Special Feature

ITベンダーの「Copilot」ビジネス 強みを生かした戦略で差別化図る

2024/06/10 09:00

週刊BCN 2024年06月10日vol.2017掲載

 米Microsoft(マイクロソフト)の生成AI機能「Copilot」の利用拡大に向け、ITベンダーが新たなビジネスの立ち上げを進めている。直近では「Copilot for Microsoft 365」向けの導入支援サービスが続々と登場し、「Copilot for Security」向けのサービスを提供する動きも。企業の間でAI活用が盛り上がる中、市場で選ばれるためには差別化が欠かせず、各ベンダーは強みを生かした戦略で商機の獲得を目指している。
(取材・文/齋藤秀平、大畑直悠、岩田晃久、安藤章司)
 

大塚商会
先行導入で培ったノウハウを提供

 大塚商会は、2023年11月から「Copilot for Microsoft 365 まるごと支援サービス」の提供を始めた。同年8月から自社内300人規模に早期導入したことで得たノウハウを生かし、導入前のセミナー、ワークショップの開催や検証、運用開始後の活用アドバイザリーなどを一貫してサポートしている。発表当初に掲げた6月末までに120社の導入を目指す計画は既に達成した。

 MM本部クラウド基盤プロモーション部マイクロソフトソリューション1課の高口渉氏は「Copilot for Microsoft 365は、適切なプロンプトの入力が必要になるなど、使いこなすまでにそれなりの時間がかかる。導入前後のどのフェーズであっても、早く成果を出すために支援できるのは当社の強みだ」と訴える。プロンプトの入力については、電話で相談を受けるサービスの展開を検討しており、顧客が活用に関する支援をより手軽に受けられるようにする。
 
大塚商会 高口 渉氏

 販売ターゲットについては「Microsoft 365を利用する全てのユーザーが業務効率化できる」とし、大手から中堅・中小企業まで幅広く訴求する。地方の企業への導入も促す考えで、高口氏は「人材不足などの課題を抱えている地方企業にこそ利用してもらいたい。(サービスを開始した)23年11月から各地でセミナーなどを開催してきたが、注目度は確実に上がってきており、具体的な利用に向けて関心が高まっている」と紹介。今後も地方向けに情報を提供したり、ハンズオンなどの機会を創出したりする方針だ。

 高口氏は「(Copilot for Microsoft 365の導入は)顧客が抱える課題を深掘りするいい機会になる」と話し、「Share Point」や「One drive」へのデータの集約やアクセス権限の設定を通して、「Microsoft 365」の利用環境の整備にもつながっているとみている。

 また「課題をヒアリングする中で、Copilot for Microsoft 365よりも適したソリューションがある場合は多くあり、当社が取り扱う商材の中から最適なものを提案することもできる」と語り、ビジネスの広がりに期待を寄せる。

 具体的には、用途に応じて生成AIを搭載した会話型インターフェースをカスタマイズできる「Microsoft Copilot Studio」や、RPAを用いた自動化の提案につながる場合が多いという。「Excel」を用いてデータを分析する場合、Copilot for Microsoft 365では分析対象にできるセルの容量が限定されることから、データ分析に特化したAIを提供する米dotData(ドットデータ)のソリューションを提案するケースも生まれていると紹介する。
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