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エーピーシー・ジャパン 高性能・低価格UPSでシェア1位獲得 今後は新機能やグリーンITで差別化

2010/01/28 19:55

週刊BCN 2010年01月25日vol.1318掲載

 企業では事業継続の観点から、また個人では落雷や停電のリスクからデジタル家電のデータ保護に対する意識の高まりを背景に需要が年々拡大しているUPS(無停電電源装置)。  BCN AWARD 2010のUPS部門でNo.1を獲得し、UPS市場でトップを走るのがエーピーシー・ジャパンだ。サーバーやデータセンター(DC)向けなど、法人市場で実績を積んだ同社は、中小企業や個人向けの小型UPSで高性能な製品を低価格で提供。ユーザーから高い評価を集めている。市場拡大の背景や自社製品の強みや戦略について、中澤吾一・小型UPS事業部リージョナルプロダクトマネージャに聞いた。

UPS部門

サポートにも注力、さらなるブランド力アップも

需要高まるUPS市場で
高性能・低価格を原動力に


小型UPS事業部
リージョナルプロダクトマネージャ
中澤 吾一 氏
 UPSは地震や落雷や停電など、突然の電源障害からIT機器を保護する役割を持つ。これまではPCやサーバーで利用されることが多かった。中澤マネージャは「HDD内蔵の薄型テレビやレコーダーなどのデジタル家電が普及し、家庭でもデジタルデータを扱うことが身近になったことで、かけがえのない画像や映像を停電などによるトラブルで失いたくないという人が増えています。また、ブロードバンドに常時接続するPCが一般的になり、ここでも大事なデータをなくしたくないという方が多い。こうした需要でUPSの利用が広がっています」と、UPSが普及した理由を説明する。

 エーピーシーでは、データセンター(DC)などの大規模設備からPCまで対応する幅広いUPSのラインアップを揃えるが、ニーズが高まる市場に向けて、高性能で手頃な価格の小型UPSを提供。トップシェア獲得の原動力になった。

 とくに人気を集めたのが「APC ES 500」「SurgeArrest 雷ガードタップ+電源バックアップ」だ。「APC ES 500」は容量が500VAの長寿命バッテリと自動シャットダウンを行うUSB対応の電源管理ソフトを搭載。信頼性と高い性能を誇る。個人だけではなく中小企業やSOHOと幅広いユーザーに利用されている。一方、「SurgeArrest 雷ガードタップ+電源バックアップ」は雷ガードと電源バックアップコンセントを2個ずつセットにした機種。UPSのエントリーモデルとして人気を集めた。

 「2機種ともに高い信頼性をもちながらお求めやすい価格で提供したことが大きかったと思います。また、当社はサーバー向けUPS市場でもトップシェアを獲得しており、信頼性や安心感といったブランド力があります。こうした点もお客様から支持される大きな要素になっていると思っています」と中澤マネージャは分析する。

グリーンITをキーワードに
高機能で使いやすい製品を展開


UPS部門
 エーピーシーでは2010年のトップシェア獲得に向け、ブランド力に加え、他社にはない機能を搭載した製品を開発して提供する製品戦略を掲げている。

 その第一弾となるのが「APC RSシリーズ」。使いやすさや節電、電圧管理に工夫を凝らしたUPSだ。使い勝手の面では製品の前面に液晶ディスプレイを搭載。充電や過負荷状態、接続機器の消費電力を表示。UPSの状態が一目で分かるようにした。

 「今までのUPSは稼動状況がわかりにくいものが多かった。今回、モニター表示機能でUPSの状態がすぐにわかるようにすることで、利便性を向上させました」と中澤マネージャは狙いを話す。

 節電には「マスタ連動コンセント」機能を導入。主コンセントのマスタコンセントにつないだ機器が電源オフやスリープモードになると、周辺機器などをつなぐマスタ連動コンセントも合わせて電力の出力を停止。待機電力を削減する。電圧管理では「AVR(自動電圧調整機能)」を搭載した。バッテリの電圧の上昇や下降を修正して常に安定した電圧で出力する機能で、安定した利用はもちろん、バッテリの寿命を延ばすこともできる。これまで高額機種では搭載してきたが、「今回、低価格帯モデルのさらなる高機能化ということで搭載しました」と、中澤マネージャは語る。

 マスタ連動コンセントについては今後、他の機種にも拡充していく予定。節電や環境対策につながる「グリーンIT」に対応する製品として展開することで他社との差別化を図る方針だ。

 一方で、「UPSを知らない方もまだまだ多いので、地道な啓発活動を行っていく」(中澤マネージャ)考えだ。一般のユーザーに対しては展示会などに出展することでUPSへの認知度を高めていく。プロモーション活動は直販サイトでも展開。サイトに来るユーザーはエーピーシーのことを知っている場合がほとんどだが、「製品をもっと知ってもらうようにして、ブランド力をさらに上げていきたいと考えています」(中澤マネージャ)。

 同時に、サポートも拡充していく。同社ではユーザー向けには保証登録をした人を対象に製品やキャンペーン情報などの提供サイト「Club APC」を開始。販売店向けの顧客管理サイトも10年に開設する予定だ。サイトでは販売店がユーザーの購入した製品の一覧や保証登録などの情報を一目で確認できるようにする。

 さらに、UPSの使用済みバッテリを無料で引き取るサービスのPR活動にも力を入れていく考えだ。「UPSは鉛のバッテリを使っており廃棄などに費用がかかるため、こうしたサービスを知ってもらうことで、より多くの方に購入していただけると思っています」と、中澤マネージャは話す。

 高機能と優れた使い勝手を追求した製品を手頃な価格で提供するという基本は継続しつつ、ユーザー視点に立ったサポートの展開も加速するエーピーシー。同社のこうした姿勢は高いブランド力と相まって、需要の高まる市場でこれからも多くの支持を集めていくだろう。

(左から)APC ES 500、SurgeArrest 雷ガードタップ+電源バックアップ、APC RS 550


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外部リンク

エーピーシー・ジャパン=http://www.apc.com/jp/