Special Feature
日本HPの成長戦略 PC、プリンティングの需要拡大に盤石の構え
2024/06/17 09:00
週刊BCN 2024年06月17日vol.2018掲載
(取材・文/大河原克行 編集/藤岡 堯)
日本HPは、PCを中心としたパーソナルシステムズ事業と、産業用プリンターを中心としたプリンティング事業を主軸とする。決算公告によると、23年10月期の業績は、売上高が前年比7.2%増の2338億円と増収。営業損益は前期から83億円の赤字幅縮小となったものの、12億円の損失に終わった。経常利益は22.1%減の62億円、当期純利益は38.0%減の34億円といずれも減益で、コロナ禍前の業績に回復するまでにはもう少し時間がかかりそうだ。だが、23年11月から始まった24年度において、同社は成長戦略に向けた取り組みを加速している。PCとプリンティングの各領域における施策を見ていこう。
同社は国内PC市場におけるブランド別シェアで、2年連続で首位となっている。四半期別では、9四半期連続でトップシェアを維持している。23年度の国内PC出荷が過去最低を記録するなど市場が低迷し、厳しい環境であったのは明らかだが、ここにきて市場が回復基調にあるのは明るい材料だ。
電子情報技術産業協会の国内PC出荷統計でも、すでに23年度下期から出荷台数は前年同期比プラスに転じており、4月以降も前年実績を上回ると見込まれている。その背景には、法人向けPCの市況回復や、根強いテレワーク需要の継続に加えて、25年10月に予定される「Windows 10」のサポート終了に伴う買い替え需要の顕在化、24年度から一部スタートするGIGAスクール構想第2期による教育分野での端末更新需要といった追い風もある。こうした特需の恩恵を最も大きく受けるのはトップシェアメーカーであることは間違いなく、その立場にある日本HPは、特需を捉えた事業拡大の準備に余念がない。
- 三つの重点領域の観点で体制強化
- 産業印刷分野のデジタル化に期待
- 活用増える3Dプリンティング
- 「コンピューター」から「コンパニオン」へ
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