Special Feature
GPUサーバー特需対応の切り札となる コンテナ型データセンター
2025/03/27 09:00
週刊BCN 2025年03月24日vol.2052掲載
(取材・文/日高 彰、大向琴音、大畑直悠)

ラックあたりの電力は10倍以上に
政府は経済安全保障推進法に基づき、AI用の計算資源を国内で安定供給することを目指し、23年度から国内のクラウド事業者に向けてGPUサーバーの調達支援を開始した。これまでに総額1200億円以上の助成を行っており、国内の通信事業者やクラウド事業者、DC事業者がGPUサーバーの配備に一斉にかじを切ったことで、各地で生成AI向けDCの展開が加速している。GPUサーバーは従来の一般業務向けのサーバーに比べて大きな電力を消費し、大量の熱を発生させる。従来のDCは1ラックあたり3~4kWの電力供給、冷却ができるように設計されていたが、GPUサーバーを満載するとなると50kW程度を想定する必要があり、給電・冷却とも従来の設計では対応できない。現在のDCにGPUサーバーを設置した場合、1本のラックにサーバーが1~2台しか搭載できないといった状態となり、設備の運営効率としては非常に悪い。また、高密度でGPUサーバーを搭載するとなると、本紙2050(2025年3月10日)号の特集「水冷GPUサーバーの販売増へ」でも伝えた通り、DCも水冷への対応が前提となる。
とはいえ、GPUサーバーの導入を目的としたDCを新たに建てるとなると、設計や施工に加えて、建設確認など手続き面での時間も要するため、数年単位のプロジェクトになり目の前の需要に応えることはできない。最新の製品の仕様に合わせて建屋を設計しても、GPUサーバーや生成AIの技術トレンドが変わり、数年後には設備が陳腐化してしまうおそれもある。建設業界の人手不足やコスト増で、大規模な建物に対する投資が難しくなっているという現状もある。
貨物コンテナなどの中にサーバーやネットワーク機器、電源・冷却設備などを搭載するコンテナ型DCが注目を集めている背景には、このようなGPUサーバーに関する需要と技術的な制約がある。コンテナ型DC自体は、遠隔地の拠点へのDCの展開や、遊休地の活用といった目的で従来から一部で活用されてきた設備形態だが、ここ数年の動きとしては、従来型DCでカバーできない生成AI特需に対応するには、コンテナ型を選択せざるを得ないという側面も大きい。
- 大量GPUの迅速な配備にはコンテナ型の選択が必然
- 自社に基盤を置けない企業にモジュール型DCで対応
- 今後の主流か、それとも過渡期か
- サービス事業者に新たな収益機会を提供
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