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<SaaS特集> 収益性、健全性を伴ったビジネスをパートナーとともに展開

2007/08/27 19:56

週刊BCN 2007年08月27日vol.1200掲載

ネットスイートは継続して使われていくことに意味がある

 オンデマンドで導入できるビジネスアプリケーション提供形態「SaaS(Software as a Service)」が注目を浴びる中、世界で数千以上の実績を持つ「ネットスイート」が日本市場に参入して1年が経過した。国内でも導入実績が徐々に増え、新しい価値の提案が認知されつつある。そこで、営業・マーケティング本部 本部長・高沢冬樹氏に、販売、導入支援を図るうえで重要な役割を担うパートナー戦略と、経営の可視化、業務プロセスの自動化といったメリットを持つ統合業務アプリケーションの継続利用における価値について話を聞いた。

■販売、導入支援の核となるパートナーとの協業

 ERPやCRMなど、業務に特化したアプリケーションやソリューションは、機能性や利便性に加え、業務に精通した知識、提案が要求される。

 ネットスイートの営業・マーケティング本部 本部長・高沢氏は、「様々な業種、業態の企業のニーズに応えるためには、お客様を長年サポートしているSIerの経験、知識が不可欠です。ビジネス習慣や要求レベルは企業ごとに異なりますので、統合業務アプリケーション『NetSuite』が、中堅、中小企業の導入負担、運用負担を減らし、大きな投資を伴うシステムに負けないような包括的な統合機能を提供していても、これですべてを解決できるわけではありません。企業が求めるゴールに向かって、より最適な機能の利用方法を提案できるパートナー『ソリューションプロバイダー』との協業が今後のカギになります」と語る。

 2006年の設立から、トランスコスモス、ミロク情報サービスと提携。2社を戦略的な一次パートナーに位置づけ、さらに販売、導入支援に向けた2次パートナーを今後積極的に募っていく予定だ。

 「中堅・中小企業は、ある意味、大企業以上に特有の強みを持っています。ご採用いただくお客様の強みを存分に引き出すソリューションを提供するためには、広く門戸を開いて、色々な企業とのパートナーシップを組むことが必要です。まずはパートナーの方々に『ネットスイート』への理解を深めてもらうことが大切です。そのため各種トレーニングや学習用アカウントの提供などを実施しています。要求仕様に適切に応える運用性、最適化されたアプリケーション機能同士の連携やデータ分析といった機能的な特長はもとより、高信頼性と高度なセキュリティを備えたデータセンター運営、1ユーザから数千ユーザまで急激なユーザ数の変化にも対応できる拡張性といったSaaSならではの強みを充分に活かし、企業のニーズを具現化してほしいですね」と高沢氏。パートナーとともに企業に価値を提供する、それがネットスイートの販売、導入支援の原動力となっている。

■短期開発でビジネスチャンス拡大 継続的な利用に価値がある

 SaaSは、情報システム構築および運用の負担が大幅に低減できることが導入企業のメリットとしてクローズアップされているが、導入を支援するパートナーにとってもメリットは大きい。

 「ITインフラから手がける必要がないため、初期の売上規模は小さくなるかもしれません。しかし、アプリケーションに特化して、要求仕様を明確にできるので技術者の手配や納期、性能面のリスク管理が容易です。規模が小口になったとしても、きちんと利益を取ることができます。また、もう一つのメリットは、段階的にフェーズを切って拡張できる点です。ひとつのフェーズの開発期間を2-3か月程度と短く設定することで、プロジェクト全体の見通し、見積もり、要求仕様と実装とのギャップなど、リスクを低減できます」(高沢氏)。

 段階的な導入によってリスクを回避し、それが新たなビジネスチャンスを生む。部分最適から全体最適までパートナーの力を発揮できるシナリオが用意されている。

 ネットスイートは、年間利用契約によって事業を展開しているが、企業とパートナー、ネットスイートの3社の関係は、ニーズの具現化、構築による収益向上、契約継続というスパイラルアップをもたらす。

 「たとえば、CRMからスタートし社内で活用の輪が広がれば、企業における『NetSuite』の利用価値の最大化が図れます。ユーザが増えることで段階的にネットスイートとパートナー様の収益機会は拡大します。一方、お客様にとっては利用範囲を広げても1ユーザあたりの費用は変わりません。さらに定期的なバージョンアップの際にパートナー様やお客様に移行負担を掛けません。新しい機能を活用することだけに注力いただけます」(高沢氏)。

 このように、NetSuiteは、新しい価値提案、新しいビジネス機会を創出するツールといえるだろう。

■企業のニーズを具現化する SEのスキルアップを支援

photo 統合業務アプリケーションの導入に際しては、要求仕様を満たす最適な業務プロセスの実装を、適切な導入予算の範囲で実施しなければならない。そのために欠かせないのが、確かな知識と経験を備えたSEである。

 「企業が要求している内容を理解し、『NetSuite』の機能で実現できること、カスタマイズで具現化できることを提案する発想、提案力は重要です。誤解されがちですが、要望がゴールではなく、もう一歩踏み込んだ形で実現できる最適な提案をするためには、業務を理解し、仕組み、考え方などを理解したうえで、お客様と一緒にシステムを作っていかなければなりません。もちろん、当社では、SEの方々にアプリケーションスキル、カスタマイズスキルを深めていただくために、トレーニングや技術セミナーを提供しています」(高沢氏)。

 パートナー支援を進める一方、アプリケーションの機能強化も進んでおり、「NetSuite 2007日本版」が間もなく発売される。“より扱いやすく、パワフルに”をコンセプトに、経営の可視化、業務プロセスの自動化といった従来の強みに、さらに磨きをかけるという。それに伴って、9月6日に開催されるネットスイート主催セミナー「NetSuite 2007 SaaSソリューションフォーラム」では、経営革新や営業戦略に役立つセッションが繰り広げられる予定だ。

 継続的なビジネス、息の長い付き合いができるという意味でも、統合業務アプリケーション「NetSuite」のパートナーであるメリットは大きい。SaaSは商売になるか、その答えを示すネットスイートの製品、パートナーとの協業は、今後、大いに注目を集めるだろう。
(週刊BCN 2007年8月27日号掲載)
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外部リンク

ネットスイート=http://www.netsuite.co.jp/