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<ソフトウェア資産管理特集>企業は大丈夫か? ソフトウェア資産管理に商機アリ

2010/02/25 19:56

週刊BCN 2010年02月22日vol.1322掲載

アドビ システムズ
SAMパートナープログラムを拡充
トレーニングなど新プログラムを開始へ

 アドビ システムズは、ソフトウェア資産管理(Software Asset Management=SAM)の支援活動を拡充する。パートナーに対するトレーニングやSAM専門コンサルティング会社をくわえて体制を強化するほか、ソフトウェアの棚卸しに関する支援プログラムを展開する中で、パートナーのSAMビジネスを活発化させる。同社は現在、ライセンスの比率を上げる活動を積極化している。このため、SAMビジネスの拡充により、パートナー経由のライセンス販売を拡大する戦略に厚みを加える。

パートナーへ
新たなビジネス機会を創出


ソフトウェア資産管理&
ライセンスコンプライアンスソリューション
シニアマネージャー
宮澤啓一郎氏
 アドビ システムズは2年前の2008年3月、大手企業や公共機関などの組織を対象にソフトウェア資産管理(Software Asset Management=SAM)の支援活動を展開するパートナー向けの「SAMパートナープログラム」を開始した。同プログラムには、現在までに15社が加盟。同社はこのプログラムをこれまでより積極的に展開するため、既存の制度をパートナーが利用しやすいように改定したほか、トレーニングプログラムを充実させた。同時にパートナーを増強することでSAMのソリューション展開の拡大を目指している。

 同プログラムでは、企業や組織内で需要が高まりつつあるソフトウェアの「混在化」や「散在化」の状況を数値で把握したり、ライセンスプログラムを導入してソフトウエアのコストを適正化して、中長期的にSAM体制を構築する方法などを支援・サポートしている。この中では、顧客の体制に応じて最適なSAMを提案する「SAMソリューション」などを提供している。しかし、「ソフトウェアの棚卸しなどをすることで、不正コピーが発覚し、メーカーである当社に知られることを恐れる顧客が多く、パートナーによってはビジネスが成り立ちにくかった」(宮澤氏)という。

 このため、同社では、こうしたメーカーに対して棚卸し情報を開示する心理的なハードルを除去するため、「本来であれば、不正が発覚した時点でエンドユーザーに対し損害賠償の請求となるところを、悪質なケースを除き、諸条件を満たす場合に免責を検討する」(宮澤氏)ことを決め、「このハードルを取り除き顧客の自発的なSAMの取り組みを促す」(同)ことを優先した。エンドユーザーが免責を受けられるケースがあるということによりパートナーは、これまで以上にSAMに対する活動がしやすくなるとともに、違法コピーやライセンス調達不足による売上機会の損失を防ぐことができ、ライセンスビジネスを拡大できると判断したのだ。

 損害賠償を免責するケースがある一方で、同社は、パートナーにプラスαのビジネスをもたらす新たな取り組みを開始する。一つは、同社が提供している組織内にあるソフトウェア資産の棚卸しを支援する「ソフトウェア安心チェック・サポート」などを利用して顧客にライセンスの再点検を実施してもらい、ここで弾き出されたデータを基に、パートナーが新たなビジネスを加える。

 宮澤氏は「ライセンス数が不足していた場合の対応策を含め、コストダウンを視野に入れた効果的なボリュームライセンスの購入計画をアドバイスする」と、この活動を普及させることで、パートナーのライセンス販売を効率よく拡大できるという。また、同棚卸し支援プログラムで再点検をしたあとには、ライセンス管理を容易にするためのコンサルティングを行うことで、中長期的に顧客とビジネス関係を構築できるとしている。

コンサルとパートナーの
連携を加速


 同支援プログラムを活用したソフトウェア資産管理に関するプリセールスとコンサルティング活動を拡大するために、パートナー向けの新たなトレーニングを開始する。同社では、「他にもいくつかある条件のうちの一例として、当社が提供するトレーニングを受けてSAMの知識を習得し、アドビ製品のライセンス販売に関する専門知識を有する『ライセンスマスター』の資格を取得すると、アドビの認定SAMパートナーであることを証明するロゴを付与する」(宮澤氏)。

 これに加え、パートナー体制を拡充する。「SAMパートナープログラム」には、主にソリューション販売を得意とするSIerが名を連ねていたが、ここにリセラーも兼ねるパートナーとSAMコンサルティングの専門会社をそれぞれ加える。宮澤シニアマネージャーは「このプログラムにコンサルティング会社が加わったことで、パートナーは、難しいSAM体勢構築案件でコンサルティング専門会社とアライアンスを組み、ビジネスを広げることができる」という。同社では今後、新旧パートナーと連携して見込み顧客向けの「SAMセミナー」を開催し、SAM案件の発掘も支援する。

 昨年は、石川県庁や奈良市役所、北海道庁などで大規模な「不正インストール」事件が発覚した。これら自治体では、問題発覚後に不足分ライセンス購入費用もあわせ、数千万から数億円単位の和解金をメーカーに支払っている。コンピュータ著作権協会(ACCS)などによると、こうした不正は自治体だけでなく企業や教育機関でも内部告発を受けて違反の発覚が相次いでいる。ライセンス違反は、企業・組織の信用失墜になる。その一方で、ソフトウェア資産管理を適正化することは資産の有効活用とコスト削減につながる。

 宮澤シニアマネージャーは「当社のSAMプログラムに参加することで、顧客のソフトウェア資産状況を把握することができる。これにより、他のソフトウェアメーカーのライセンス管理も視野に入れた資産管理ツールの販売、コンプライアンス遵守やコストダウンにつながるライセンスプログラムの提案等、さまざまなソリューションを付加する機会が増える」と話す。アドビ製品を導入していない企業や自治体は少なく、同社のSAMパートナープログラム加盟を契機に、新たなビジネス機会を得ることができそうだ。




アドビ システムズ=http://www.adobe.com/jp/

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