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日本IBMのパートナービジネス AIと自動化、ハイブリッド軸に協業を加速

2025/03/06 09:00

週刊BCN 2025年03月03日vol.2049掲載

 日本IBMは、▽AI▽自動化▽ハイブリッドを前提としたシステム設計―の三つを軸に、ITサービスからソフトウェア、ハードウェアに至る全ての事業領域でビジネスパートナーとの協業を加速させる。1月27日に都内で開催した年次イベント「IBMパートナー・フォーラム2025」で山口明夫社長が方針を示し、既に、パートナーのソリューションやサービスへのIBM製品の組み込み促進、販売パートナー支援の強化、地域のソフト開発リソースの活用など多方面にわたって連携を拡充している。同日表彰されたパートナー事例を交えて、日本IBMが目指すパートナー協業の実像をレポートする。
(取材・文/安藤章司)
 

事業階層ごとに関係を深化

 山口社長は、AI活用とシステム運用や業務の自動化、クラウドやオンプレミスの組み合わせを最適化するシステム設計に、日本IBMの経営資源を集中させると表明した。
 
山口明夫 社長

 AIではさまざまなシステムと連携するオープン戦略を柱に据え、複数のAIを取りまとめるオーケストレーションに注力する。大規模言語モデル(LLM)を例に挙げると、営業や経理などの業務別ごと、製造や医療などの業種ごとに専門的なLLMの開発が進むことを見越して、これら複数のLLMを統合的に管理、活用できるようにする。

 二つめの自動化では、AIを積極的に活用してシステム運用や業務の自動化を推進するとともに、障害が発生した際の復旧の自動化にも力を入れていく。三つめはクラウドやオンプレミス、メインフレームやオープン系サーバーといった異なるアーキテクチャーのIT基盤の組み合わせを最適化できるよう、設計の段階からハイブリッドを織り込む「ハイブリッド・バイ・デザイン」を加速させる。

 ハイブリッド・バイ・デザインについては、日本IBMとインターネットイニシアティブ、三菱UFJ銀行と協業して構築した、メインフレーム、オープン系サーバー、パブリッククラウドを組み合わせた地銀向け共同プラットフォームの事例を挙げ、「設計段階から最適なハイブリッド環境を考えていくことが必要になる」(山口社長)と説いた。

 日本IBMはこれら三つの重点分野を軸に、システム構築(SI)やソフトウェア、ハードウェアの主要な事業階層ごとにビジネスパートナーとの最適な協業関係を深めていく(図参照)。
 

 SI階層では全国8カ所の「IBM地域DXセンター」を通じて地場パートナーの開発リソースを活用するとともに、クラウド/SaaSベンダーやパッケージソフト各社との製品連携を積極的に働きかける。ソフトウェア階層では、「Apptio」や「Cloudability」「Turbonomic」などの業務システムの運用管理の自動化製品群、「watsonx」などのAI/データ活用、「Red Hat」などのハイブリッドクラウド製品群、IBMが強みとするトランザクション処理の技術をパートナーのソリューションやサービスに組み込んでもらうとともに共同拡販にも力を入れる。

 ハードウェア階層では従来のパートナー担当部門だけでなく、メインフレームやストレージなどの製品担当部門も新しくパートナー支援に加わり、営業や技術の両面で伴走していく。山口社長は「パートナーとの協業なくしては日本IBMのビジネスは成り立たない」とパートナー重視の姿勢を明確にする。
この記事の続き >>
  • 製品担当もパートナーを直接支援
  • 重点分野で事例を増やす

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