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米Qualtrics、年次イベント「X4」開催 エクスペリエンスマネジメントを日本にも

2025/04/10 09:00

週刊BCN 2025年04月07日vol.2054掲載

【米ソルトレークシティー発】顧客体験(CX)や従業員体験(EX)といったエクスペリエンスマネジメント(XM)において市場をリードする米Qualtrics(クアルトリクス)は、米ソルトレークシティーで3月18~20日の3日間にわたり年次カンファレンス「Qualtrics X4」を開催した。日本では概念自体の普及が道半ばのXMだが、その拡大に向けて、クアルトリクスはどんなアプローチを取ろうとしているのか。現地での取材を通して可能性を展望する。
(取材・文/五味明子、編集/日高 彰)
 

 「日本市場における直販とパートナーセールスの比率は9:1で、直販がほとんどを占めている。しかし逆にいえば、これはわれわれにとってもパートナー企業にとっても、日本のエクスペリエンスエコシステムを拡大する大きなチャンスでもある」

 クアルトリクスのブライアン・ストゥーキCOOは、Qualtrics X4会期中に行った筆者とのインタビューでこう語った。日本ではそもそも、XMという概念自体があまり普及していないのが実情だ。もちろん、どの企業も「顧客や従業員の声を聞く」ことは重視しているだろうが、それらの声の発生源となったエクスペリエンスを可視化し、一元的に管理することのメリットを知る日本企業は決して多くない。
 
米Qualtrics
ブライアン・ストゥーキ COO

 一方で、トヨタ自動車や富士通、LIXILといった、それぞれの業界を代表する企業によるXMプラットフォームの導入事例は国内でも年々増加する傾向にある。ストゥーキCOOは「顧客や従業員のエクスペリエンスを正確かつ迅速に管理することがビジネスにどれほどのバリューをもたらすのか、われわれの製品のユーザーはよく分かっている」という。実際に、同社製品のユーザー企業はXMを戦略的に活用することで、顧客/従業員のロイヤリティーやエンゲージメントを強化し、企業価値やブランドの向上につなげている。

顧客/従業員の声をアクションにつなげる「ループ」

 クアルトリクスのXMプラットフォームは、CX、EX、そして「戦略&リサーチ」という三つの製品カテゴリーに大きく分けられる。もともと、学術調査用のオンラインツールの提供からスタートした同社は「誰でも簡単に調査やアンケートを行える、フィードバックを獲得しやすいプラットフォーム」を創業時から標榜しており、その基本姿勢はいまも変わっていない。

 ビジネスを前進させるためには、顧客や従業員の声からフィードバックを正しく、かつ素早く読み取る必要がある。そして、その分析から得られたインサイトを基に顧客のフォローアップというアクションを迅速に実行し、結果をチームで共有してさらなる関係改善につなげていく。クアルトリクスが調査のためのデータ収集会社にとどまらず、エクスペリエンスを管理するプラットフォーマーへと進化できた最大の理由は、得られたフィードバックを必ず生かしてアクションを起こすというサイクル(ループ)を、一つのプラットフォーム上で完結させる“Closing the Loop”を徹底しているところにある。
 
カンファレンスの目玉となるAIエージェント
「Experience Agents」を発表

 今回のカンファレンスで同社は、XMプラットフォームに実装するAIエージェントの「Experience Agents」を発表した。この新機能は、クアルトリクスがこれまで蓄積してきた膨大なエクスペリエンスデータ、つまり“人間の感情と行動のデータ”を基にトレーニングされており、AIエージェントでありながら、「自動化されたタスクをこなすだけではなく、顧客や従業員との信頼関係を構築して、さらにその関係性を深めていく共感的なアプローチでエクスペリエンスのClosing the Loopを実現する」(ブラッド・アンダーソン・製品/エンジニアリング担当プレジデント)という、人間的なデジタルワーカーとしての役割が期待されている。獲得したフィードバックは一つとして無駄にせず、エクスペリエンス改善のループに取り込んで完結させる、これがXMプラットフォームを戦略的に活用する上で最も重要なポイントとなる。

 カンファレンスの基調講演にゲスト登壇した米ServiceNow(サービスナウ)のビル・マクダーモットCEOもClosing the Loopの重要性をよく理解しており、「サービスナウでは2万7000人の従業員全員が日常的にどのように行動しているかを把握するために、XMプラットフォーム上でClosing the Loopのプロセスを有効にしている」と語っている。
 
基調講演で米Qualtricsのジグ・セラフィンCEO(左)と
対談する米ServiceNowのビル・マクダーモットCEO
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外部リンク

クアルトリクス=https://www.qualtrics.com/ja/