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「第2期」で変わるGIGAスクール市場の勢力図 運用の利便性がシェアを大きく動かす

2024/10/24 09:00

週刊BCN 2024年10月21日vol.2034掲載

 「NEXT GIGA」とも呼ばれているGIGAスクール構想第2期がいよいよスタートする。2020年度から本格化したGIGAスクール構想第1期に整備された「児童生徒1人1台」の端末の更新が目的で、第2期全体では約1000万台の端末の整備が想定されている。だが、新たな課題が生まれるとともに、教育市場におけるPCメーカーの勢力図にも変化が起きそうだ。GIGAスクール構想第2期の前夜を追った。
(取材・文/大河原克行  編集/日高 彰)
 

ベンダーへの要求範囲は拡大

 GIGAスクール構想第2期では、耐用年数を迎えた端末を今後5年程度をかけて計画的に更新することになる。政府による補助金額は、第1期よりも端末1台あたり1万円増額して5万5000円とし、本体とともに、ペンなどの周辺機器、端末管理システム(MDM)なども導入することになる。児童生徒数の15%以内の予備機も補助対象となった。

 すでに発表されている第2期向けの端末を見ると、第1期での反省を生かした改良が進められていることがわかる。例えばNECでは、GIGAスクール端末の修理件数を分析した結果、全体の6割以上が落下による破損だったことに着目。第2期向けとして発表した「Chromebook Y4」では、TPU(熱可塑性ポリウレタン)素材を端末外周に一体成形し、弾力性と強さを実現した。また、ゴム足が取れてしまったという問い合わせが多かったことから、ゴム足の交換を可能にするといった工夫も施した。販売店によるバッテリー交換も可能だ。机の上に置いた鉛筆の芯がUSBポートに刺さらないように、端子の高さを調整するなど、想定外の不具合を防ぐ細かい工夫もある。
 
NECが10月に発表した「Chromebook Y4」。
鉛筆の芯が刺さらない高さに端子を配置した(写真右)

 同社スマートデバイス統括部の加藤賢一郎・上席プロフェッショナルは、「第2期は、すでに環境が整っている中で学びを止めないスムーズな入れ替えが求められ、既設端末のリユースや処分の問題にも対応する必要がある」とし、ベンダー側に必要な対応が第1期とは異なることを指摘する。第2期では、端末の買い取りや処分、データの消去、予備機の保管、キッティングサービスの拡充、物損への対応を含んだサポートなどが、新たに求められる要素になるという。

 第2期では、政府負担で都道府県に基金を創設し、補助金を交付する方式を採用する。第1期の市区町村単位での調達からの大きな変化で、スケールメリットを生かした調達コストの削減や、教員同士の活用ノウハウの共有を促進できることなどが期待されている。

 だが、案件が大型化・広域化することで、前回の調達を支えた地域販社が入札に参加しにくい状況も生まれている。現場の販社からは、「都道府県単位での共同調達によって、大量の端末の供給力をもつことや、集中する出荷時期に合わせたキッティングへの対応力が必要になるほか、与信の観点でも課題が生まれる。共同調達に対応できるのは、大規模な全国系販社や通信事業者に限定される可能性がある」との声が挙がる。

 調査会社のMM総研は8月、GIGAスクール構想第1期で端末を納品した事業者43社に聞き取り調査を実施した。それによると、「第2期の共同調達に応札する」と明言したのはわずか4社にとどまったという。

 さらに事態をややこしくさせているのが、Windows 10の延長サポートが25年10月に終了するため、GIGAスクール第2期とPCの買い替え需要がピークを迎える時期が重なるという点だ。
 

 MM総研は、7~8月に全国1741の全ての市区町村への電話調査を実施。1279の市区町村から有効回答を得た。その結果、第2期での端末調達を25年度に行う市区町村が全体の68%に上ることがわかったという。文部科学省の計画でも、25年度までに全体の約7割を整備することとなっており、特需期とピークが重なる。PCの調達や流通がさらに混乱する可能性があるというわけだ。
 

 調達予定の端末単価は、政府補助金の範囲内である5万5000円以内とする市区町村が71%を占めた。5万6000円以上は15%で、そのなかでは6万円台が多く、最大では8万円台を想定している自治体もあったという。
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