Special Issue
<付加価値プリンタ特集>キーワードはエコとコスト削減
2009/05/28 19:56
週刊BCN 2009年05月25日vol.1285掲載
理想科学工業
帳票の大量印刷市場へ進出
世界最速・低コストを訴求多枚数プリント領域で市場を拡大している理想科学工業は、今年2月に発売した次世代高速カラープリンタ「ORPHIS(オルフィス) Xシリーズ」を、帳票を大量印刷する業種向けに積極的に販売している。上位機種は世界最速(A4片面横送り)を誇り、カラーの出力がモノクロ並みに低価格であることをアピール。納品書や明細書など、日々発生する帳票の出力や後処理の生産性を高め、全体の業務効率化が求められる業種に提案している。
オリンパスとの共同開発による「ORPHIS Xシリーズ」は、従来のシリーズ同様にライン型インクジェットヘッドを搭載し、駆動系には新機構を採用している。ラインアップは、世界最速*(毎分150枚)の印刷スピードを実現した「ORPHIS X9050」と「ORPHIS X7250」(同120枚)の2機種。ORPHIS Xシリーズは、印刷物を必要な量だけタイムリーに印刷する企業内のオンデマンド印刷のほか、チラシやリーフレットなど単一原稿の大量印刷、多部数の会議資料やマニュアルの印刷、バリアブル(可変印刷)を活用したDMなど、用途に応じて機能やシステム構成を選択できるのが特徴だ。
多枚数プリント領域で使われている他社の複合機やカット紙プリンタの高速機は、カラー1枚/10円前後、モノクロ1枚/3円前後。これに対して同Xシリーズは、カラー1枚が「2.05円」でモノクロ1枚が「0.68円」と、複合機などに比べ大幅にコストを低減できる。割橋慶則・市場開発部長は「帳票はカラー化が進む一方、印刷コストを下げたいという要求も大きい。さらに、納品書や請求書など帳票の締め作業後の印刷をスピーディーにし、そのあとの帳合いや封入・発送作業などの作業を短縮化したい、つまり大量印刷の生産性を向上させたいというニーズは高まっている」とみる。この不況が逆に“追い風”になり、高速で低コストの印刷が実現できる同Xシリーズの需要が高まっているというのだ。
理想科学工業が同Xシリーズの販売先として注目する業種の一つが医療業界だ。例えば、「健診センター」では毎日診断を受けた人の健診表を大量に印刷し発送する作業が必要となる。同社が試算したところによると、毎日100人分の健診表(A3判)を20日間/月にわたり印刷(2万4000枚)すると、一般的な複合機の印刷コストは42万7200円。これに対し、同Xシリーズでは9万8000円と、複合機の4分の1以下に収まる。また、印刷出力時間は、複合機が15.4時間/月であるのに対し、同Xシリーズだと2.5時間/月に短縮できる。割橋部長は「医療業界や小売・物流業界などで、大量に帳票印刷を必要とする業務に向けた販売をしていく」と、これまで複合機やカット紙プリンタを利用していた顧客に対しリプレースを促す。
さらに、同Xシリーズでは「フェイスダウン(単票用紙を印刷順に並べる機能)出力」が可能になっている。このため、いままでの機種以上に帳票を大量印刷する業務の短縮化が図れ、生産性を高めることができる。基幹システム接続の「ラインプリンタ型」を導入している企業に対し、「複数の帳票を柔軟に低コスト・スピーディーで印刷できる」(割橋部長)ことを訴求し、同社が狙う業種に強みをもつSIerや一般オフィス向けでもERP(統合基幹業務システム)や販売管理系システムを販売するSIerと連携した販売も推進する方針だ。
理想科学工業=http://www.riso.co.jp/