Special Issue

<オフィスプリンタ特集>プリンタ市場にも広がる、環境負荷の低減という課題

2008/06/16 19:56

週刊BCN 2008年06月16日vol.1239掲載

NEC
NECグループビジョン2017
「人と地球にやさしい」情報社会を求めるNEC

官民問わず環境対応が重視される

 2007年度下期の国内カラープリンタ市場は130%強の成長といわれているが、NECは150%近い成長を遂げ、市場より大きな伸びをみせていた。なかでも、「マルチライタ2900C」「同5700C」が売り上げを牽引した。

 現在、官公庁や大企業を中心に、環境への配慮が注目されている。夏に開催される洞爺湖サミットの影響はもちろん、官民問わず環境への対策が必須だと認知され始めている。グリーンITが注目されていることから、性能的に同様の製品を購入する場合、環境性能が決め手になるケースも増えるだろう。

 NECの場合、製造工程で従来の粉砕トナーではなく、乳化重合凝集で生成した「EA(EmulsionAggregation)トナー」を採用。製造プロセスで二酸化炭素の排出量を削減している。物流においては、製品の小型・軽量化を実現し、輸送効率を大幅に向上させた。

 「温室効果ガスの削減はもちろん、EAトナーは粒径が小さく、形も均一となっており、印刷物の高画質化も実現しています。さらに、EA-HG(Emulsion Aggregation-High Grade)トナーであれば、艶と深みのある鮮やかな発色となっています。利用するうえでのメリットも非常に大きいと感じています」と、ディスプレイ・ドキュメント事業部の岡田靖彦事業部長は語る。

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業界トップクラス スリープ時の消費電力1.5W以下

 さらに、実際の使用環境においては「CPU電源OFF」技術や「ファンレスエアフロー」などに加え、トナーの定着を効率良く行う「フリーベルトNIP」などのテクノロジーを活用し、大幅な消費電力の削減を行っている。「例えば9300Cでは、スリープモード時の消費電力は1.5W以下、TEC値で1.63kWhとなっています。これは業界でもトップクラスの低消費電力量だと思います」(岡田事業部長)。さらに、廃棄・リサイクル時における環境への配慮として、バイオプラスチックをドラムカートリッジの一部に採用。従来のプラスチックに比べ、製造工程での二酸化炭素の排出量を16%ほど削減する。もちろん、鉛フリーはんだを利用しており、有害重金属の削減にも努めている。

 使用済みのトナーの回収やリサイクルも実施している。「使用済みのカートリッジを回収し、再資源化することで環境に配慮しています。お客様にもこのシステムをさらに活用していただけるよう、アピールにも努めます」(岡田事業部長)。ほかにも、両面印刷や複数ページをまとめて印刷する「複数ページレイアウト印刷」「トナーセーブ機能」などをWebサイト(NEC8番街)などを活用しながらユーザーに提示している。こうした活動を通じて、印刷枚数やランニングコストの低減に寄与する提案を行っている。

 さらに、サーバーレスでも利用できるプリンティングセキュリティシステム「iPrinting.Secu@4.0」などによって、無駄な印刷を防ぐという提案も行っている。環境配慮はもちろん、この提案力こそが、同社が伸長している秘訣といえるだろう。今後、グリーンITという流れから、低環境負荷への注目はさらに高まる。NECの活動は、市場からも注目されている。


NEC=http://nec8.com/mw/

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