Special Issue

SIerをパートナーに飛躍するセイコープレシジョン株式会社

2009/10/14 19:55

 ITとネットワークの関連機器を開発するセイコープレシジョンが、今年3月、画期的なロードバランサーを市場に投入した。1台で障害時の通信を確保する独自開発の「フェイルスルー機能」を搭載し、1Gbps(ギガビット)イーサネットへの対応を実現した「SX-3640 LBH」を発売したのだ。“停まらないネットワーク”を掲げるデーターセンターのニーズに応えるほか、低価格を売りにSMB(中堅・中小企業)への拡販を図っていく。新規顧客の開拓に向けて重視するのは、SIerなどを販売代理店として確保すること。競争が激しい国内ロードバランサー市場で大きく飛躍しようとしている。

国産を強みに画期的なロードバランサーを市場投入


ロードバランサーが1.5倍に伸張

 セイコープレシジョンは、各業界に特化したITシステムを豊富に揃え、多くのネットワーク関連製品を開発している。顧客のニーズに最適なシステムや製品・サービスを提供していることで高い評価を得ており、とくにネットワーク分野では、外資系メーカーには真似のできない手厚いサポートで顧客満足度の向上を図っている。ロードバランサーに関しては、投資対効果の高い価格設定を売りに事業を拡大。システム事業部ソリューション営業部ソリューション営業2課の菊池一弘課長は「昨年度(09年3月期)は、ロードバランサーの販売が前年度の1.5倍に伸びました」と胸を張る。

 1980年代にはすでに通信プロトコルコンバータを販売していたなど、同社のネットワーク関連事業の歴史は長い。ロードバランサーを手がけたのは、5年ほど前から。外資系メーカーの参入が多く、競争が激しいネットワーク業界のなかで、「小回りの利いたビジネスを展開しています」と菊池課長。顧客のニーズにマッチしたユニークな製品を投入し続けていることが、継続して顧客を確保・拡大してきた最大の理由だ。

差異化技術「フェイルスルー機能」

 SMBを中心に多くの顧客を獲得し、ネットワーク業界で確固たる地位を築く同社が、ロードバランサーの主力製品として発売したのが「SX-3640 LBH」だ。

 「SX-3640 LBH」は、中小規模のウェブサイトに最適な製品に仕上がっている。1Gbpsイーサネットに対応し、クライアント側からのリクエストを最適なサーバーに振り分ける負荷分散や、関連するリクエストを同一のサーバーに振り分けるセッション維持、サーバーの運用状況を監視するヘルスチェックなど、基本的な機能が充実している。最大の特長は、障害時の通信を確保する「フェイルスルー機能」。この機能で、1台の運用でも特定サーバーとの通信を確保するというミッションクリティカル性を追求している。

 システム事業部ソリューション開発部NP開発課の大和田俊幸主事は、「当社だけの独自機能です」と強調する。2台を接続すれば、冗長化構成によるフェイルオーバーも可能となる。価格は80万円と、他社より圧倒的に低く設定。「他社製品からのリプレースを促していきます」と、菊池課長は自信をみせる。「現在、ASPなどを提供しているデータセンターを中心に顧客を開拓しています」(菊池課長)。



販売網のさらなる拡大へ

 この戦略的な製品は、SMBにも拡販を仕掛けていく。そのため「販売パートナー様との確固たる協業関係を築き上げていきます」と、菊池課長は強調する。具体的には、SIerとのパートナーシップを深めることで、多くのソリューションをラインアップ化。多様なニーズに対応していく方針だ。販社への支援強化に向け、「プログラムの策定なども検討しています」と、菊池課長は打ち明ける。

 同社では、3月の「SX-3640 LBH」に加え、6月には下位機種「SX-3220 LB」を発売。1Gbpsイーサネットには対応しないものの、フェイルスルーの搭載など、機能的には「LBH」に劣らない製品だ。しかも価格は49万円。「SMBを中心に新規開拓のきっかけになるのではないでしょうか」と菊池課長。また、セキュリティのニーズに対応した製品として、「LBH」の機能を搭載したSSLアクセラレータ「SX-3640 LSH」(150万円)も用意した。こうした豊富なラインアップを武器に、「今年度は、ロードバランサーで前年度比2~3倍の販売を見込んでいます」と、菊池課長は大きな飛躍を約束した。


 このほど開催されたネットワークの展示会「Interop Tokyo 2009」では、多くのユーザー企業やSIerが同社ブースを訪れ、製品に関心を示していた。具体的な話に進んだ商談もあり、確かな飛躍のきっかけをつかんだようだ。



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外部リンク

セイコープレシジョン=http://www.seiko-p.co.jp/