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製品はプライベートクラウドに焦点 米Broadcomが「VMware」の年次イベントを開催

2024/10/03 09:00

週刊BCN 2024年09月30日vol.2031掲載

【米ラスベガス発】米Broadcom(ブロードコム)は8月26~28日(現地時間)、米ラスベガスで「VMware Explore 2024」を開催した。米VMwareの買収後初めて行う年次イベントで、企業のプライベートクラウド活用の支援に焦点を当てた戦略を披露した。クラウド環境の構築や管理、運用のための統合基盤「VMware Cloud Foundation(VCF)」に各製品を統合したことによるITインフラ運用の簡素化など、買収後の製品体系やライセンス体系の変更で生まれたメリットを説明した。
(取材・文/大畑直悠)
 

「エンタープライズITインフラの未来がある」

 ブロードコムは2023年11月のVMWareの買収後、売り切り型の永続ライセンスを終了し、従来のCPU単位からコア単位で課金するサブスクリプションライセンスに切り替えるなど、製品提供体系を見直した。加えて、これまでサーバー仮想化基盤の「vSphere」、ストレージ仮想化の「vSAN」、ネットワーク仮想化の「NSX」、マルチクラウド管理の「Aria」の四つのユニットの下で168種類あった製品やエディションを、大企業・中堅企業向けの統合製品となるVCF、中堅・中小企業向けに基本的なサーバー仮想化環境などを提供する「VMware vSphere Foundation」など、四つのエディションに集約した。

 このうち、今後の製品展開の主軸となるのがVCFだ。イベント初日の基調講演でホック・タンCEOは「エンタープライズのITインフラの未来はプライベートクラウドにある」と力を込め、VCFによる顧客のクラウド環境の構築・運用の支援を基軸に据える方針を明確に示した。
 
ブロードコム ホック・タン CEO

 タンCEOは、「10年前に企業の経営層は、パブリッククラウドがもたらすメリットにまるで恋をしているようだったが、今ではコストの高さや運用の複雑性、コンプライアンス管理の煩雑さといった課題を抱えており、オンプレミスに回帰する大きな動きが生まれている」と指摘。その上で「パブリッククラウドの柔軟な拡張性などは適宜活用しつつも、プライベートクラウドがAI、データなどの自由なコントロールを可能にし、イノベーションをけん引するだろう」と続けた。

 ここでの「プライベート」には、ユーザー企業が自社で保有するデータセンターだけでなく、パートナーが保有するデータセンターなども含まれる。データのプライバシーやセキュリティーの制御、一貫したポリシーの適用を担保し、統一された管理基盤で運用可能なクラウド基盤という意味が込められている。

 加えてタンCEOは、買収後のVMware製品について、「三つのことを約束する。まずは製品群の簡素化。二つめは製品の機能強化や連携性を高めることへの投資、三つめはパートナーや顧客のエコシステムをさらに強化することだ。彼らの成功がわれわれの成功でもある」と呼び掛け、プライベートクラウドの構築・活用に向かう顧客ごとの習熟度に応じて、ITインフラ運用の段階的なモデルを提示することで、そのメリットを享受できるように支援していくとした。
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