Special Issue
マイクロソフト 「Microsoft Innovation Award 2009」開催 「企業市民活動」として優秀なITベンチャーを表彰
2009/12/24 19:55
週刊BCN 2009年12月21日vol.1314掲載
最優秀賞受賞企業
ワンビ「TRUST DELETE」
ワンビは、サイボウズやトレンドマイクロなどのソフトメーカーでマーケティング業務に従事した加藤貴氏が、2006年に設立した。
主力ソフト「TRUST DELETE」では、PCに保存されているデータを、遠隔地から消去できる機能を提供する。PCのHDD内に保存されている個人情報などの機密データを、消去対象データとして事前に設定。PCを紛失・盗難被害にあった際は、サーバーから消去指示を出すだけで、対象データを消去できる。
パッケージでの販売からスタートし、その後OEM提供を始め、企業向けサーバー製品も用意した。OEM提供先にはKDDIやNECパーソナルプロダクツなどの有力ITベンダーが名を連ねる。ユーザー数は合計で20万クライアントを超えており、右肩上がりで成長する。
加藤社長は、今回最優秀賞を獲得できた理由をこう分析している。「誰も手がけていない領域にチャレンジするのが、ワンビの方針。事前対策のセキュリティ対策製品は数多くあるが、盗難・紛失事故が起きた後に情報漏えいを防げるソリューションはほかにはないはず。そういった先進性が評価を受けたと思う。また、マイクロソフトのテクノロジーで長く開発しており、その経験もポイントだったのはないか」。
今後は、マイクロソフトのクラウド技術「Windows Azure」への対応で、クラウド事業にも参入する計画。最優秀賞を弾みに一気にビジネスを拡大させようとしている。
加藤貴社長 |
優秀賞受賞企業
三三「Link Knowledge」
2007年設立の三三が開発・販売する「Link Knowledge」は、名刺管理を切り口にしたSaaS型CRMサービスだ。スキャナで取り込んだ名刺を、Web上に保管してデータベース化。商談などの履歴や人脈情報を付加することで、単純な名刺管理ではないCRMシステムを提供し、顧客情報の有効活用を支援する。サービス開始から約1年半で、約250社のユーザーを獲得した。
開発は「.NETベース」で、Windowsアプリとの親和性が高いことを理由に、マイクロソフトベースの開発環境を整えている。寺田親弘社長は、「マイクロソフトのテクノロジーを活用することが、競争力の維持につながっている。今後もテクノロジーリーダーであり続けてほしい」と説明。次の成長に向けて準備を整えている。
寺田親弘社長 |
優秀賞受賞企業
スカイフィッシュ
「リアルナレーターズ with JukeDoX」
視覚障碍者向けソフトを開発・販売するITベンチャー、スカイフィッシュ。今回受賞の決め手になった「リアルナレーターズ with JukeDoX」は、「PowerPoint(PPT)」のスライドショーを自動ナレーションするソフトウェアで、2009年6月に発売した。
大塚雅永代表取締役は、「『IT利用の障壁を下げる』という企業理念と、『OpenXML』に取り組んで具体的なソリューションを出した点を評価してくれたのではないか」と受賞を喜ぶ。
今後の展開について、「Windows 7」のマルチタッチ機能や、「Silverlight」に強い関心を示しており、これらの新技術を製品開発に生かすつもりだ。将来的にはクラウドコンピューティング上での稼働も視野に入れており、バージョンアップと提供形態の多角化を進める。
大塚雅永代表取締役 |
優秀賞受賞企業
マジックチューブ「WallThrough」
2006年設立のマジックチューブは、ユニークなUI(ユーザーインターフェイス)技術を持つITベンチャーだ。「WallThrough」は、「部屋の窓から外の風景をみる感覚で、カメラを通じて遠隔地の風景を見られるテクノロジー」(向井真人代表)。カメラの前で右に移動すれば、左側の風景をみることができ、しゃがみこむと上の景色を見られる。カメラから遠ざかったり近づいたりすることで、視野が狭くなったり広くなったりもする。
向井代表は、「世の中にない新たなテクノロジーを生み出した点が評価を受けたのではないか。『WallThrough』の技術は、医療や教育機関などの分野に応用できるので、マイクロソフトが持つさまざまなチャネルを活用していければと考えている」と、マイクロソフトとの関係強化に意気込む。
向井真人代表 |
優秀賞受賞企業
リトルアイランド「クローンロボット」
リトルアイランドは、Windowsベースのロボットを開発したことが評価された。PCと同じCPUボードを搭載して、「Visual Studio」で開発されたプログラムが「Windows XP」上で動作。人が発した言葉を認識して、それに合わせた受け答えを、身振り手振りを交えて展開する。
ロボット開発では、Linuxなどのオープンソースソフトウェア(OSS)を取り入れるケースが多いが、「アプリケーションを効率的に開発するための最良のプラットフォーム」だと考え、マイクロソフトベースのロボット開発に力を注いでいる。
小池浩昭代表取締役は、「まだまだ発展途上だが、社会に貢献できるロボットを開発していきたい」と話し、マイクロソフトの新技術を取り入れたロボット開発を進める姿勢を示す。
小池浩昭代表取締役 |
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