Special Issue

<クラウド&ホスティング特集>サーバーホスティング 技術革新の波が押し寄せる

2010/02/25 19:56

週刊BCN 2010年02月22日vol.1322掲載

さくらインターネット
スケールメリット生かしたサービスで企業のビジネスを支援
クラウドでニーズ高まるホスティングサービス

 データセンターサービスにおいて、ホスティング、ハウジングのほか運用・保守など高付加価値サービスを提供するさくらインターネット。一昨年ごろから盛り上がるクラウド・コンピューティングの潮流により、ホスティングが脚光を浴びているなか、スケールメリットを生かした、高品質で安価なさくらインターネットのホスティングサービスが脚光を浴びそうだ。

クラウド潮流で
大企業の利用が加速へ


田中邦裕社長
 さくらインターネットは1996年にサービスを開始したホスティング事業者。月額125円からという破格のホスティングサービスの展開により、利用者数が20万人を超えるほどの急成長を遂げている。

 以前は中堅・中小企業(SMB)が、ウェブサイト運営やウェブメールなどの用途で利用することが多かったというホスティングサービス。ここにきて、インフラを自社保有するのが主流だった大企業への採用が進んでいるという。さくらインターネットの田中邦裕社長は「ホスティングはこれまでニッチな分野として、利用用途も限られていました。それが、クラウド・コンピューティングという大きなトレンドが広がったことで『利用する』という抵抗感が払拭されてきたこともあり、大企業に広がってきました。また、営業支援システムや、販売管理システムといった業務アプリケーションをSaaSで利用するために採用されるなど、その用途も広がりをみせています」と現状を話す。

 SMBにおいても、これまでは自社保有ができない企業がホスティングを利用するという傾向にあったが、税制改正によって、リースであっても資産に計上しなければならず、税務上のメリットが減少していることから、さらにホスティングサービスの利用が加速しているという。ホスティングに目を向けなかった企業が利用者し始めたのだ。今後はさらなる市場の広がりが期待でき、ホスティングは“ニッチ”から“スタンダード”へと、その立ち位置が変わろうとしている。

 市場が大きくなるにつれ、競合プレーヤーも増え始めている。そんななか、「安かろう悪かろう」で品質の伴わないサービスを提供する事業者がたくさん存在することも実際のところだ。

 一方、さくらインターネットの強みは、13年間、ホスティングサービスをけん引し、先行者利益としてのスケールメリットをもっている点だ。同社では、インフラからサービスまでをすべて1社単独で企画・開発し、自らが販売することで、顧客企業にコストメリットを提供できるだけでなく、十分に採算ラインに載せることができる仕組みをもっている。スケールメリットの一例を挙げると、iDC向けのバックボーンでは大手通信キャリアをも超える国内最大級の回線総量を保有している点だ。これにより、インフラに制約されることなく、自由度の高いサービスを企画し、顧客企業に提供できるのだ。

 単に安価であるだけでなく、品質の高さにも定評がある。「回線が非常に太いということは、一般的なiDCでいわれているような、通信速度が遅いというストレスがまずありません。また月額125円からのレンタルサーバサービスには、電話サポートが付いているほか、24時間365日の有人監視により、万一、サーバーがダウンしたとしても、ダウンタイムを最小限に留めます。品質面・セキュリティの取り組みだけをみると、ISO27001(ISMS)やプライバシーマーク認証を取得するなど、一般的に要求されるものにはきちんと応じたうえで、低価格を実現しています」(田中社長)と強みを語る。

パブリックと既存サービスで
ユーザーの『すぐ』に応える


 今後は、データセンター、ネットワーク、サーバーといった3要素のコストパフォーマンスをさらに向上させるとともに、一般企業におけるシステム運用・管理面での負担を減らすサービスを提供するというように、費用対効果と高付加価値の両輪を回していく。これにより、他社よりも低コストなオペレーションを実現し、安価なサービス提供を通じて、高い利益を上げることができる仕組みを積極的に展開する方針だ。同社はデータセンターサービスとして、引き続きホスティング、ハウジングに加え、運用・保守面で高い付加価値を提供するマネジメントサービスの三つを成長の柱にしていく。

 スケールメリットを生かした、安価で品質の高いサービスはクラウド時代の到来により、さくらインターネットはさらに訴求力を増しそうだ。同社はGoogleやAmazon.comなど、パブリッククラウドのリリース準備と、既存サービスのブラッシュアップという二つのアプローチから、クラウドに取り組む姿勢をみせている。これまでは、顧客がサービスインするまでにほぼ2~3か月のリードタイムを要していたが、Amazon.comのようなクラウドにあるサーバーの場合、すぐに利用できるメリットがある。「『すぐ』とは人によって、感覚が違います。リードタイムについて顧客とシェアし、例えば1~2週間後に利用したい場合には当社の既存サービスで十分価値を発揮できます。ただ1分後に準備するとなると、不可能です。その場合はパブリッククラウドの展開というところでニーズを汲み取りたいと考えています」(田中社長)。

 同社の売り上げの中心は直販だが、案件ベースで同社のインフラを利用し、アプリケーションやウェブ制作を提供する販社も存在する。田中社長は「販社の方にはコミッションできない分、色々なメリットを提供したいと思っています。さまざまなアプローチにより、柔軟な対応ができるのではないかと考えています」と語った。





さくらインターネット=http://www.sakura.ad.jp/

外部リンク

HOSTING-PRO 2010