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メールが届かない? 求められる送信ドメイン認証技術への対応

2024/06/06 09:00

週刊BCN 2024年06月03日vol.2016掲載

 米Google(グーグル)は2023年10月に「メール送信者のガイドライン」のアップデートを公表し、24年2月から試験的に運用を行い、4月から適用を開始した。ガイドラインでは、送信ドメイン認証技術への準拠や、ワンクリック登録解除の実装などが求められている。対応していない場合は、個人用「Gmail」アカウントの「@gmail.com」「@googlemail.com」にメールが届かなくなるとされていることから、特にECをはじめとしたBtoCビジネスでは、大きな影響が出ると予想される。ガイドラインに対応していくためのポイントを考察する。
(取材・文/岩田晃久)
 

送信件数により異なる要件

 電子メールにおいては、不正メールや迷惑メールが長年問題視されており、最近はなりすましメールによる被害が拡大傾向にある。グーグルはガイドラインを強化、明確化することで、メールによるセキュリティー被害を防止する狙いだ。

 今回のガイドラインは、Gmailアカウントに対して1日に送信するメールが5000件未満か、5000件以上かで適用される要件が異なる。共通要件としては、▽送信元のドメインまたはIPアドレスに、有効な正引きおよび逆引きDNSレコードがある▽「Postmaster Tools」で報告される迷惑メール率を0.3%以下にする▽メッセージ形式がRFC 5322標準に準拠している▽Gmailのなりすましをしない(Fromアドレスを@gmail.comとしてメール送信しない)▽TLS接続してメール送信する―などが挙げられる。

 特に注意したいのが、迷惑メール率に関する要件だ。Postmaster Toolsはグーグルが提供するツールで、メールの配信エラーや、迷惑メールが報告された数などを確認することができる。迷惑メール率を低い状態を維持するために、信頼性の低いサイトのURLを記載しないなど、スパムメールと疑われる内容にしないといった基本的なことや、後述する送信ドメイン認証技術に対応していくことが有効となる。

 1日に5000件以上のメールを送信する場合は、上記の要件に加えて、▽SPF(Sender Policy Framework)レコードおよびDKIM(DomainKeys Identified Mail)署名の設定(5000件未満の場合は、SPFまたはDKIM署名が必要)▽DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)を設定する▽マーケティング/配信登録メールをワンクリックで配信停止できるようにする―の各点への対応も求められる。注意したいのは、5000件の中にサブドメインも含まれることだ。

 4月からはSPF、DKIM、DMARCに対応していないメールが、6月からはワンクリック配信停止を施していないメールが徐々に届かなくなっているとされる。
 
NRIセキュア テクノロジーズ 斉藤弘之 グループマネージャー

 NRIセキュアテクノロジーズのクラウドセキュリティ事業部の斉藤弘之・グループマネージャーは「SPF、DKIM、DMARCの三つの送信ドメイン認証技術に対応しなければならないことが、ガイドラインの大きなポイントだ」と述べる。ワンクリック配信停止についても「ガイドラインで強く書かれているため、強制力が高くなっていく可能性がある」との見解を示す。
この記事の続き >>
  • 複雑なDMARCの運用
  • メール配信システムもガイドライン準拠
  • ワンクリック配信停止の実装が必須に
  • 米Yahoo!、米Appleもガイドラインを強化

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