Special Issue

<ネットワーク特集> 新しい局面を迎えつつあるネットワーク市場

2007/09/27 19:56

週刊BCN 2007年09月24日vol.1204掲載

新しい市場を創出する『FlexNetViewer』
コンテックの総合力から製品化につながった

■VGA出力を汎用のLANに、出したい画面をどこでも表示

 PCのRGB出力を分配し、複数のモニターに同一画面を映し出すことで、会議などをスムーズにすすめようという動きがある。このような環境を構築するためには、VGA分配機という製品が使われることが多い。しかしVGA分配機は、アナログ信号を分配するため、画質の劣化が起こり、ある程度距離がある場所への画像配信ができないという課題もあった。

 コンテックでは、PCのモニター画面を延長するためにRGBのアナログ信号をデジタルデータに変換し、イーサネットに載せて配信できる仕組みを考案した。これは『FlexNetViewer』というアプライアンスを使い送信側に「RP-VL-S-01」、受信側に「RP-VL-R-01」を設置して画像の配信を行う。既存のLAN回線を使って画像配信できるため、導入の工数も大幅に軽減でき、デジタルデータ化しているため、画像の劣化がおこらない。さらに、LAN上でRGB出力を配信しているため、LANの汎用HUBを介すことで接続台数を増やし、同時接続することも可能となる。

 「通常のVGA分配機は1対nで画像配信を行いますが『FlexNetViewer』は送信側・受信側でスイッチを切り替えることで、n対nの接続が可能となります」とデバイス&コンポーネント事業部・国内営業本部ユーザー・エンジニアリング部・仲野真治部長は語る。

■パソコンのOSに依存せずプラットフォームを選ばない

 また『FlexNetViewer』は、PCのRGB出力を取り込んで延長しているため、OSに依存せず、さまざまなプラットフォームで活用できるという特長を持つ。モニター固定用アダプターがオプションで用意されているため、設置場所に困らない。

 「『FlexNetViewer』の開発のきっかけになったのが、当社の役員会議です。役員会議室に設置してある自社開発のVGA分配機を当社の得意としているEthernet技術で延長できれば、ビジネスチャンスを広げることができるのではないか、という発想から誕生した製品です」とデバイス&コンポーネント事業部・通信制御技術部 通信制御課・土田隆夫課長は語る。

■画面出力だけでなくリモートI/Oで入力も受け付ける

 実は『FlexNetViewer』の最大の特長は「リモートシリアルI/O機能」「リモートデジタルI/O機能」に対応しており、タッチパネルやデバイスからの入力を受け付けることができることだ。RS232C端子で接続するポスレジなどにも十分応用できるだろう。さらに工場などで使う場合には、スイッチやランプなどの制御も可能となり、これまでのVGA分配機市場とは全く異なる新しい利用シーンが生まれている。

 「一番苦労した点は、いかに速度を上げるかということでしたね。フレームレート量を向上させるため、内部のロジックなり構造なりを考慮し、作っていきました。その結果『FlexNetViewer』では、画面に変化がなければ信号を流さないようにしています。変化したところだけ送るため、リアルタイム性を損なわず製品化できたと思います」(土田課長)。

 コンテックには、マイコン、パソコン、通信、マルチメディアを核に、豊富な品揃えと差別化したデバイス&コンポーネント事業、顧客志向のソリューション&サービス事業を展開している。そこで培われた総合力を活かした製品が『FlexNetViewer』である。

 新しい市場を創造するポテンシャルを秘めた『FlexNetViewer』。同社の今後の展開に、期待の声も大きい。

コンテック=http://www.contec.co.jp/

(週刊BCN 2007年9月24日号掲載)