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<ロジテック特集>エレコムの営業力とロジテックの技術力がグループシナジーを発揮

2008/06/23 19:56

週刊BCN 2008年06月23日vol.1240掲載

 NAS(Network Attached Storage)が注目を集めている。NASはTCP/IPネットワークに直接接続できるストレージで、ファイルサーバー専用機として活用される。既存のネットワークを利用できるため、比較的安価に導入でき、運用も容易だ。そのため、企業の情報共有をすすめ、業務効率を向上させるために導入・運用するケースが多かった。最近では、内部統制や災害対策、事業継続などの観点から重要なデータをバックアップしておきたいというニーズが高まっており、NASの適用範囲を広げている。

不満を抱えるLinuxから撤退し、WindowsベースのNASのみに

認知を獲得しNAS市場が活発に

 「NASが特に注目されるようになったのは、2-3年ほど前だと思います。情報システム部門など専門性の高い一部のエンジニアしか知らなかったNASが、大容量・低価格のモデルが各社から提供されるようになって、一気に市場を拡大しましたね」と、ロジテック・開発部・AVC課マネージャーの中田潤氏は、当時を振り返る。

 今でこそ、NASは認知を獲得しているが、数年前まではサーバーに近いイメージでとらえられ、身近な製品ではなかった。各社が提供したローエンドモデルがそのイメージを払拭し、管理工数の低減を実現するアプライアンスとして市場を牽引しているのである。

 1982年の創立以来、ロジテックはパソコン周辺機器メーカーとして実績を積んできた。特にストレージ事業に関しては、信頼性の高さに定評があり、多くのファンを有している。

 同社はNASについての歴史も古く、一般に認知される以前から製品を開発・提供してきた。2006年9月には、RAID 0/1/5に対応したBOX型NASシステムを発売し、市場でも一定の評価を獲得している。

トラブルは不可避Linuxの課題が表面化

 「今までのBOX型NASシステムは、ある程度のボリュームを稼ぎましたが、いろいろな不満点があったことも事実です。これはOSにLinuxを搭載したNAS全般に言えることですが、“アクセスが集中するとパフォーマンスが一気に低下する”“アプリケーションとの相性問題”など、管理・運用面に課題が残っていました」(中田氏)。

 Linuxを採用したNAS製品は、確かに価格的なメリットが大きい。LinuxはOS自体が軽いため、稼働させるためのハードウェアはさほどハイスペックでなくてもいい。

 しかし、実装されるCPUやメモリなどは必要最低限にとどまり、ちょっとした負荷がかかるとパフォーマンスが一気に低下するものも多い。エラーが頻繁に発生すれば、その修復だけでCPUの使用率が一気に上がり、修復しきれずにディスクを破壊してしまうような事故が起きる可能性がある。また、システムのバックアップ用途に活用する場合、Windowsの設定情報などがバックアップできないケースもあるようだ。信頼性を求めるユーザーにとって、安心して活用できる製品であるとは言いにくい。

Linuxベースから撤退し、Windowsベースに一本化

 「当社ではトラブルなどを考慮して、NAS製品に関してLinuxから撤退し、Windows Storage Serverに一本化することに決めました。マイクロソフト様とも協業し、新しい市場を開拓していこうと考えています。Windows Storage Serverは、より高い信頼性が求められるNASには最適なOSだと思います」(中田氏)。

 ロジテックでは、6月にWindows Storage Serverを採用したNASシステム「竹(LSV-5Sシリーズ)」をリリース。「製品名の“竹”ですが、“松竹梅”の“竹”です。開発コードとしてつけていたのが、そのまま製品名になってしまいました」(中田氏)とのことだ。

 同社がWindows Storage Server採用のNASシステムを提供するのは、初めてではない。07年6月には2台のハードディスクが故障してもデータを消失しない「RAID 6」搭載の『LSV-6Rシリーズ』を提供している。これに対して「竹」シリーズは「RAID 5」搭載となっている。高信頼でありながら、高いパフォーマンスも有する。これまでにないNASの登場である。価格も10万円台から購入できる。提案の幅を広げるソリューションと言えるだろう。

 Windows Storage Serverは、Windows Server 2003をベースにしたNASストレージシステム向けの専用OSで、多くの実績を持つ。WindowsベースのOSであるため、Windowsクライアントやアプリケーションとの相性もよく、Linux OS採用製品の課題も難なくクリアする。また、必要とするハードウェアスペックもLinux製品と比べてリッチになっており、負荷が集中した場合も、余裕を持って対処できるようになっている。さらに、セキュリティやバックアップソリューションなどのアプリケーションを導入することで、より信頼性を高めることもでき、提案の幅を大きく広げる。


 「実際に、Linux OS採用製品のCPUシステムは、プリンタやルータなどと大差ありません。しかし、Windows Storage Server採用製品の場合、ノートパソコンなどと同様のスペックとなっています。法人などのプロフェッショナル用途では、これくらいのハードウェアでなければ、安心できないと感じています」(中田氏)とのことだ。

 同社のNASは、すべて国内工場で生産されている。海外大手ベンダーの中にも国内での組み立てを訴求するケースが増えているが、製品の信頼性という意味で、国内工場から提供されているメリットは高い。

 また、使い勝手にもこだわっている。電源を投入後すぐに使えることはもちろん、ロジテックが自社開発したツールを使って、設定が簡単に行える。OSそのもののメリットとロジテックの技術力が融合し、使い勝手のいいNASとなっているのだ。情報システム部門だけではなく、多くのユーザーが活用できるNASとなっているのが非常に印象的だ。


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外部リンク

ロジテック=http://www.logitec.co.jp/