Special Feature
顧客対応で活用広がる生成AI ユーザー満足度を高め省人化も
2024/08/08 09:00
週刊BCN 2024年08月05日vol.2025掲載
(取材・文/堀 茜、大畑直悠)
NTTコミュニケーションズとトランスコスモス
独自LLM「tsuzumi」をコンタクトセンター向けに展開
NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は7月17日、企業の間接業務を請け負うBPOでトランスコスモスと協業すると発表した。NTTが開発した独自のLLM「tsuzumi」に、コンタクトセンターをはじめとする幅広いBPO事業を展開するトランスコスモスのノウハウを掛け合わせ、生成AIを活用したコンタクトセンター向けソリューションを共同開発し、2024年度中に提供を始める。協業の背景について、トランスコスモスの牟田正明社長は、オペレーターの人材不足や、カスタマーハラスメントなど顧客からの問い合わせ対応の難解化といった課題解決のため、生成AIへのニーズは高い一方、導入に際してはプライバシー確保の懸念から万全のセキュリティー対策が求められると解説。電話での問い合わせが減少し、SNSやチャットなどテキストコミュニケーションが好まれるとのユーザー動向調査結果を示した上で、「これらの課題を解決するコンタクトセンターソリューションを開発していく」と述べた。
NTTコムは24年3月から、tsuzumiの商用提供を開始。500件超の導入相談が寄せられ、CX(顧客体験)・顧客対応改善が希望する用途の3割超を占めた。金融や保険業界を中心に、コンタクトセンターやフロント顧客対応の効率化に使いたいというニーズが高い。
共同開発するソリューションについて、NTTコムの小島克重社長は「トランスコスモスのデータ作成サービスの活用によるAIの回答精度の高度化、クローズドデータの利用によるセキュリティーの担保、対話型AIによる回答の自動化の三つの価値を提供する」と説明した。
tsuzumiは、性能の指標となるパラメーター数が70億。グローバルのオープンモデルと比較して軽量かつCPUで動作するため、顧客の自社環境下でも安全に利用できる。高いカスタマイズ性も特徴で、業界や組織の保有データを効率的に学習できるという。
まずはチャットの応対から始める。利用者がチャットに質問事項を入力すると、AIが要望に応じた最適な回答を提示する。オペレーターの応対時には、画面上で専門的な回答を提示することで、電話応対の心理的負担を軽くするといった活用を想定している。「(問い合わせの)最終手段として電話は残るので、当社の強みである電話での対応も組み合わせていきたい」(小島社長)として、段階的に生成AIによる音声の自動応対に向けた開発も進めるとした。
小島社長は「業界特化もしくは個別企業での活用を想定し、しっかりとデータをインプットすることで性能は出ると考えている。tsuzumiは日本語の表現も優れているので、国内で多く利用していただけるだろう」と展望した。
牟田社長は、自社が提供している米OpenAI(オープンAI)の「ChatGPT」を使ったコンタクトセンター向けソリューションとの違いについて「安全性、日本語での回答精度、コスト面では、既存製品を超える可能性が非常に高い」と期待を寄せた。高いセキュリティーが求められる金融業界などを中心に、27年末までに100社の導入を目指す。
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