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<セキュリティソリューション特集>SMBコンプライアンスに商機!SaaS型モデルにもニーズ出始める

2009/02/12 19:56

週刊BCN 2009年02月09日vol.1271掲載

 米国金融危機に端を発した「世界同時不況」で、企業のIT投資意欲の減退が顕著になっているなか、景気に関係なく需要増が期待できるのがコンプライアンス(法令順守)関連の製品・サービスといわれている。内部統制や情報漏えい対策に向けたセキュリティ製品・サービスは需要が底堅いといわれており、なかでもSMB(中堅・中小企業)でニーズが高まるとの見方が出ている。また、サイト改ざんを防止するSaaSサービスなど新しい提供モデルにもニーズが出始めつつある。

未上場企業への「融資案件」の評価にも

拡大するコンプライアンス市場

 調査会社のIDC Japanでは、国内SMB向けコンプライアンス市場について2008年の市場規模が2228億円となる見通しで、12年には4792億円に拡大すると予測している。これは、海外展開を図るSMBによる個人や企業向け電子商取引(EC)が広がっていることや、モバイルコマースも含めICT(情報通信技術)を基盤としたサービスが高い成長を遂げているためだ。IDC Japanでは、デジタルマーケットプレイスでビジネスを手がけるうえで、グローバルな視点に立ったコンプライアンス対策の整備が重要な経営課題になりつつあるとみている。

 また、IDC Japanによれば、これまでは米国企業改革法(SOX法)の適用を受ける外資系企業や大規模上場企業の連結子会社が国内SMBコンプライアンス市場の成長をけん引してきた。だが、今後は上場企業が内部統制報告書の提出1回目を迎えるうえ、消費者保護法制の新設や改正が相次ぐ。そうしたなか、成長志向のSMBを中心に厳しい環境下でのビジネスを支援する共通基盤としてコンプライアンス対策を認識する動きが広がりつつある。10年以降は、それらICTに対する投資がますます本格化していくという。

融資案件の審査にも影響及ぼす

 確かに、SMBのコンプライアンス対策は重要性が高まってくる。というのも、金融機関が未上場企業への融資案件を評価する際に従来のような財務関連だけではなく、法的リスクや情報漏えいへの対応ぶり、得意先との関係など、コンプライアンス情報を重視する傾向が強まってきているからだ。そういった点では、SMBのコンプライアンス対策は、将来的なリスクを低減し、一段と好条件の融資を獲得するための手段となり得る。こうした状況のなか、ITベンダーにとってSMB向けコンプライアンス関連の製品・サービス提供が大きなビジネスチャンスに変貌する可能性は高い。

 サイト改ざん防止やウイルス対策については、近い将来、ユーザー企業によるセキュリティシステムの自社構築からSaaSやASPなどサービス型の導入が進むとの見方が強い。なかでも投資額が低いといわれるSMBで広がるという意見が多く、注目を集めている。それを考慮すると、セキュリティメーカー各社によるパッケージ製品のサービス化は必須になってくる。

 現在、米国発の国際的金融危機の影響が日本経済にまで波及してきている。しかし、景気に左右されないIT関連の製品・サービスならば、ユーザー企業による投資意欲が衰えることはないだろう。ITベンダーにとって、ユーザー企業のコンプライアンス対策や、サービス型モデルの提供を視野に入れた動きが業績伸長のカギを握るといえそうだ。なかでもSMBのニーズに適した製品・サービスの取り扱いを増やすことが新規顧客を開拓するうえで重要な戦略になることは間違いない。


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