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<キヤノンシステムソリューションズ特集> 包括的な統合セキュリティを提供「ESET Smart Security」

2007/10/31 15:49

週刊BCN 2007年10月29日vol.1209掲載

「NOD32アンチウイルス」を継承し、高速・高機能が武器

 キヤノンシステムソリューションズは、アンチウイルスに加え、アンチスパイウェア、パーソナルファイアウォール、アンチスパムメールといった機能を統合し、包括的な防御・保護機能を搭載した「ESET Smart Security」を提供する。統合化された新しいソリューションについてESET社Chief Technical OfficerのMiroslav Trnka氏とChief Software ArchitectのRichard Marko氏に話を聞いた。

■欧米を中心にワールドワイドで展開するESET社

 キヤノンシステムソリューションズは、優れたヒューリスティック機能を搭載し、新種ウイルスも阻止できるアンチウイルスソリューション「NOD32アンチウイルス」を提供している。「NOD32アンチウイルス」はスロバキア共和国のESET社が開発しているアンチウイルスソフトで、1987年に最初のバージョンが開発されている。

 「NOD32アンチウイルス」は業界屈指のウイルス検出率を誇り、カカクコムの不正アクセス事件において、ほかのアンチウイルスソフトをすり抜けたウイルスを唯一検知したことで、業界の話題となった。そのバックボーンにあるのは高い技術力だ。「NOD32アンチウイルス」は、コンピュータウイルス感染防止・識別・除去の国際誌「VirusBulletin」において「ウイルス検出率100% AWARDを最多の46回(07年10月時点)受賞するなど、第三者機関からも高い評価を得ている。高い検出率に加え、アンチステルス技術を利用したルートキットの検出・駆除も実現している。「NOD32アンチウイルス」は、これだけの高機能でありながら、非常に軽快な動作という、一見相反する付加価値を兼ね備え、パワーユーザーを中心に支持を獲得し、市場を広げている。

 「インターネットの脅威は2003年をターニングポイントとして、愉快犯的なものから、金銭を奪取する犯罪的なものへと変化してきました。そのため、個人・企業を問わず、より確かなセキュリティ対策を求める声は高くなっていると感じています」と、ESET社

のMiroslav Trnka氏は語る。さらにMiroslav Trnka氏は、「最近ではゼロデイアタックが増加し、シグネチャベースのアンチウイルスなどでは対応しきれなくなっています。シグネチャがなくてもウイルスを検出しPCを保護する仕組みが必要です。“NOD32アンチウイルス”が注目されたのは、この仕組みが優れていたためです」と続けた。また、ウイルスだけではなく、複合型の脅威も増加しており、1つの対策だけで万全の対策とはならなくなってきている。

 そこで同社は、アンチウイルスに加え、アンチスパイウェア、パーソナルファイアウォール、アンチスパムメールといった機能を統合し、包括的な防御・保護機能を提供する統合型ソリューション「ESET Smart Security」を開発。07年10月29日にリリースし、11月1日よりダウンロード販売、11月8日よりパッケージ販売を行う予定だ。

 「ESET Smart Security」は「Think Smart.」をコンセプトとしており、「“Integrated(統合化)”“Intelligent(知的)”“Lightweight(軽快)”“Fast(高速)”“Precise(正確)”“Proactive(先見性)”をキーワードとして開発を進めています」(Miroslav Trnka氏)とのことだ。このキーワードをすべて網羅しているソリューションは、市場でも類を見ない。

 新しく搭載されたパーソナルファイアウォールは、ネットワークの通信を監視し、侵入・攻撃検知を行い、不審な通信の遮断を行う。「SQLインジェクションやコードレッドにも対応しているため、脆弱性を最小化することに成功している」(Miroslav Trnka氏)とのことだ。

 また、ファイアウォールでの通信の許可・遮断の設定は「ESET Smart Security」が最適値を決定する「自動モード」のほか、許可したルール以外の通信発生時にはダイアログを表示し設定する「対話モード」、手動でルールを設定する「ポリシーベースモード」の3種類が用意されており、初心者からパワーユーザーまで、ユーザーの活用シーンに応じて、柔軟に設定できる。また、IPv6にも対応している。「スパムメール対策機能」は、Microsoft Outlook、Microsoft Outlook Express、Windowsメールに対応し、ブラック・ホワイトリストの利用はもちろん、独自の迷惑メール対策エンジンに加え、ベイジアンフィルタを使用した学習を行い、効果的な対策を実現する。これらの機能が連携することで、強固なセキュリティを簡単に導入できることになる。

■軽快・高機能に加えわかりやすいUIでユーザー層と市場の拡大を狙う

 「ESET Smart Security」は、ウイルスやスパイウェアを検知した場合、ユーザーの操作は不要で、自動駆除・削除が行われる。また、PCパフォーマンスを低下させることなく、バックグランドでスキャンを実現するため、導入するだけで常にクリーンな状態が保たれる。「“ESET Smart Security”は、ウイルス・スパイウェア検出機能の強化以外にも、ウイルスやスパイウェアに対する駆除機能も強化されています。これまで駆除のためファイルの削除を行っていたケースもありましたが、ウイルスやスパイウェアだけを駆除できるようになりました」(Miroslav Trnka氏)。

 さらに「ESET Smart Security」は、未知(新種)の亜種に対しては、遺伝子技術を活用し、ウイルスを解析することで、これまで以上に高い検出率を実現しているのである。

 ESET社 Chief Software ArchitectのRichard Marko氏は「このように“ESET Smart Security”は、“NOD32アンチウイルス”に新たな機能を加え、さらに検出率の向上を図ったにもかかわらず、これまで分けていたコンポーネントを1つにすることで、“NOD32アンチウイルス”よりも軽快に動作するようになりました」とその軽快性についても強調した。機能、軽快さだけではなく、使いやすさについても、こだわりがある。「特に今回、初心者の方でもすぐに使えるよう、インターフェースにこだわりました」とMiroslav Trnka氏。

 メイン画面ではセキュリティの状態がアイコンで表示され、視覚的にも分かりやすくなっている。これまでの「NOD32アンチウイルス」は、詳細な設定ができる反面、初心者には設定しにくいという課題もあった。「ESET Smart Security」は、初心者でも扱いやすいインターフェースを用意することで、ビギナーまで間口を広げることになる。全方位でインターネットの脅威から守る製品力、使い勝手の良さなどを併せ持ち、初心者からパワーユーザー、法人市場まですべてのユーザーに向けたESETからの提案が「ESET Smart Security」といえるだろう。

 「ESET Smart Security」は、当初、個人・SOHO向けパッケージが提供されるが、企業向けライセンスの提供も予定されている。「NOD32アンチウイルス」のメリットを生かしながらも統合化したソリューションとして、マーケットの拡大も期待できる。

 販売店にとっても、付加価値の高い「ESET Smart Security」は、これまで以上に販売しやすいソリューションに仕上がっている。訴求しやすいソリューションは、ビジネスチャンスにもつながる。今後の伸長が期待できるソフトウェアといえるだろう。(週刊BCN 2007年10月29日号掲載)
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外部リンク

キヤノンシステムソリューションズ=http://www.canon-sol.co.jp/