Special Issue
<Microsoft Innovation Award 2008>アイデアを形に!革新的な技術開発がIT業界のイノベーションを促進
2008/12/09 15:49
週刊BCN 2008年12月08日vol.1263掲載
マイクロソフトができるサポート 未来の可能性を最大限に引き出す
「胎動するイノベーションが、いま-」をテーマに、2008年11月19日、東京・渋谷で、ITベンチャー企業の独創的なアイデアをビジネスのフェーズに高めるイベントとして開催された「Microsoft Innovation Day」。オープニングスピーチには、マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長が登場。同社のミッションは、ソフトウェアを中心とした「世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援」、その可能性はインターネットや、来るクラウドコンピューティングとの連携・統合によって最大の付加価値を提供できると語った。
また、従来から取り組んできた企業市民活動も、地域のパートナー企業や自治体、教育機関、NPOとの協業により、ITの活用による地域活性化、デジタルデバイドの解消、IT技術者の育成によるイノベーションの創出などにおいて成果をあげているという。
昨今の厳しい景況のなか、こうした活動を続けることがIT業界をはじめ、社会、経済の活性化に役立つことを強調し、マイクを「Microsoft Innovation Award 2008」のプレゼンテーターである加治佐俊一業務執行役員 最高技術責任者にバトンタッチした。
加治佐氏は、これまでの活動報告と新施策を紹介。2003年から「ITベンチャー支援プログラム」を実施しており、2008年には新たに4自治体が実施することや、ITベンチャー企業支援の新施策として、起業から3年未満のスタートアップ企業を対象とした「Microsoft BizSpark」を、11月19日から提供開始したことを報告した。
さらに、こうしたプログラムを支える基盤「Microsoft Innovation Center(マイクロソフトイノベーションセンター)」が設立から2年経過し、年間約270社の利用があると語った。
最後に、ベンチャー企業のアイデアから商業ベース化の実現、グローバルビジネスの支援を目的に、優秀なソリューションに対して表彰を行う「Microsoft Innovation Award 2008」を総括し、最優秀賞の受賞企業を表彰した。最優秀賞に輝いたジースポートの黒田篤代表取締役は、「世界的な健康志向の中、賞を獲得できたことを大変光栄に思います。今後も技術開発に取り組んでいきます」と喜びを表現した。 その後は、モバイル・インターネットキャピタル・西岡郁夫社長による基調講演「真のイノベーションを創出するために」、Windows+Servicesコンソーシアム会長・松倉哲氏によるパートナーセッション「Windows+Serviceで実現する新しいビジネスの姿」が紹介された。
独創的なアイデアを形にするために、マイクロソフトができることは何か。ITの発展とイノベーションの創出を支援する同社の取り組みに今後も期待が高まる。
最優秀受賞企業
株式会社ジースポート
http://www.gsport.co.jp/
「ヘルスケアIT」をリード、Microsoft技術の新たな利用分野を拓く「はかる、見る、わかる」をキーワードに、人々の健康をチェックし、その改善をサポートするサイエンスに基づいた総合テクノロジー「ヘルスケアIT」をリードする。その思いをカタチにしたソリューションが、「ゆがみーる」だ。
ゆがみーるは、病院、研究所でリハビリテーションや一流アスリートのトレーニング研究のために使用している技術を、一般の医療・健康関連施設に提供する目的で開発。コアテクノロジーとして、人体の筋骨格の構造と運動の可視化、モーションキャプチャ、モーションセンサ技術、身体の姿勢評価などを用い、人間の身体の分析と情報提示を図っている。
また、Microsoft技術では、Visual Studio/DirectShowによるリアルタイム・カメラコントロールを採用。DirectXは、ゲーム業界以外での利用は一般的ではないが、ゆがみーるでは、USBカメラとキャリブレーションマットを利用して、リアルタイムにどこでも姿勢を計測できる、誰でも評価できることを可能にした。
最近の健康志向も手伝い、「Microsoft Tech・Ed 2008 Yokohama」でも、多くの人がデモンストレーションに参加、反響をよんだ。健康分野では“対策はあっても評価”に関するソリューションは意外と少ないといわれる。
今後も、アジアへの進出などを検討するとともに、人間工学やロボット工学、バイオメカニクスなどの総合技術を医療に活かし、「ヘルスケアIT」の発展を目指す。この最優秀受賞の獲得は、Microsoft技術の新たな利用分野を拓く1ページとなった。
IT産業の発展、未来へ
継続的に、新規に、ITベンチャー企業を
支援するプログラム提供
全世界で企業市民活動を展開するマイクロソフトは、日本国内でも様々な取り組みをみせている。
2003年から始まった、全国の自治体、公的機関、大学などの公共団体と連携し、ITベンチャー企業や中小企業を支援する『ITベンチャー支援プログラム』の実施もそのひとつ。「マイクロソフト インキュベーションプログラム」の拡張版として、地域IT産業の振興、経済の活性化に大きく貢献しており、当初の5自治体(岐阜県、北海道、千葉県、神奈川県、埼玉県)に加え、2007年には7自治体(秋田県、北九州市、仙台市、福井県、愛知県、広島市、香川県)が実施、2008年には4自治体(青森県、高知県、徳島県、鳥取県)が「ITベンチャー支援プログラム」を実施する。各地域で応募企業の中から選出されたITベンチャー企業や中小企業には最新情報の提供や技術サポート、マーケティング支援が行われる。
加治佐氏は、「地域活性化に向けた取り組みを日本全国にまで広げたいと思います。今後は自治体と協同し、自治体自らがベンチャー企業の支援を行えるようエコシステムにも力を入れ、イノベーション推進を加速させていきます」と意気込みを語る。
ほかにも、2回目を迎えたアワードプログラム「Microsoft Innovation Award」には約50社が応募。優秀賞を獲得した5社には最新技術やマーケティング支援、グローバル展開への支援などが実施される。
また、ITベンチャー企業以外に、学生、スタートアップ企業、パートナーごとにプログラムや支援策が用意されており、マイクロソフトが総合的にバックアップする。
「継続的な支援を行っていく重要なインフラとなるのが、マイクロソフト イノベーション センターです。ソフトウェア、ハードウェア開発企業、インテグレータ、企業家などに最先端の設備を開放し、ニーズに応じたサポートプログラムの無償提供、人材育成支援などを行っています。設立から2年が経過し、センターの利用者も増え、成果は徐々に上がっています」(加治佐氏)。
継続した支援活動に励む一方、マイクロソフトは新たな施策にも着手。起業から3年未満のスタートアップ企業を対象とした「Microsoft BizSpark」を、11月19日から提供開始した。
「創業間もない企業の大きな障害となるのが先行投資です。BizSparkは、3年未満、売上高1億2000万円未満の企業に対し、サーバー製品や開発ツールを3年間無償提供、ネットワークパートナーとの交流、マーケット支援を行うことでビジネスチャンスを広げます」(加治佐氏)。
全世界で実施される同プログラムは、インターネットやクラウドコンピューティングによって、「場所」の壁も越える。加治佐氏は、「ネットワークパートナーが場所を提供し、マイクロソフトが設備を提供する。効果的に集まる機会も提供されることで、東京以外の地域の活性化に弾みがつく」という。ネットワークパートナーは、2008年11月現在6社だが、今後は特色を持ったパートナーの参入を見込んでいる。
ITベンチャー企業以外にも、学生には「The Student Day」と技術コンテスト「Imagine Cup」、「DreamSpark」、MSリサーチによる若手研究者支援などを行っている。「若いときからITに触れる機会を提供していきたい。理工系離れも進んでいますが、日本のモノづくりに役立ちたいと思います。学生から、ベンチャーを起業、BizSparkを利用して世界へ。プログラムの連動により、人、モノを創出し、ITの発展を目指します」と加治佐氏。
マイクロソフトのイノベーションの創出に向けた取り組みが、世界を舞台にした製品、サービスの提供につながることは間違いない。IT業界のみならず、経済、社会の活性化のためにも、今後の活躍に期待が高まる。
Microsoft Innovation Award 2008 受賞企業
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