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プロセス製造業のDXを後押しする国産ERP 業界固有の課題に対応

2025/04/21 09:00

週刊BCN 2025年04月21日vol.2056掲載

 製造業の中でも、流体や粉体などを原材料として、一連の工程の中で製品を生産する業態は「プロセス製造業」と呼ばれる。国産ERPベンダー各社が、このプロセス製造業向けのビジネス拡大に取り組んでいる。プロセス製造業に固有の業務課題に対応した製品の提供に加え、経営層の意思決定の迅速化だけではなく、生産現場の管理者や作業員の生産性の向上につながる機能をERPに搭載することで、業界のDXを後押ししようとしている。
(取材・文/大畑直悠)
 

インフォコム
既存ユーザーのグループ会社へ導入を拡大

 複数の企業からなるコンソーシアムでERP製品を開発・提供するGRANDIT事業を展開するインフォコムは、中堅企業以上向けのオンプレミス版と、中堅・中小企業向けのクラウド版のERP製品を提供している。コアとなる販売や会計といった機能に加え、プロセス製造業向けに、オンプレミス版では業界に特化したテンプレートを用意する。クラウド版では生産管理の部分は外部ソリューションとの連携で一貫して管理可能にしている。

 エンタープライズサービス事業本部GRANDIT事業部門ソリューション営業部フィールドセールスグループの嶋田康治・課長はプロセス製造業に特有の課題として、「例えば鉄鋼業であれば、切り出しや加工のあとに端材が出るが、その端材を溶解して再利用する。化学製造業であれば、生成物と副産物をそれぞれ管理しなければならない、といった事情がある」という。このほかにも、グラムか個数かなど、仕入れ品と完成品で管理する単位が変化するといった特徴があることも紹介。同社のERPは、こうしたプロセス製造に固有の課題に対応可能とアピールする。将来的には、クラウド版でも生産管理の機能を開発するロードマップがあるという。
 
インフォコム
嶋田康治 課長

 商談の際には、経営層の意思決定の支援だけではなく、現場からの業務効率化の要求も強いとする。嶋田課長は「これまで紙やホワイトボードで指示していた業務プロセスをシステム化することで生産性を高めたいといった要望や、作業員の退職によるノウハウの喪失を防止したいという声は強い」と話し、「(ERPは)単に実績値を投入するだけのマシーンでは意味がない。部署間の連携を円滑にし、複数のシステムに入力する手間を省くなど、現場が喜ぶシステムであることが重要だ」と強調する。

 ビジネスの近況としては、国内で多く採用されている独SAP(エスエーピー)のERP製品のうち、「ECC6.0」が2027年末に標準保守期限を迎えることから、リプレースの受け皿として同社のオンプレミス版ERP製品の受注が増えている。嶋田課長は「国産ERPとして、国内の商慣習に標準的に対応している点が評価され、採用が増加している」と話す。

 注力する販売戦略としては、既存ユーザーのグループ会社への導入を目指している。すでに現在の約1500社の導入企業のうち、65%ほどがグループで同社の製品を利用しているといい、親会社ではオンプレミス版、子会社ではクラウド版を使うといった提案を推進する。両製品間で同じデータベースの仕組みを利用できることから、販売実績などをグループ横串で管理可能になる。パートナーによる販売も拡大する方針で、新規のパートナーを募集する。

 インフォコムは4月1日に、子会社のGRANDITを吸収合併し、事業を承継した。嶋田課長は「インフォコムの中でもGRANDIT事業は成長事業と位置付けられている。これまでは必要に応じてインフォコムから人員を連れてこなければならないなど、足回りの悪さがあった。合併によりこれまでよりもスピーディーに製品の価値を届けられるようになった」と説明する。
この記事の続き >>
  • 内田洋行 原価高騰への対応で試算機能に需要
  • 大塚商会 現場がDXの恩恵を享受する機能を提供

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外部リンク

インフォコム=http://www.infocom.co.jp/

内田洋行=https://www.uchida.co.jp/

大塚商会=https://www.otsuka-shokai.co.jp/