Special Issue
<アイ・オー・データ機器×マイクロソフト特別対談>「Windows 7」の登場で真の「デジタルライフ元年」迎える
2009/10/29 19:55
週刊BCN 2009年10月26日vol.1306掲載
Vistaの課題、最大限改善 簡単、軽快、目の前に!
――「Windows 7」は前OSの「Windows Vista」に比べ大きく何が変わりましたか?
堂山 「Windows 7」は「使う側」のニーズを聞いて作り上げたOSということが最大の特長でしょう。PCを使って「使いやすい」あるいは「使う側」で「満たされていなかった機能を満たす」ことを最重点に置いて開発し、「Windows Vista」の悪い部分は最大限改善しています。
――具体的には「使う側」にとって、どんなメリットをもたらすOSになりましたか?
堂山 PCが発展していく中で“パソコン・オタク”だけではなく、お母さんや子供たちなどを含め、幅広い層でPCが使われるようになりました。こうした層に対し、これまで以上にシンプルに使っていただけるOSへと変貌を遂げました。
「Windows 7」では「あなたとPCに、シンプルな毎日を」というテーマを大きく掲げました。PCを抵抗なく、いろんな場所で、誰もが気持ち良く使ってもらいたい。それらを性能面、機能面、ユーザーインターフェイス面で改良したものが、「できること、簡単に。」「やりたいこと、軽快に。」「新しいこと、目の前に。」というコンセプトに反映されています。
――「Windows 7」の関連市場をどのように早期に立ち上げますか?
堂山 「Windows 7」を展開する中で最も重要視していることは、PCがいろんなモノ(周辺機器)につながっていくということです。テレビやデジタルカメラなど、あらゆるデジタル機器につながり、その中心になれるのが「Windows 7」というOSの特長です。そのため、PCと周辺機器などを組み合わせれば「こんな『デジタル・ライフスタイル』が実現できる」というマーケティングを展開してきました。これにより、多くのメーカーさんに「Windows 7対応ロゴ」を取得していただくことができました。このロゴを付けた製品が広がることでブランドが高まり、ユーザーに安心して購入できる機会をつくれ、市場を早期に立ち上げることができると思っています。
デジタルライフ拡大のチャンス 関連で300製品を揃える
――堂山さんが言うとおり、「Windows 7」は、過去のOSに比べ開発コンセプトや機能も大きく変わりました。周辺機器メーカーにとって、関連のIT機器を拡販するチャンスですが、どのような期待を抱いていますか?
細野 「Windows Vista」のキーワードは「プレミアムデジタルライフ」でしたが、これは「Windows 7」が発売された今でこそ、ピッタリくるキーワードだといえます。
「Windows Vista」が出た当時も、周辺機器メーカーとして期待をいたしました。しかし、2008年頃から低価格PCの「ネットブック」が普及し、世の中がローコスト化やシンプル化という流れになりました。その1年前に登場した「Windows Vista」は正直、ハイエンドPC向けのOSという印象があります。
アイ・オー・データ機器 細野昭雄 代表取締役社長
ところが、今回の「Windows 7」は、堂山さんが仰ったとおり、幅広い層へデジタルライフを広げるチャンスです。関連メーカー全体で盛り上げるべきOSだと考えます。当社ではいち早く動作検証し、対応状況を公開するだけでなく、マイクロソフトの「Windowsロゴプログラム」に参加しユーザーに安心感を与えたいと考えています。
――具体的には、どのようなラインナップを用意していますか?
細野 主力製品、新製品を中心にすべてのカテゴリで合計300製品以上の対応(対応予定を含む)を発表しています。さらにその中でも「Windows 7」の新機能に対応した以下3製品は、新OSの出荷と同じタイミングで市場に投入します。
・「マルチタッチ機能」対応 フルHD液晶ディスプレイ
・ 「Windows Media Center」対応デジタル3波TVキャプチャ
・ 「セキュリティ(BitLocker To Go)」対応USBメモリー
特に、「マルチタッチ機能」に対応したフルHD対応タッチパネル液晶ディスプレイ「LCD-AD221FB-T」(21.5型)は、期待の大きい製品です。Windowsを指で操作できる新しい入力デバイスですので、マウスやキーボードが不要となり、高齢者や子供でも手軽にWindowsを使えるようになります。ユーザーの裾野を広げるとともに、学校現場や受付窓口など利用用途も広がる製品だと思います。
――これらの次に期待を抱いている分野・製品は何でしょうか?
細野 やはりエンターテイメントということでデジタルテレビ関連ですね。「Windows Media Center」で地上デジタル/BSデジタル/110度CSデジタル放送が視聴・録画できるようになりましたので、これに対応するTVキャプチャを製品化しました。PCI Express接続、USB接続の3波キャプチャに加えて、「Windows Media Center」用のリモコンも用意し、テレビと遜色なく「パソコンでテレビ」を実現する環境を提供します。また、高速化を実現する「ReadyBoost」とファイルの自動暗号化を行う「BitLocker To Go」に対応したUSBメモリーも提供開始しました。
さらに「センサーAPI」を組み込んだ人感センサーを開発中です。この人感センサーとは、不在時に液晶の電源をOFFにするデバイスで、法人向けマーケットに投入してまいります。
これらの「Windows 7」の新機能に対応した製品で、一気に市場を盛り上げたいと考えています。
真のデジタルライフ実現に向け 業界内で連携を
――本当の意味でのプレミアムな「デジタルライフ」環境が揃うということですね。
細野 「新たなデジタルライフ」を実現するために、マイクロソフトさんと国内のIT機器メーカーらで3年前より「WDLC(Windows Digital Lifestyle Consortium)」というコンソーシアムを創設し協調を始めました。「Windows 7」が登場し、特に当社では「ホームネットワーク」の分野で、NASと「Windows 7」の新機能である「リモート再生」を組み合わせることで実現する、より便利なデジタルライフを提案しています。「Windows 7」でPCとテレビがつながり、PCからの操作によりNASに保存した映像がテレビで観られるようになります。
堂山 細野さんが仰ったとおり、これは当社にとっても面白い試みと見ています。アイ・オーさんが提供する機器などによって「Windows 7」と周辺機器で、本当の意味で家の中の「デジタルライフ」が変わってくるでしょう。
――「デジタルライフ」を実現し、市場全体を盛り上げていくために双方ではどのような施策を考えていますか?
堂山 「周辺機器」と一般的には表現していますが、それはいまやネットワーク上でパソコンと一体になっています。「使う側」の思いをすぐ実現できるようにハードメーカー側で機能を埋め込むことが求められてくるでしょう。当社を含め、これをどう盛り上げていくかが大事と考えています。
特に、「マルチタッチ機能」対応液晶は感覚的に操作できるので周辺機器を身近に利用いただけると思いますし、このあたりが市場を盛り上げていくキーになります。当社で機器を作ることはできません。アイ・オーさんのようにOSを積極的に活かし製品化していただければ、当社の「デジタルライフ」への思いが市場に伝わることでしょう。
細野 ある部屋の限定した場所ではなく、いろんな場所で「デジタルライフ」を楽しんでいただく機会を設けるため、インフラやインターフェースの選択について、メーカー各社が悩んでいます。マイクロソフトさんには、機器間だけでなくメーカー間をつなぐ役割を果たしていただきたいと思います。
当社は「Windows 7」をより快適にする周辺機器を投入し、マイクロソフトさんとともに業界全体を盛り上げていきたいと思います。
――本日はありがとうございました。
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