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<Windows Server 2008特集> SMB市場で高まりつつある検疫ニーズにも応える 管理性・柔軟性・信頼性・安全性を高めたサーバープラットフォームが登場

2008/03/27 19:56

週刊BCN 2008年03月24日vol.1228掲載

 Windows Server 2008 日本語版の開発が2008年2月4日に完了し、ボリュームライセンスの販売が08年3月1日より始まっている。パッケージ製品の市場投入も目前に控え、Windows Server 2008を契機とした市場の活性化が期待されている。仮想化テクノロジーやフェールオーバークラスタリングなど、これからのニーズに応える新機能も多数搭載され、新しいビジネスチャンスとして注目を集めている。

NAPをはじめ新機能を多数搭載

 Windows Server 2008は、仮想化プラットフォームを提供するHyper-VテクノロジやInternet Information Services 7.0(IIS 7.0)のほか、PC検疫を実現するネットワークアクセス保護機能(Network Access Protection:NAP)など、多くの新機能を搭載している。Windows Server 2008を使うことで、ユーザー企業は容易にサーバーやネットワーク基盤に対する管理を強化すると同時に、簡素化することが可能だ。そのため、本来の業務に集中することができ、企業の生産性も大幅に向上する。

 管理性・柔軟性・信頼性・安全性を高めたサーバープラットフォームとして、厚い期待が寄せられている。

 セキュリティ面から見ると、NAPの搭載は大変画期的だ。これまでPC検疫を導入する場合、構成の変更が余儀なくされたり、導入の工数がかかるなどの課題があり、導入・運用コストの増大を生んでいた。そのため一部の大規模企業で導入されているにとどまっていた。NAPを活用すれば、システム構成の変更も最小で済み、導入コストを大幅に低減できる。NAP対応の製品と組み合わせることで、安価に検疫ネットワークを利用できることになる。ニーズはあるがこれまで導入できなかった中堅・中小企業に対して「検疫」を切り口とした提案ができるようになる。

コンプライアンスという切り口からも注目を集める

 NAPは、ウイルス対策ソフトウェアやスパイウェア対策プログラムがインストールされているか、また更新されているかなどの定義が可能であるため、ウイルスやワームなどの脅威から社内ネットワークを守ることができる。

 外部からの不正アクセスのみならず、社内のクライアントPCのセキュリティポリシーの順守を徹底することもでき、内部統制といった観点からも注目されている。

 クライアントのコンポーネントについては、Windows Vistaで標準とされているほか、Windows XPのService Pack 3でも提供される予定だ。つまり、Windows Server 2008を使えば、標準機能だけでも広範な検疫を実現できることになる。

 NAPを活用したソリューションを提供しているNAPパートナーに有名ベンダーが名を連ねていることからも、その期待の大きさがうかがえる。
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ディーリンクジャパン
NAP検疫で、SMB市場の拡大を狙う 検疫という切り口でより強固なセキュリティを訴求

製品間連携で付加価値を高める

 ワールドワイドで展開し、高い信頼を獲得しているネットワーク機器ベンダーのディーリンクは、セキュリティ面で付加価値を高めた製品を投入し、市場から注目されている。不正なネットワーク通信を見つけた場合に迅速にネットワークから切り離し、ネットワーク自体を止めることなく自社の安全を守るように、UTMと連携したシステムを開発した。これによって自己防御機能が働き、強固なネットワーク環境を構築できるようになる。このように、製品を連携してマネジメント面を強化することにより、TCOが削減できる。

検疫ネットワークを広げるWindows Server 2008

 多くの企業が、ネットワーク上を流れる情報にも注意を払っている。ネットワークを流れる情報は、企業活動そのものといっても過言ではない。ネットワークが安全でなければ、そこを流れる情報の信頼性まで疑わなければいけなくなる。内部統制なども求められるようになるため、健全なネットワークを保ちたいというのが、今の企業の本音だろう。

 そこで注目されているのが「検疫」と呼ばれるソリューションだ。これまで「検疫」は、セキュリティリスクの高い持ち込みPCやセキュリティレベルの低いPCを社内ネットワークに接続させないためのソリューションとして、大規模企業を中心に導入が進んだ。

 従来の検疫ソリューションは、ネットワークの構成を変える必要があったり、導入・運用工数が必要となるため、SMB市場にはなかなか広がらなかった。ニーズはあるものの、適切なソリューションがなかったのだ。

 そのブレークスルーとして期待されているのが、Windows Server 2008である。Windows Server 2008は、セキュリティ機能が多数搭載されたサーバー用OSだ。その機能の1つとして、NAP検疫機能が提供されている。このNAP対応のネットワーク機器と連携すれば、強固な検疫が容易に実現できる。

 ディーリンクジャパンは、市場ニーズにいち早く応えて、すべてのxStackスイッチをNAP検疫対応としている。「Windows Server 2008の日本語版も投入されますし、検疫をキーワードとした市場は活性化すると考えています。当社は国内でもMicrosoft NAPパートナープログラムに参加しています。今後、市場は大きく広がるだろうと非常に期待しています」と、マーケティング本部マーケティングコミュニケーション部の石原幹夫部長は語る。

外部だけでは不十分 内部にも目を向ける必要性

 ディーリンクジャパンでは、ローエンドからエンタープライズまで製品ラインアップを用意している。同社の場合、4万9800円の商品でありながら、NAP検疫を利用できる。これこそ、エンドポイントでのセキュリティを訴求してきた同社ならではの付加価値であるといえよう。島ハブ構成をとっている日本企業にとっても、これは大きな魅力となるだろう。

 もちろん、同社の製品はNAP以外の検疫方式にも対応しており、ユーザー企業の環境やニーズに柔軟に対応することもできる。「あまりメディアなどには大きく扱われていませんが、ウイルスの大規模感染などにより業務が停止してしまう事故はなくなっていません。どうしても外部に目が向いてしまいますが、内部からの脅威も考慮する必要があります」(石原部長)とのことだ。持ち出しPCや私物PCを接続できる環境そのものがリスクとなり、万が一事故が発生した場合は、膨大な作業工数と費用が必要になる。

 今後、検疫市場は必然的に活性化していく。ディーリンクジャパンが提案する製品は、さらに注目されることになるだろう。(週刊BCN 2008年3月24日号掲載)

ディーリンクジャパン=http://www.dlink-jp.com/
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