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ネットワールド、オラクル、ニューシステムテクノロジー 新たなバリューを提供する内部統制支援ツール「Chakra BI Solution Pack」

2007/08/28 15:49

週刊BCN 2007年08月27日vol.1200掲載

データベースログ分析から始める内部統制の見える化への取り組み

 内部統制では企業内のIT資産が規定に沿って正しく運用され、適切に管理されているかが問われる。しかし、多くの企業では部門ごとに異なるデータベースを利用したサーバーが構築されており、情報の一元管理は大きな課題となっている。そうした中、データベースログ分析によって内部統制の見える化を支援する、ネットワールド、オラクル、ニューシステムテクノロジー3社の共同ソリューション「Chakra BI Solution Pack」が注目されている。目前に迫った日本版SOX法(金融商品取引法)に応え、新たなバリューを提供するソリューションの目的と販売戦略について3社に話を聞いた。

■ログ+BI+販売力がもたらす 新しいセキュリティのカタチ

 TCOの削減と並んで企業の最重要課題のひとつとなっている内部統制。2008年度にはJ-SOX法が施行され、対象企業は内部統制を維持、運用、管理する体制と、内部監査報告書の提出が義務付けられている。SOX法が施行されている米国では、業務プロセスの見える化(可視化)に膨大な時間、コストがかかったが、その反省を生かしたJ-SOX法においても、未だに多くの企業が対応に追われており、本稼働に向けて急ピッチの作業が続いている。

 そうした中、注目を浴びているのがネットワールド、オラクル、ニューシステムテクノロジーが共同した「Chakra(チャクラ)BI Solution Pack」である。

 ネットワールド・森田晶一専務は、「ソリューションディストリビュータとして、企業の価値を高める新しいソリューションに選んだのが、データベース操作をリアルタイムに監視、検知、記録、防御する『Chakra』と、分析、レポーティングなど機能が充実しているオラクルの『Oracle Business Intelligence Standard Edition』の組み合わせです。現場と経営の両面から『見える化』を実現できる点に大きな価値があります」とソリューションの狙いを語る。

 製品を提供する2社も、ネットワールドの販売力に期待をよせるほか、ニューシステムテクノロジー・野田信昭社長は、「データベースログはセキュリティの抑止効果を発揮しますが、そこにBIツールをプラスすることで、データウェアハウスのように事象、原因究明などを関連付け、業務の改善、最適化が図れます。つまり、抑止力プラス生産性を上げるツールに転換できる、そこに新しいセキュリティ製品のニーズがあると思います」と述べる。

 オラクルの長谷川信光ビジネスパートナー第二営業本部長は、「BIツールは単独で売るには難しい部分がありますが、組み合わせて提供することで、内部統制の実現を支援する機能を提供できます。中堅企業までBIを訴求することができると期待しています。また、ChakraはマルチDB対応ですがOracleデータベースと親和性があり、データベースの拡販という意味でも魅力的です」と共同ソリューションのメリットを強調する。まさに「3本の矢」のように、ひとつの製品や企業ではできない試みが、新しいセキュリティのカタチを誕生させた。

■専門家ツールではない強み「結果としてのBI」

 現在、コンプライアンスに向けた取り組みとして、「Eメール」「データベース」といった2大アーカイブのニーズがあるといわれている。しかし、実際には導入する企業とソリューションを提供する企業とで温度差があり、専門家を要する運用管理の難しさが導入の足かせとなっている。

 「専門家がいなくても容易に導入企業が運用管理できるソリューションが、Chakra BI Solution Packです。中堅企業がコンプライアンスに取り組むきっかけになればいいですね。コンプライアンスの必要性に企業規模は関係ありません」(森田氏)と、専門家ツールではないところに大きな強みがある。

 また、内部統制において、最も労力を要する「見える化」についても、「これまでデータベースログの記録だけに留まり、分析まで手が回らなかった企業が、内部統制によりログ分析の必然性を強く感じています。ChakraとBIツールの連携で、単なるレポート作成だけでなく、多角的かつ柔軟な分析が求める結果を導きます」(長谷川氏)と、一歩踏み込んだ活用ができるという。さらに、「Chakraは、日本版SOX法で求められるレポート内容に変更があっても、必要に応じてレポートを生成できるカスタマイズ機能があります。また、BIツールは市場に根付きにくい製品とされてきましたが、Chakraのメリットである100%のログ記録により、精度の高い分析が可能になります。『結果としてのBI』、ここが今までと大きく違うポイントです」(野田社長)とBIの普及を予想する。

■トライアンドエラーで企業にフィット パートナーのビジネスチャンス拡大へ

 発売から3か月が経過し、通信や製造、金融など多様な業種で、分散環境の一元管理を目指す企業などからの問い合わせが増えつつある。

 「Chakraはセキュリティポリシー構築が不要で、自社でトライアンドエラーしながら運用することが可能です。内部統制で何から始めたらいいか迷っているならば、証跡を残すために、ログを取ることから始めてみてはいかがでしょう。すでにログを蓄積している企業なら結果も出やすいでしょう」(野田氏)、「ネットワールドのソリューションディストリビュータとしての、市場をキャッチアップする能力が今回の内部統制支援ツールの提供につながったように、他社製品とのコラボレーションは新たな可能性を創出します」(長谷川氏)と、今後さらなる市場拡大に期待が高まる。

 ネットワールド・森田晶一専務は、「当社にはシステム構築力のあるシステムパートナーがいます。約100社と協業し、大企業から中堅企業までソリューションを提供する輪を作っていきます。以前は異なるメーカ製品の組み合わせは成功しないケースが多々ありましたが、最近はむしろ、組み合わせることで理解度が高まり、成功をもたらすことが多くなりました。“BIはわからないが、こうした商品を使うとBIがわかる”。“J-SOXに何をしなければならないかがわかる”。そうした複合ソリューションの提案に、ネットワールドとしてお役に立ちたいのです。そのためにはまずは製品ブランドを高めていくことが重要です。パートナーにとって新たなビジネスチャンス、新規顧客開拓へつながればいいですね」と語る。

 待ったなしに迫った内部統制は、秋から年末にかけて最大の短期決戦になる可能性もある。

 3社共同のソリューションが新たなセキュリティの形として、内部統制の実現を目指す企業に与えたインパクトは大きい。企業の信頼、安心を築く内部統制を支援するソリューションの活躍に期待が高まる。(週刊BCN 2007年8月27日号掲載)

ネットワールド=http://www.networld.co.jp/
オラクル=http://www.oracle.co.jp/
ニューシステムテクノロジー=http://www.kknst.com
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