Special Feature
大手製薬会社で進むDX データ活用やAIでビジネスの価値向上目指す
2024/10/31 09:00
週刊BCN 2024年10月28日vol.2035掲載
(取材・文/大向琴音)
野村総合研究所
既存業務の効率化に大きなポテンシャル
製薬会社は、中核事業である医療用医薬品の価値がある程度確定しており、一般的にビジネスの基盤は強固である。一方で、既存事業に多くの人員やコストが割かれているため、効率化の余地は大きい。このことが、製薬各社がDXに注目する要因の一つとなっている。DXの目的としては、新薬創出、業務効率化、売り上げ向上などが挙げられる。創薬の領域で研究開発への新たなデジタル技術の活用が進んでいるほか、製造や営業・マーケティングなどの業務における生産性の向上、医薬品やサービスの販売促進に向けた取り組みが見られる。
企業のDXを支援している野村総合研究所(NRI)は、DX推進のステップを、既存業務の効率化などプロセスやインフラを改革する「DX1.0」、ビジネスモデルを変革し新しいサービスを確立する「DX2.0」、その先の社会課題解決やパラダイム改革を行う「DX3.0」の3段階で定義している。NRIのヘルスケア・サービスコンサルティング部の若林城将・ヘルスサイエンスグループGMによると、製薬会社では既存業務の効率化であるDX1.0の領域に取り組んでいることが多く、「ほかの業界と比べて、企業内のプロセス改革に関するポテンシャルが高い」のが特徴だという。一方で、DX2.0など先のステップに関しては、試験的かつ段階的に取り組んでいる状況だとみている。
デジタル技術活用の可能性としては、研究などデータを取り扱う部分ではデータ分析技術が、副作用情報の収集などの定型的な業務については、生成AIの活用も見込めると指摘。若林GMは「大手製薬会社では、例えば生活改善に近い領域にも取り組んでおり、そういう意味で今後エンドユーザーに直接(サービスを)提供するという例が増えてくると考えている。社内の部分だけでなく、エンドユーザーに対してもDXで貢献していくことができる」と期待を寄せる。
NRIは製薬会社に対し、患者が抱える課題に対してデジタル技術がどのように活用できるかについての検討や、特定の疾患領域に関する患者向けアプリ開発などで支援サービスを提供してきたという。どのようなデジタルツールを活用すべきかについて、事例の調査や選定も実施しており、DXによる製薬事業の競争力向上に向けた知見を積み重ねている。
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