Special Issue

<仮想化ソリューション特集> 後編

2007/10/29 19:56

週刊BCN 2007年10月29日vol.1209掲載

新世代の耐障害性ツール
ソフトウェアで二重化し、サーバーの連続稼働を実現

■仮想化と高可用性技術を搭載 低コストで冗長化を可能に

 ネットジャパンは、ミッションクリティカルなシステムの連続稼働に向けて、2007年5月に仮想化技術と高可用性技術を搭載した耐障害性ツール「Marathon everRun FT」「同HA」の出荷を開始した。

 開発元のMarathon Technologies社の小山恵一・ビジネスアライアンスマネージャは、「従来のフォールトトレラントは、専用に設計されたハードウェアが必要なため、マシンやメーカーに依存してしまうといった課題がありました。その点『Marathon everRun』は、ソフトウェアでフォールトトレラントを実現するので、低コストで自由度の高いシステムを構築できます」と語る。

 「Marathon everRun FT」は、標準的なIAサーバーを利用するため、専用の部品を用意する必要がない。「ソフトウェアロックステップ」というCPUを同期させる仕組みにより、2台のサーバーのCPUの同期を取りながら同じ処理を実行することができる。これにより、障害が起こっても連続稼働が実現できる。

 なお、2台のサーバーは、CPUやメモリを分割して仮想サーバーを構成。また、仮想サーバーからみえるデバイス、ネットワークは仮想デバイスとして実装されるため、I/Oを物理サーバーと切り離して障害から守ることが可能だ。

 さらに、「Marathon everRun」の障害監視機能は、業務負荷に影響を受けることなく信頼性の高い監視が行え、運用管理のコストや手間を軽減できる。

 一方、「Marathon everRun HA」は、I/O制御部分にFTと同じフォールトトレラント技術を採用し、障害発生時の大半において連続稼働を実現する。サーバー全体の障害発生時には、ソフトウェアロックステップに代わってOS環境ごとフェイルオーバーする。このとき、OS環境を含めたシステム全ての設定が2台のサーバー上で常に同一であるため、フェイルオーバーの失敗がない。また、仮想サーバーを停止することなく、仮想サーバーのデータを待機サーバーにコピーできるので、計画停止の必要性を削減し、管理者の負担を大幅に減らすことができる。

 その他の特徴として、「Marathon everRun HA」は異なる構成のサーバーでも使用でき、SMPにも対応しているため、「Marathon everRun FT」と比べて構成の自由度と拡張性が高い。また、「Marathon everRun FT/HA」両方に利用可能なオプションであるSplitSiteを使用すれば、物理的に離れた場所にあるサーバー同士での二重化を図ることも可能だ。

■初年度1億円、3年後は5億円へ 認知度向上へパートナーと協業

 「Marathon everRun」シリーズの拡販に向けて、ネットジャパンの山崎純二・取締役副社長は「フォールトトレラントは、ハードウェアという認識がまだ主流ですが、“ソフトウェアによるフォールトトレラント”が浸透してくれば、コストや運用管理が大幅に改善されるのは間違いありません。現在、『Marathon everRun』の1次代理店は3社ありますが、ソフトウェアディストリビューターとして以前からアプリケーションクラスタリングシステムを手がけてきた実績、技術力を持ったパートナーとの協業、独立系ならではのマルチベンダー対応などは、他社にはない大きな強みになるでしょう」と、その意気込みを語った。

 同社の「Marathon everRun」の初年度の売上見込みは、直販、パートナー販売あわせて1億円。3年後には5億円、500ライセンスを目標に掲げている。

 「Marathon社とXenSourceとの提携で、来年春には『Marathon everRun for Xen Enterprise(仮称)』の発売も予定されています。運用管理負荷、コストの軽減というサーバー統合のメリットを享受する意味でもソフトウェアによる連続稼働の実現をアピールしていきたいと思います」と、山崎副社長は今後の抱負を話す。

 企業の信用、信頼の低下に直結するダウンタイムをいかになくすかという課題の解決に、ネットジャパンが重要な役割を果たすことになるだろう。ソフトウェアディストリビューター“ネットジャパン”の、今後の活躍に期待したい。

ネットジャパン=http://www.netjapan.co.jp

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