Special Issue
<SMB向けストレージ市場特集>ストレージ拡大のカギ IPSAN
2008/11/27 19:56
週刊BCN 2008年11月24日vol.1261掲載
NEC
高信頼・高可用ながら、コストを抑えたSANを提供
iSCSI対応の「iStorage E1」がビジネスチャンスを創出
企業で扱うデジタル情報は、増加する一方だ。日々増え続ける情報をどう管理するのかという課題は、企業規模に関わらず大きな問題となっている。高信頼・高可用のSANが注目を集めるようになったのも、当然の流れだと言えよう。NECは、SANのエントリーモデル「iStorage E1」によって、新たな市場を創出しようとしている。同社の戦略について、ITプラットフォーム販売推進本部・ストレージ販売促進部・マネージャーの高橋英樹氏に話を聞いた。増え続ける情報に「iStorage」で応える
企業が扱うデジタル情報は、日々増加し続けている。数年前から語られている「情報爆発」が、すでに現実のものとなり始めているのだ。経済産業省は、「2006年のインターネット内の情報流通量は637Gbps(ギガビット/秒)だが、25年には121Tbps(テラビット/秒)まで増加する」と試算している。つまり、あと20年足らずで、およそ190倍の情報流通量になるというのだ。企業内で扱う情報量も、これに比例して増加していくだろう。情報の保管庫として「ストレージ」が注目されるようになったのは、自然の流れだといえよう。なかでも、ストレージとサーバを高速なネットワークでつなぐSAN(Storage Area Network)は、データを効率的に格納・利用できるため、多くの企業で導入されている。
NECでは、エントリーからミッドレンジ、ハイエンドまで、すべての領域をフォローする「iStorage」ブランドを提供し、幅広いラインアップをそろえている。「iStorage」は、汎用機の流れを継ぎ、歴史に裏付けされた信頼と実績を備えたブランドだ。
「これまでハイエンドからミッドレンジのSANストレージを中核に販売してきましたが、ここ数年、中堅・中小企業システムにおいてもデータ量が増加し続けており、信頼性・拡張性が高いストレージへのニーズが高まっています。価格を抑えたSANが欲しいというお客様の声に応え、08年1月に最小構成で89万8000円という値付けの“iStorage E1”を発売しました」と、ITプラットフォーム販売推進本部・ストレージ販売促進部・マネージャーの高橋英樹氏は語る。
「iStorage E1」はiSCSIに対応しているため、安価なNICやIPスイッチでSAN環境を構築することができる。SANで一般的なファイバチャネルの場合、ファイバチャネルスイッチやケーブル、高価なホストバスアダプタの導入など、システム構築のコストが課題となっているが、「iStorage E1」は既存の環境を生かすことができるため、導入コストを大幅に圧縮できる。
「システム構築時のコストに関する課題は、iSCSIによって解決することができるでしょう。ファイバチャネルで構築する場合と比べると、コストをおよそ4割ほど圧縮します。“iStorage E1”は、これまで当社がリーチできなかった新たな市場を創出するでしょう」(高橋氏)。
しかし、いくら安くても、信頼性や可用性が十分でなければ、重要なデータを保存する保管庫として適切ではない。何らかの障害によってストレージにアクセスできない状態になると、業務の停止に陥ることがあるからだ。不測の事態に陥らないために、「iStorage E1」にはさまざまな機能が搭載されている。例えば、電源、ファン、コントローラなど主要部品の冗長化や、ハードディスクドライブが2台同時に故障してもデータ保護を実現するRAID-6、停電時のキャッシュメモリ上のデータ保護機能などによって大切なデータは守られるようになっている。エントリーモデルではあるが、同社が蓄積してきた上位クラス製品の技術を応用し、信頼性を高めているのだ。
「ストレージは重要な情報を保存する場所なので、信頼性や可用性の確保は非常に重要です。“iStorage E1”には、当社がこれまで蓄積してきたノウハウを余すことなく投入しています。信頼性を高めたデュアルコントローラ構成は、非常に注目されていますね」(高橋氏)。
「拡張したい」という要望に対しても、柔軟に対応できる。ストレージ基本筐体に増設筐体を追加していくことにより、段階的な容量拡張も可能だ。最大構成でハードディスクドライブを60ドライブ搭載できるため、SASを使った場合で最大物理容量は27TB(テラバイト)、SATAを使った場合で60TBになる。これだけあれば、ミッドレンジストレージ並みの容量拡張性を確保できるだろう。
「高可用・高信頼で拡張性に優れた“iStorage E1”ですが、ストレージの管理などは非常にシンプルです。GUI形式のナビゲートによって、専門知識がないお客様でも、簡単にセッティングすることができます。また、ストレージの状態監視や構成変更、障害通知なども容易です。誰もが操作できる管理環境も提供しています」(高橋氏)。
ビジネスの付加価値にストレージを活用
SANを導入する場合、専任のストレージ管理者を配置し、運用・管理する体制が求められることが多い。しかし中堅・中小規模システムの場合、専任の管理者を配置することは難しい。また、運用・管理にかかる負荷を軽減させたいというニーズも強い。ストレージの信頼性を高めながらも管理・運用を容易とするため、「iStorage E1」では、GUIを採用している。「iStorage E1」は、大容量のファイルサーバとして使われるほか、ネットワーク経由でのサーババックアップや仮想化によるサーバ統合・ストレージ統合という目的でも使用できる。販売店にとってはビジネスチャンスを広げる商材と言えよう。
「iStorage E1」は、サーバビジネスが中心だった販売店などでも扱いやすい商材だ。現在のビジネスに付加価値として利用しやすく、システム拡張なども提案しやすい。「販売店様に対しては、地域ごとの販売店会議などでご紹介していますが、非常にいい反応をいただいており、驚いています。貸出機などを用意して実際に評価していただいていますが、非常に好評ですね」(高橋氏)。
また、サーバ/ストレージともにNECで提案すれば、販売後のサポートも万全だ。販売・サポートサービスまでワンストップで提供できるNECの強みと言えるだろう。
「iStorage E1」は、新規市場を創出し、販売店にも新しいビジネスチャンスをもたらす商材と言えよう。ストレージの重要性が高まるなか、NECの狙う市場が本格的に立ち上がる公算は大きい。新時代を切り開くNECに、市場の期待が高まっている。
NEC=http://www.istorage.jp/