Special Issue
<セキュリティソリューション特集>根強いニーズの「内部統制」 ぜい弱性対策には新しい動き
2009/12/17 19:56
週刊BCN 2009年12月14日vol.1313掲載
景気に左右されずに伸びる
IDC Japanによれば、2008年の国内セキュリティソフト市場規模は1911億円(前年比5.5%増)と拡大している。09年は4.4%の成長率と予測。この厳しい市場環境のなか、セキュリティ関連の製品・サービスは伸びる商材になっているわけだ。また、IDC Japanでは08年から13年までの年間平均成長率を4.3%としており、13年に2358億円にまで膨れ上がると分析している。
これは、ユーザー企業のセキュリティに関するニーズが依然として根強くあるためだ。なかでも、内部統制関連の製品・サービスの導入意欲はますます高まっている。例を挙げれば、アイデンティティ/アクセス管理ソフト市場は、内部統制の効率化実現の需要が増えることにより、08~13年の年間成長率が3.6%になると、IDC Japanではみている。ぜい弱性管理ソフト市場は、ログ管理製品を中心にニーズが高く、年間平均成長率は9.3%。厳しい経済環境にもかかわらず、水面下に需要が眠っているわけだ。
確かに、情報漏えい事件が相次いでいる実情を踏まえると、内部のセキュリティ対策を強化したいと考えるユーザー企業が多いはずだ。さらに、セキュリティ対策で課題として挙がっているのが導入後の業務効率化である。セキュリティソリューションを導入したことによって、業務が煩雑になるというケースもあるようだ。内部セキュリティには万全な体制を敷かなければならないが、コスト削減も視野に入れる必要がある。業務効率の低下を防ぐセキュリティ関連の製品・サービスを求める声が多いということだ。
業務効率化についていえば、ユーザー企業のシステム担当者が管理・運用するうえでの簡便性を追求した製品が市場投入される動きがある。加えて、ユーザー企業の社員が活用している統合的なコラボレーションツールやグループウェアなどとの連携で社内の電子メールをアーカイブできるといったフィルタリングソフトも登場している。ユーザー企業にとっては、強固なセキュリティ対策を実現できるようになるわけだ。
このように、需要がますます増えている点や、メーカーによる新しい製品・サービスの発売で、セキュリティ関連販社にとっては大きなビジネスチャンスを生むことにあるといえよう。一方、競争が激しくなることが予想されることから、売る側にとっては、いかにユーザー企業の声を収集して、適した製品・サービスを提供できるかにかかってくる。
携帯電話関連が有望
また、最近では携帯電話向けサイトのぜい弱性が問われつつあり、診断サービスの提供が拡大する可能性を秘めている。簡単に“成りすまし”されてしまうなど、携帯サイト独特のぜい弱性が問題になっているためだ。そうしたことから、携帯電話もパソコンと同じように診断結果を踏まえたうえでのセキュリティ対策が必要と考えられるようになってきているのだ。
しかも、携帯電話の法人契約が増えている状況。ユーザー企業がモバイル関連の製品・サービスを導入する傾向が高まっていることからも、携帯電話を切り口としたセキュリティ対策の提案も需要を掘り起こすカギを握るといえそうだ。