Special Feature

SAPのERP製品移行ビジネスの今 クラウドで競争力を確保へ

2024/08/12 09:00

週刊BCN 2024年08月12日vol.2026掲載

 国内企業で、基幹システム(ERP)の刷新が大きな課題になっている。経済産業省が、老朽化した基幹システムを放置すると大きな経済損失が生まれると警鐘を鳴らしている「2025年の崖」問題に加え、国内で最も多く採用されている独SAP(エスエーピー)のERP製品のうち、「ECC6.0」は、2027年末に標準保守期限を迎える。IT人材不足などから、必要とする企業のシステム刷新が期限に間に合うかという不安もつきまとう中、企業の競争力確保を支援するため、SAPジャパンはクラウド製品への移行を促している。実際にシステム構築を担当するSlerや移行効率化を支援するベンダーなどに、ERPモダナイゼーションに取り組む現状と課題を聞いた。
(取材・文、堀 茜、大向琴音、安藤章司、藤岡 堯、大畑直悠)
 

SAPジャパン
「RISE」を選択する顧客が中心待ったなしで案件増加

 SAPは、ERP製品の顧客企業に対し、従来システムからクラウドサービスへの移行を促している。15年から販売している「S/4HANA」を中核とするクラウド型のオファリングとして、「RISE with SAP」と「GROW with SAP」を展開。ECC6.0など従来のSAP製品を使っている顧客は、移行に際しRISEを選択するケースが多いという。レガシーシステムで構築したアドオンなど顧客固有の環境をそのままクラウド移行できる点が、多くの企業が選ぶ理由の一つ。企業規模やアドオンの量にもよるが、移行にはおおむね1年から2年程度を要する。

 GROWは新規導入が対象となるが、ECC製品からの切り替えにあたり、従来構築したシステムの移行ではなく、一から構築し直す選択をしてGROWを採用するケースもある。アドオンに対応せず業務を標準化しシステムを導入する「Fit to Standard」を追求した製品のため、要件定義期間を短縮でき、半年から1年程度と比較的短期間で移行が可能だ。大企業では、本社がRISE、関連会社がGROWを採用する「2層ERP」を選ぶ事例も出ている。
 
SAPジャパン 増田 剛 事業部長

 顧客のS/4HANAへの移行状況について、SAPジャパンEnterprise Cloud事業統括本部S/4HANAクラウド事業部の増田剛・事業部長は、「ERPのマイグレーション案件は着実に増えている」と述べ、国内の顧客増加率に手応えを感じているとした。ECC6.0のサポート終了まで3年半となる中、「駆け込み需要というか、待ったなしで進めていこうという企業が増えている実感はある」と話す。
この記事の続き >>
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