Special Issue
<BCNランキング トップベンダー特集> 付加価値製品がカギを握る
2007/11/01 19:56
週刊BCN 2007年10月29日vol.1209掲載
PCケースと電源を二本柱に
Antecショールームを情報発信地として展開
■価格競争が進む中 高付加価値製品が伸長
「BCNAWARD 2008 PCケース部門」の年間ランキングを狙うAntec(アンテック)。デザイン性、静音という高付加価値を提供するPCケースのニーズは高く、価格競争が激しいPCケース市場に一石を投じている。その結果、BCNランキングによると、2007年1月-6月までの台数シェアは16.5%と2位以下を大きく引き離し、07年上期のNo.1シェアを獲得している。「これは、日本のお客様がコスト重視ではなく、製品の品質や価値を理解されている証しと言えるでしょう。そのような市場において、当社の製品は強みを発揮します」と、Antecのスコット・リチャーズ バイスプレジデントは語る。Antecのケースは、ケーブルマネジメントを採用したり、高品質な部品を随所に採用している。詳細にわたる製品の作り込みがユーザーからの支持を獲得しているのである。
同社では「お客様に真の商品価値を提供することを第一優先」(リチャーズ バイスプレジデント)と考えている。これは、Antec製品への投資を決して無駄にさせないという意思の現れでもある。PCケースのみならず、電源カテゴリーでも同様だ。Antecは電源カテゴリーにも注力しており、米国で高いシェアを誇っている。
日本市場では、07年10月から「Neo
Power(ネオパワー)」シリーズが発売されている。「NeoPower」で特徴的なのは、ケーブルマネジメントや電源効率が85%であるという点だろう。
Antecの電源は、通常の電源よりも3割程度効率がよく、無駄な電力消費を抑えている。また、OPP(過負荷保護)、OVP(過電圧保護)、SCP(短絡保護)、UVP(電圧不足保護)により負荷による損傷を防止する。さらに安全規格の最高権威である米国のUL規格やカナダのCUL規格、ドイツのTUV認定など世界最高水準の安全性認証(UL、CUL、FCC、TUV、CE、C-tick、Class B、CCC、CB)を取得しており、高レベルの安全性を実現するために工業用のグレード保護回路を有している電源でもある。
国内の電源カテゴリーについても価格競争が進んでいるが、PCケース同様、高品質・高付加価値製品の投入で、一気にシェアを獲得する構えだ。冬商戦はPCケースと電源の二本柱で台風の目となるか。同社の動向が非常に注目されている。
■体感できるショールームで市場のすそ野を広げる
「07年の日本市場で、大きな飛躍を遂げることができています。これは、国内総代理店であるリンクスインターナショナルとのパートナーシップによるものだと思います。秋葉原にAntecショールームもオープンし、市場を広げていく所存です」と、リチャーズ バイスプレジデントは語る。07年8月、末広町駅前(東京)にAntecショールームがオープンした。ここは、Antec製品を軸に販売店への販売支援サポートやユーザーとのコミュニケーションの場として活用されている。AntecショールームではAntecのPCケースを使ったショップブランドのホワイトボックスなどが展示され、実際に触って試すことができるようになっている。
Antecショールーム・スタッフの八倉巻孝仁氏によると「パワーユーザーや法人のお客様が来られることが多いのですが、“なんだろう”といった表情で入ってこられるお客様もいらっしゃいます」とのことだ。
ショールームの開設により、これまでAntecを知らないユーザーにもAntecのよさを知ってもらうきっかけになっているようだ。
また、同ショールームでは、Antec製品の保守部品も用意している。「ネジやベゼル(ふた)といったものから、サイドパネル、小型PCケースの電源まで揃えています。在庫がなければ取り寄せることもできます」(八倉巻氏)。ショールームを情報発信地として展開していくという両社の新しい提案は、カンフル剤となるだろうか。
この冬商戦、同社の事業拡大に期待が高まる。(週刊BCN 2007年10月29日号掲載)
リンクスインターナショナル=http://www.links.co.jp/