Special Feature

成熟市場での協業は新たなロールモデルになるか ETRIAが描く青写真

2024/07/25 09:00

週刊BCN 2024年07月22日vol.2023掲載

 リコーと東芝テックの合弁会社であるエトリア(登記名。通称はETRIA)が、2024年7月1日に事業をスタートした。ETRIAはMFP(複合機)の共通エンジンの開発・生産を手掛け、25年度以降に両社に供給する。成熟し、縮小傾向にあるMFP市場において、競合メーカーが協業する取り組みは注目を集めている。国内企業の新たなロールモデルとしても期待されるETRIAは、どのような青写真を描いてるのか。
(取材・文/大河原克行、編集/藤岡 堯)
 

社名の由来

 ETRIAの社名には複数の要素がある。社名の中心は「Try」、先頭に「Eternal」、Tryの後は「Innovation」、末尾には「Alliance」からそぞれ採用している。中田克典社長は、「トライを続け、イノベーションを起こし続ける役割を担う企業だ。そのために業界の垣根を超え、競合とも手を取り合って、アライアンスを行うことが重要であるという思いを込めた社名」と説明する。


 ETRIAは、MFPなどの開発・生産に関する事業を統合するとともに、新たにA3MFP向け共通エンジンの開発・生産・供給を目的に設立した合弁企業となる。資本金は5億円。リコーが85%、東芝テックが15%を出資する。従業員数は約3200人で、海外の生産拠点を含むグループ全体では約1万1400人の規模になる。リコーからは約8400人、東芝テックからは約3000人が異動。社長には、リコーのコーポレート専務執行役員である中田克典・リコーデジタルプロダクツビジネスユニットプレジデントが就いた。中田社長は、「MFPという成熟した業界において革命を起こし、未踏の領域に挑戦することで他業界のロールモデルとなり、新たな歴史を創造したい」と抱負を述べている。
 
中田克典 社長

 中田社長が指摘するように、MFPは成熟市場であり、規模は縮小傾向にある。今回の新会社設立には、こうした市場動向の変化が大きく影響している。ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)によると、23年のMFPの出荷台数実績は、国内が前年比7.1%減の44万8636台、海外は同2.4%減の314万8305台、国内外全体で同3.5%減の359万6941台となった。15年には488万9044台の出荷規模を誇ったが、ペーパーレス化が進展した影響を受けたのに加えて、コロナ禍ではオフィスへの出社が減少するとともに、デジタル化が一気に加速。これに伴って、MFPの出荷台数は大幅に減少。現在でも、コロナ禍前の水準には戻らず、15年比で約4分の3の市場規模にまで縮小している。

 日本のMFPメーカーは、市場規模の縮小という課題に直面しているだけではない。中国政府によるMFP国産化施策の推進を受け、中国メーカーがグローバルで台頭し、世界市場の勢力図にも変化が起き始めている。世界のMFP市場の約8割は日本のメーカーが占めており、日本の重要産業の一つとなっている。経済産業省も「MFPは、メカトロニクスをはじめ、光学や化学、ソフトウェアなどの広い技術のすり合わせが必要なハイテク産業であり、日本企業が高い競争力を有している。産業政策上、重要な分野」と位置づける。
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  • すみ分けで両社のシェア拡大
  • ものづくりを抜本的に変革
  • 他業界にもプラス効果を

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