し、どんな実績を上げることができたのでしょうか。

　大澤（ブラザー販売）　A3インクジェット複合機を「ライト用途」として08年末に出荷を開始しましたが、これが発売当初から数量が落ちずに販売台数が伸び続けています。当社としては、初投入したA3機だったのですが、とくに建築業や不動産業で導入が進みました。これら業種に対するプロモーションを展開したことが利いています。

　一方、ページプリンタに関しましては、09年10月に発売した小型で毎分印刷枚数16枚というA4カラー複合機「MFC-9120CN（FAX付）」が、省スペース・高機能が受けて、A4カラープリンタ「HL-3040CN」と一緒に店舗系へ納入が進みました。

　中村（リコー）　09年度は、秋にA3モノクロレーザープリンタの主力機である「SP6000シリーズ」を新製品へ一新しましたので、2010年も、これら新製品を中心にさらに拡販していきます。

　一方、カラー機は「一般OA用途」に関して、カラーのプリントボリュームが抑制される傾向にありました。そのなかで、09年10月以降、一括を含めた案件が出始めてきました。とくに、「業種業務用途」向けで医療や流通などから多くの案件が発生しています。当社では、08年度（2009年3月期）にカラーレーザープリンタの主力機を一新していますので、年度末に向け案件を確保したいと考えています。

　宮西（エプソン販売）　09年5月にプリンタラインアップの低価格機を中心に「オープンプライス」に変更し、「よく働くエプソンの仕事マシン ビジネスを応援する」というコンセプトで複数のキャンペーンやプロモーションを展開しました。お客様に直接、商品価値やお求めやすさを訴求することができたと自負しています。また「業種業務用途」については、文教や官公庁・自治体に対するダイレクトアプローチの活動をさらに強化して進めました。結果として、文教、官公庁・自治体市場における実績は、対前年比で大幅に伸長しています。

　年度末の施策としては、09年12月～10年3月末まで、「お得祭り2010」と題して期間限定のキャンペーンを行っています。ビジネスシーンで必要なプリンタやプロジェクターなどをお求めやすい価格帯で展開しています。このキャンペーンはパートナー様に対する販促支援でもあり、ご理解とご支援をいただくことで商談が増え、多くが成約に結びついています。おかげさまで、レーザープリンタの販売台数は、通期で前年を超える実績になる見込みです。

　岡田（NEC）　09年度上期は、基幹系を含めたIT投資が鈍ったため、モノクロ機の需要が厳しいです。ただ、ようやくここにきて、前年度と同等のベースまできています。当社は、出荷実績に占めるカラー機の比率が低いですが、「モノクロ時々カラー」というメッセージでA3とA4の低価格カラー機を前面に出し、カラー化を促進してきました。その結果、カラー機全体では、上半期が前年同期に比べ1.3倍に達する見込みです。「モノクロ時々カラー」がお客様に定着し、プリンタ販売全体で何とか前年度ベースを維持できそうです。

　松永（キヤノンMJ）　09年度（09年12月期）で特筆すべきポイントは、「業種業務用途」に向けた販売が底堅かった点です。とくに流通系のコンビニエンスストアーで大きな売上を上げることができました。このような店舗用の出力機として当社プリンタの利用が増えています。店舗展開する小売店では、不況になるほど、毎日新しい商材を特価で売り出すためのPOPを出力する傾向にありますので、購入後の使用量も順調に推移しています。

　「一般OA」向けでは、09年に当社として初めて「キャッシュバック キャンペーン」を実施しました。これが非常に効果的で、大手家電量販店などの協力を得て、キャンペーンのコーナーを設けていただくことができました。

　一方、販売チャネル別では、地域で活躍する独立系SIerの力をいただき、1社当たりの導入が10～100台までの案件を多数獲得することができ、これが販売台数増に大きく貢献しました。


・（後編）に続く