Special Feature

相次ぐITベンダーの再編の狙いとは 拡大する需要の取り込みへ対応強化

2024/12/16 09:00

週刊BCN 2024年12月16日vol.2041掲載

 2024年が終わりに近づく中、ITベンダーによる買収・組織再編が相次いで発表された。子会社の吸収や競合との統合を通じて、拡大を続ける需要への対応力を高める狙いが伺える。さらなる成長を見据えた各社の取り組みを紹介する。
(文/大畑直悠、安藤章司、堀 茜、藤岡 堯)
 

NEC
ネッツエスアイを完全子会社に 自治体、中堅・中小向けリソースを最適化

 NECは上場子会社のNECネッツエスアイの普通株式の約5割を公開買い付け(TOB)によって取得し、完全子会社化する。中堅・中小企業向けビジネスを展開する完全子会社のNECネクサソリューションズの事業基盤と統合し、地方自治体や中堅・中小企業向けビジネスのリソースの最適化に向けてグループの再編を図る。IT・ネットワークを統合したDXソリューションをコンサルティングからSI、工事、保守まで一気通貫で提供する事業体制を構築する方針だ。

 買収後は中間持株会社を設置し、傘下にネッツエスアイとネクサソリューションズを配置して一体的な経営を目指す。またNEC本体の消防防災事業と中堅・中小企業向け事業をそれぞれネッツエスアイ、ネクサソリューションズに承継する。ネッツエスアイ買収後は株式を非公開化し、一般株主との間の潜在的な利益相反のリスクを解消するとともに、NECグループの意思決定の迅速化と事業改革や成長領域への進出に向けた中長期的な投資につなげる。

 ネッツエスアイは地方自治体を含む全国の顧客に対し、さまざまなベンダーの製品を組み合わせたシステムの提案のほか、グループ内でネットワークソリューション領域の中核企業として、工事の施工までカバーした事業の展開で強みを発揮してきた。ここに、東名阪エリアで自治体や中堅・中小企業向けITサービスや業種別のノウハウ、アプリケーション開発を提供してきたネクサソリューションズのリソースと、NECの先進テクノロジーを共通基盤上で上流から下流まで一貫して提供する「BluStellar」などを掛け合わせてシナジーの創出に取り組む。

 NECの森田隆之社長は10月29日に開いた決算説明会で、「中堅・中小企業向けのDXの本格化や、デジタル田園都市国家構想の下で自治体のデジタル化のビジネスが加速している」と説明。その上で「各自治体システムのデジタル標準化が進展していく中、建設業法に基づく工事対応が必要になる。従来はグループ内でリソースが分散していたが、再編で自治体や中堅・中小企業に対して、全国規模のデリバリーや、工事を含めたきめ細かな対応が可能なユニークなDXを提供できる事業体ができるだろう」とグループ再編に期待を示した。

 買い付け期間は12月11日まで。買い付け代金は2355億円。全株式を取得できなかった場合はスクイーズアウト手続きで強制的に獲得する予定だ。
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