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白熱するOSS仮想化基盤市場 強み異なるプレイヤーが続々登場

2025/04/14 09:00

週刊BCN 2025年04月14日vol.2055掲載

 米Broadcom(ブロードコム)によるVMware買収とそれに伴うライセンス変更の影響が色濃く残る仮想化基盤市場に、新たな流れが生まれつつある。オープンソースソフトウェア(OSS)をベースとした仮想化基盤のソリューションが次々と登場しているのだ。扱うプレイヤーはディストリビューター、ハードウェアベンダー、SIerと多岐に渡り、それぞれの強みを生かして価値を発信している。白熱する仮想化基盤市場の今を探る。
(取材・文/堀 茜、藤岡 堯)
 

ネットワールド
関心高まる「Proxmox」商用サポート付与が奏功

 ネットワールドは2024年10月、オーストリアProxmox Server Solutions(プロックスモックスサーバーソリューションズ)とリセラー契約を締結し、OSSベースのサーバー仮想化プラットフォーム「Proxmox Virtual Environment(Proxmox VE)」の販売を開始した。取り扱いを決めた背景について、ネットワールド執行役員の高田悟・マーケティング本部副本部長は、「VMwareのライセンス変更が大きな理由の一つ」と説明する。
 
ネットワールド
高田 悟 執行役員

 ライセンス変更に伴うコストの上昇をきっかけに、中堅・中小企業ユーザーを中心にVMware製品利用の継続を断念する向きが広がった。そこでネットワールドはKVM (Kernel-based Virtual Machine)ベースの仮想化基盤を多く検証。「価格も含めて、戦略的に代替製品を取り扱う必要があった」(高田執行役員)と振り返る。その結果、Proxmox VEは操作性などが最も「vSphere」に近く、顧客にとって学習コストが低いと判断した。
 
ネットワールド
関 浩太郎 次長

 マーケティング本部ソリューションマーケティング部の関浩太郎・SDビジネス課次長は、「Proxmox VEへの問い合わせは非常に多く、ユーザー、パートナーの双方からVMwareからの移行先候補として認識されている」と明かす。移行を検討しているのは、vSphere Standardユーザーで、商用および日本語でのサポートをネットワールドが付与することも後押しとなっている。

 現状は、移行に向けてPoCなど技術検証を進めている段階。ベンダーロックインのリスクを回避したい、同じ環境でハイパーバイザーだけを換えたいというニーズが一番多いという。OSSの仮想化基盤は顧客にとって大きな選択肢になってきており、「今後1年から3年以内に移行はどんどん加速していくのではないか」(関次長)とみる。
 
ネットワールド
工藤真臣 部長代理

 Proxmox VEは、非ミッションクリティカルな用途では必要十分な機能を備えており、価格面でも優位性が高いのがメリットの一つ。vSphereからの移行機能を標準で備え、サードパーティー製品が移行をサポートしている点も評価が高い。技術本部ソリューションアーキテクト部の工藤真臣・部長代理は「価格はVMware製品より相当安い。機能は必要十分でかつ価格が安い製品に、当社が商用サポートをアドオンして提供するのが最大の価値」と説明する。

 Proxmoxの仮想化基盤は国内でのエンタープライズでの導入実績は少ない一方、海外では広く使われていることに加え、国内でも一部環境ではオープンソース版を使っている事例があり、商用サポートがつくのであれば安心して使えるという声もあるという。

 ネットワールドでは、自社施設で検証環境を提供し、顧客に評価してもらうといった支援も手掛ける。関次長は「パートナーや顧客の不安を払拭できるようにしていきたい」と展望。同社では引き続きVMware製品を取り扱うほか、米Nutanix(ニュータニックス)などの仮想化ソリューションも提案しており、「Proxmoxも選択肢の一つとして、提供ポートフォリオを拡大した。顧客が最適な製品を使えるように支援を続けていく」(高田執行役員)とする。
この記事の続き >>
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