Special Issue

<特別レポート> サンワサプライのLANケーブル事業 高速LANケーブル市場が拡大

2007/09/24 19:56

週刊BCN 2007年09月24日vol.1204掲載

■品質保証制度を検討 環境保全に積極貢献

photo カテゴリ7は、メタルケーブルの「最高峰であり、最後の規格である」とベガシステムズでは予測している。このため一度採用したら長年にわたって使い続けられる性質のものであり、経年劣化の少ない耐久性が求められる。従来は新しい規格が登場することにより、古いケーブルを置き換えるケースが多く、経年劣化が問題視されるほどの期間、利用されてこなかった。

 しかし、カテゴリ7はそういうわけにはいかない。メタルケーブルと光ケーブルは特性の違いから今後とも用途別に併用が続くとみられている。ただ、メタルケーブルはカテゴリ7の登場によって、ほぼ完成形に到達。今後は、高品質、高耐久性がより強く求められるようになるのは必至だ。1本のケーブルを長期間にわたって使用するのは省資源、環境保全にも結びつく。この分野でどれだけ先行できるかがLANケーブルビジネスの成否のカギを握る。

 品質管理を徹底するには製品を1品ずつ識別し、原材料から製造、検査の各工程までさかのぼってトレース(追跡)する仕組みづくりが欠かせない。カテゴリ7では初めてケーブル1本ずつにシリアルナンバー(通し番号)をつけ、この情報をもとに製造工程までさかのぼって検証できるようにした。万が一、品質に問題がある製品が出たら、すぐさま原因をトレースし、再発防止に向けた改善策を打つことができる。

 また、電気機器を対象とした欧州連合(EU)の特定有害物質の使用制限基準「RoHS(ローズ)指令」にも対応するなど、環境に配慮した原材料を厳選する取り組みも強化している。原材料を明確にすることは、排出後のリサイクルにも役立つ。LANケーブルは、構造が複雑な割にメタルケーブルや電波遮断用の絶縁皮膜など、リサイクル可能な素材が多い。リサイクル率を高めるためにも原材料の明確化は必須である。

 検討段階ではあるが、カテゴリ7に関する品質保証制度の創設も視野に入れる。若尾社長は、「サンワサプライと共同開発したカテゴリ7パッチケーブルは5年、10年と長く使える品質、耐久性がある。これを保証することで利用者に安心して使っていただく」と、品質保証検討の背景を語る。長期間にわたるメーカー保証は、品質にこだわりと自信がある現れともいえる。

 高速通信を実現するには、電波漏えいを防ぐための徹底した品質管理が求められる。高い品質は同時に長期間の使用にも耐えるものでなければならず、無駄な排出を抑えることで環境保全にもつながる。原材料の管理はリサイクルに役立っており、LANケーブルのリーディングカンパニーとして今後も品質向上と環境対応に努めていく方針である。メタルケーブル最高峰であるカテゴリ7は、従来のLANケーブルビジネスのあり方を大きく変える有力商材に成長している。



カテゴリ7パッチケーブル
サーバー用途などで販売伸びる
ケーブル密集でも通信速度保つ

 エイリアンクロストークをなくしたカテゴリ7パッチケーブルは、高速通信を行うサーバー用の通信ケーブルとして販売本数が急増している。近年ではサーバーの小型化が著しく、集積度は高まるばかりだ。こうしたケースではどうしてもケーブルの密集度が高くなり、必要に応じて束ねることもある。従来のカテゴリ6ではエイリアンクロストークが避けられない状況であったが、「カテゴリ7ではこうした心配がいらないことが高く評価されている」(サンワサプライの林洋之・企画開発部課長)と話す。

 ラックマウント型サーバーでの用途が多く、1つのラックに数十本まとめて購入するユーザーが増えている。データセンターなどでは大量一括購入も進む。また、品質管理用にカテゴリ7ケーブルにつけたシリアルナンバーは、ユーザーにとってはケーブル管理に役立つ。1本ずつに固有の番号が割り振ってあるため、どの番号のケーブルが、どのサーバーや通信機器の何番接続口に接続してあるのかを記録しておくことで、容易に管理できるからだ。

 これまではラベルを貼り付けたり、色分けしたりしていたが、シリアル番号によって「管理工数が減った」というユーザーも多いという。

 用途はサーバールームだけではない。サーバールームから離れた端末でも高速通信したいという要望が強まってきたことから、今年8月末には全長50メートルのパッチケーブルも製品ラインアップに加えた。サーバールーム内ではケーブルの長さが15メートル未満の用途が主流であったため、従来は最長30メートルの品揃えしかなかった。今後は必要に応じて長さやカラーバリエーションを増やすなど柔軟に対応していくことで、より一層の販売増を見込む。

(週刊BCN 2007年9月24日号掲載)