Special Issue
<クオリティ特集>サーバーを含めた企業システムの課題解決を!
2009/02/26 19:55
週刊BCN 2009年02月23日vol.1273掲載
代表取締役社長 浦 聖治 |
「現在の経済状況にはさまざまな意見がありますが、個人的には“悲観的”に考えています。結果から言えば、経済や産業は大きく様変わりする必要があると考えています」と代表取締役社長の浦聖治氏は語る。
サブプライムローン問題に端を発した世界経済の混乱は、当初、限定的といわれていたものの日本にも波及し、その余波を受けている企業は少なくない。このままの状況では、とても現在の危機を乗りきることはできない。浦氏は、この不況を打破するために、新しい経済のあり方を模索する時期に来ていると考えているのだ。
1月下旬に開催したプライベートイベント「VisionQ2009 ビジネスパートナーミーティング」では、09年のクオリティの取り組みが語られた。その席で、浦氏は「世界経済が混乱するなか、当社では“マーケットを広げる”ことと、“ドメインを広げる”の2点を推進していきます」と宣言した。
「マーケットを広げる」ためには、国内だけに目を向けるのではなく、世界という市場に打って出る必要がある。クオリティは、すでに関連会社として「QualitySoft Corporation, Seattle」「QualitySoft Corporation, Shanghai」「QualitySoft Corporation, Seoul」を設立し、海外への足がかりを用意した。ここから、すでにワールドワイドの取り組みも始めているという。
「中国市場での展開が、徐々に立ち上がり始めていますね。それを加速させるため、08年には有力なメンバーを上海に送り込んでいます。おそらく、大きな実を結ぶでしょう」(浦氏)。
クオリティは、これまでも世界に目を向けて、国内だけではなく、海外でも活用できる製品を用意してきた。これらの製品を利用したいというニーズは、非常に高い。
日本を起点に海外展開している企業をみると、国内と海外拠点で異なったツールを使って運用するというケースが多く、トラブルも増えているという。しかし、世界各国で同じ製品が提供されていれば、場所を問わず、同一の運用・管理手法が利用できる。そのメリットは、非常に大きい。
仮想市場も新たなマーケット インターネットサービスが好調
クオリティでは、「インターネット」マーケットにも注目している。同社はASP・SaaS型の「インターネットサービス」を提供しているが、すでに1000社を越える企業が、同社のサービスを利用しているということだ。
「インターネットサービスは、さらに機能強化を図っていきます。そのなかで、さらに魅力が高まっていくでしょう。インターネットサービスは、必要なサービスだけを利用できるので、余計な運用などをアウトソーシングできるというメリットがあります。手間のかかる運用が省けるため、管理者がモチベーションを保ったまま業務に専念できるという報告もあります。このような展開が、これからの日本経済を変えていくのではないでしょうか」(浦氏)。
クオリティがエンジン提供している「ISM(IT Security Manager)」は、同社のインターネットサービスのひとつで、運用・保守を容易にするもの。最近では、法人向けクライアントPCのBTOサービスのサービスメニューとして提供されるなど、新たな展開も見せている。
また、Lotus Notes/Domino環境にも、同社のサービスが利用され始めた。Notes/Domino環境では、権限を持ったユーザーが添付ファイルをクライアントPCのローカルに保存した後、そのファイルに対してアクセス制限ができないという課題があった。しかし、Notes/Domino環境は多くの企業の基盤的なシステムとして稼働していることから、競合製品へのリプレースが難しい。そのような企業に対し、添付ファイルのアクセス制御ツールとして「DKS Plus for Lotus Domino Direct」を提供している。これは、Notes/Dominoのデータベースに添付されたファイルを、データベースのACL と同等のアクセス権を付与したセキュアなPDFへ自動変換するというものだ。「PDFという文書フォーマットは、国際標準化機構(ISO)の国際規格に承認されました。このPDFファイルに錠前をつけてアクセス制御することで、Notes/Domino環境を安心して活用できるようになります」(浦氏)。
必要なサービスを付加して製品価値を高めたいという販売パートナーにとっても、インターネットサービスを利用する意義は大きい。クオリティは、世界という市場に加え、インターネットという市場の双方を広げるのだ。
サーバーを含めたワンストップサービスを展開 優れたバックアップツールを春頃にリリース開始
「ドメインを広げる」という点については、サーバーまで含めたソリューションを展開していくという。クオリティは、これまでクライアントPCに軸足を置いた展開を続けてきた。しかし、企業システムはサーバーを含めてシステムとして稼働している。そこで、クライアントPC/サーバー双方をワンストップサービスで展開し、「事業ドメイン」を広げようというのだ。
その第一弾として、今年春季ごろに、サーバーのバックアップ/リカバリーツールがリリース予定だが、これまでのバックアップ/リカバリーツールとは一線を画するものとなっている。
主な特徴は、ディスクの変更情報を常時バックアップし、過去の任意の地点に戻せるCDP(Continuous Data Protection)機能に加え、停止している遠隔サーバーをあたかもローカルに在るかの如く電源を入れたり、ブートディスクを切り替える等の制御を行えることだ。
すでに、パートナー向けの説明会などで好評を博しており、登場が待たれているツールである。
「バックアップという分野に、国内ベンダーは参入していませんでした。このバックアップツールは、日本発のバックアップツールとして、日本のお客様のニーズを反映できる点で非常に意味があるものと考えています。また、インターネットサービスとしても提供できるので、ドメインとマーケットの双方を広げると思います」(浦氏)。
クオリティは、これまで「クライアントPC」を軸足に展開してきたが、今後はドメインを「サーバー」という世界まで広げていく。つまり、「クライアント/サーバー」で形成される企業システム全てがクオリティの「ドメイン」の領域となるのだ。企業システムの運用・管理をワンストップで展開するベンダーへと成長していく同社の展開に、パートナーの期待も大きい。
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