Special Feature

大手電機3社の上期決算 上昇基調の中、より高水準の業績確保へ

2024/11/18 09:00

週刊BCN 2024年11月18日vol.2037掲載

 SI事業を手がける大手電機メーカー3社の2024年度上期決算(24年4~9月)が出揃った。上昇基調が続く国内のニーズを取り込み、各社とも堅調な結果を残している。当面は安定した景況が見込まれる中、各社は採算性の向上やリソースの最適化に注力するなど、より高い水準の業績確保に向けて動き出している。
(取材・文/藤岡 堯、大畑直悠、堀 茜)
 

富士通
主力の採算向上で大幅増益Uvanceは成長続く

 富士通は売上収益が前年同期比0.9%減の1兆6966億円とほぼ前年同期並みだったものの、調整後営業利益は56.6%増の795億円と大幅に上振れした。主力の「サービスソリューション」セグメントでの増収効果と採算性の改善が大きく寄与した。オファリングを中核とする事業モデル「Fujitsu Uvance」は、サービスソリューション全体に占める売上構成比が20%に達し、中期経営計画の最終年度となる25年度の目標である構成比30%の実現も具体性を帯びている。磯部武司・副社長CFOは「受注、売り上げとも好調。目標に向けて力強いペースの進ちょくだ」と手応えを示した。
 
富士通
磯部武司 副社長CFO

 サービスソリューションの売上収益は3.4%増の1兆175億円、調整後営業利益は252億円増の887億円で、調整後営業利益率は8.7%と前年同期の6.4%から上積みを果たした。国内市場でのDX・モダナイゼーション需要が力強く、国内で7%の増収だった。特にモダナイゼーションはDXやクラウド移行への導線としてのニーズが拡大し、Uvanceを除いた売上収益は69%増の828億円に上った。セグメントの売上総利益率は前年同期の32.5%から35.1%へと伸長し、利益面では252億円のプラス効果となった。開発の標準化、自動化、内製化、オフショア活用の拡大に加え、受注時の採算管理の強化も奏功し、磯部副社長は「上期だけ見ると少しできすぎくらいのレベル。このまま継続できるかが一つのポイントだ」と述べた。

 Uvanceは売上収益が31%増の2007億円と好調。テクノロジー基盤の3分野で構成する「Horizontal」領域は14%増の1375億円と堅実な伸びを見せた一方、社会課題解決に重きを置くクロスインダストリー4分野の「Vertical」領域は93%増の632億円と2倍近い成長を記録した。上期の受注実績は30%増で、着実に規模を拡大している。中期計画では24年度で売上収益4500億円の目標を掲げている。現時点で目標値の引き上げは示していないが、磯部副社長は「計画を上回る水準にしたいと強く考えている」と期待を寄せた。

 このほかのセグメントでは「ハードウェアソリューション」が売上収益で4.4%減の4566億円、調整後営業利益は31億円で143億円の減益。前年の国内公共系におけるサーバー・ストレージ関連の大型商談の反動や、為替影響による部材調達コストの上昇などが響いた。「ユビキタスソリューション」は欧州でのビジネス終了を受け売上収益が16.9%減の1086億円だったが、国内への集中で採算性が改善し、調整後営業利益は23億円増の113億円。「デバイスソリューション」は為替によるプラスなどで3.3%増の1474億円、調整後営業利益は44.1%増の134億円だった。

 上期では社外転進者に対する支援制度の拡充費用として約200億円を計上した。間接部門の幹部社員を対象とするが、具体的な人数は明らかにしていない。費用計上に伴い、通期の調整前営業利益は当初計画から200億円減の3100億円に下方修正した。調整後営業利益は3300億円から変更しない。
 
 
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  • NEC パブリック領域がけん引 組織再編でリソース最適化
  • 日立製作所 旺盛なDX需要が追い風 Lumada事業が拡大

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