Special Issue
<日本オラクル>SIerと連携する「Oracle ECO Model」始動
2009/04/23 19:55
週刊BCN 2009年04月20日vol.1281掲載
ISV、ソフトウェアベンダー、SIerと「セールスシナリオ」を共有
パートナーの相互連携で中堅攻め
日本オラクルは中堅市場で元請け(プライム)実績のあるSIerと協業し、オラクルベースのソリューションを提案するだけではなく、各SIerのプロモーション活動や営業活動を共に実施することで、中堅市場における案件を増やす戦略をとる。
このモデルに関係するベンダーとしては、ISVや要素技術に長けた受託ソフト開発ベンダーのコミュニティーである「ニュー・テクノロジー・インテグレータ(NTI)」のほか、ディストリビュータなどを想定。SIerの販売戦略に応じ、これらプレイヤーを絡めた中期的な「ビジネスシナリオ」を策定する。
SIerに対してBIなどオラクル製品別にセールスシナリオをつくり、技術的な支援はもとより、営業・マーケティングを含めてユーザー企業にソリューションが届くまでのすべてのタイミングで、同社パートナーが絡む形態としているのが特徴だ。
日本オラクルでは、既にISV向けには「On Oracle」、ソフトウエアベンダー向けには「NTI」と、パートナー属性に応じたプログラムは展開済みだが、パッケージ製品を提供するISV、ソフト開発するNTIとそれをインテグレーションするSIerの3者が横軸で連携するケースは少なく、各プレイヤーの「得意技」を結集して一つの案件に取り込むことは難しかった。
まずはBIでFJBとシナリオ策定
そこで同社が繰り出したのが、「Game Plan for Mid.Market: Oracle ECO Model」と称する戦略である。この戦略に中堅市場に強いSIerとして富士通ビジネスシステム(FJB)が名乗をあげた。
日本オラクルとFJBは、昨年11月に双方のビジネスプランを共有し、複数のセールスシナリオとこれを展開するプロモーションプラン」を策定した。具体的には富士通の主力ERP(統合基幹業務システム)「GLOVIA」のユーザー企業に対しオラクルの低価格BI「Oracle Business Intelligence Standard Edition One(Oracle BI SE One)」をエンジンとした各種のBIテンプレートを準備。続いて「提案活動」「受注活動」を日本オラクルの中堅市場の営業を担当する「ゼネラルビジネス営業本部」と連携し、組織化した活動として詰めた。
今回の戦略を指揮する日本オラクルの遠藤哲・アライアンス統括本部パートナービジネス推進本部ソリューション推進部部長は、今回の戦略について次のように語る。「ISVには競争力のある『売りだま』をつくってもらい、NTIには他にできない『サービスモデル』をつくってもらう。これに加え、SIerが『売りだま』と『サービスモデル』を使った案件づくりをすれば、各プレイヤーがWin-Winの関係を築ける。複雑化する企業システムを1社で賄うには限界がある。それぞれが協力関係を密にすることで市場を発掘することができる」。この先、FJBの成功例を基に、同じように中核となるSIerを3~4社開拓する計画。SIer個々に応じた製品や「ビジネスプラン」に、プレイヤーとしてISV、NTI及びディストリビュータなどを絡め、中堅市場における販売機会の拡大を狙う。
この戦略では、中核SIerの協力会社になり得るNTIとして全国の受託ソフト開発ベンダーを募る。受託ソフト開発ベンダーにとっては、案件を得る機会が増えることにつながる朗報であり、SIerにとっては、自社にないソリューションや技術スキルをISV/NTIから補完でき、ビジネススピードを落とさずに顧客ニーズに応えることができる。中堅市場をターゲットにした、このような「エコシステム」は、競合のマイクロソフトさえ描けていないため、関心を呼びそうだ。
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BI案件増加、不足部分はNTIと連携
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FJBは、初期の段階で得た成功モデルがビジネスの幅を広げたことで、近く既存ユーザー企業に限らず、新規企業の開拓を開始する計画だ。
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