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主要SIerの2023年度決算 国内堅調も北米減速の影響受ける 海外ビジネスの立て直しがかぎ

2024/05/27 09:00

週刊BCN 2024年05月27日vol.2015掲載

 主要SIer3社の2023年度(24年3月期)決算は、国内事業を中心に堅調に推移したことで売上高、営業利益ともに増収増益で着地した。海外売上高比率の高いNTTデータグループと野村総合研究所(NRI)は、主に北米の金利高などによるIT投資の減速で苦戦。成長市場のASEANを主な進出先としているTISは、海外の事業環境の変化の影響は限定的だった。NTTデータグループは、データセンター(DC)事業などを手がけるNTT Ltd.(NTTリミテッド)が通期で連結対象となったことで25年度までの中期経営計画を4兆円強から4兆7000億円へと上方修正。NRIは25年度までの中計売上高8100億円の目標を据え置く。TISは26年度までの新中計で売上高6200億円、うち海外売上高1000億円を目標に掲げる。
(取材・文/安藤章司)
 


 

NTTデータグループ
NTT Ltd.フル連結で大幅伸長

 NTTデータグループの連結決算は、英国に本社を置くNTT Ltd.が通期で連結対象となったことから、売上高は前年度比25.1%増の4兆3673億円、営業利益は同19.5%増の3095億円と大きく伸びた。NTT Ltd.が海外でDCビジネスなどを手がけているため、海外売上高も前年度比41.2%増の2兆6545億円、EBITA(利払い・税引き・無形資産減価償却前利益)は同49.2%増の1665億円へと大幅に拡大している。

 既存のSIビジネスを見ると、金利高などで事業環境が必ずしも良好でない北米の売上高が前年度比1.3%減の5867億円と振るわず、円安の為替影響で373億円のプラス効果があったものの減収となった。NTTデータグループの本間洋社長は「利益率を重視し案件を厳選した」とし、北米のEBITAは前年度比でプラス4億円の423億円を確保。事業統合費用など一過性の費用を除くと43億円の増加で着地している。
 
NTTデータグループ 本間 洋 社長

 EMEA(欧州・中東・アフリカ)中南米地域の既存SIビジネスは、為替のプラス影響もあり売上高で前年度比19.6%増の8285億円、EBITAで同25.8%増の376億円と大きく伸びた。国内は公共、金融、法人の各事業セグメントがともに好調に推移し、売上高で前年度比6.2%増の1兆7570億円、営業利益で13.9%増の2151億円と着実な伸長を果たした。NTT Ltd.を除く既存SIビジネスは、国内とEMEA中南米の伸びが低調だった北米をカバーし、全体を押し上げたかたちになっている。

 NTTデータグループは23年度、海外事業の事業統合や構造改革の費用として460億円余りを投じてITインフラの統合や不採算事業を縮小、撤退させた。24年度はさらに300億円の予算を組んでグループ全体の事業統合を推し進め、相乗効果を高めていく。NTT Ltd.のDC事業では23年度3905億円を投じて13カ所のDCを新設。足元で世界約30都市、約120棟のDCを展開するまで拡大させている。

 DC事業やネットワーク構築を強みとするNTT Ltd.と既存SI事業との連携を深めた成果として、23年度は「受注ベースで1300億円を超える相乗効果を得られた」(本間社長)。NTT Ltd.と各国・地域の既存SI事業会社を連携し、北米のフォークリフトメーカー向け交通管理基盤の構築案件や、北米大手生命保険会社向けITアウトソーシング案件、南アフリカの製薬企業向けに「SAP S/4HANA」移行プロジェクトなどを、NTT Ltd.を含むグループ連携によって受注している。

 NTTデータグループでは25年度までの3カ年中期経営計画で、連結売上高4兆円超を目指すとしていたが、NTT Ltd.がフル連結となったことを受けて、25年度の目標を4兆7000億円に設定し直した。M&Aや構造改革など一時的な費用を除く連結営業利益率を足元の8.5%から10%、海外EBITAを8.6%から10%へ高める目標は据え置く。

 6月には国内事業会社であるNTTデータの佐々木裕社長が、持ち株会社のNTTデータグループ社長を兼務するとともに、海外事業会社NTT DATA, Inc.の社長にアビジット・ダビー・エグゼクティブ・バイス・プレジデントが就任する新体制へ移行し、中計目標達成を目指す。
この記事の続き >>
  • 野村総合研究所 国内好調で海外減収を跳ね返す
  • TIS 戦略ドメイン比率80%に高める

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