Special Feature

活発化するメインフレームのモダナイゼーション 成功につながるアプローチとは

2024/05/20 09:00

週刊BCN 2024年05月20日vol.2014掲載

 メインフレームのモダナイゼーションが、活発化している。変化の激しい市場環境に対応するためにシステムの柔軟性や俊敏性が求められ、刷新の必要性が高まる一方で、コストがかさむことや、移行作業が複雑化するなど、取り組む上で課題は多い。クラウドを含め、企業が選択できるアプローチが増える中、モダナイゼーション(最新化)を成功に導く要因は何か。各社の戦略から探る。
(取材・文/安藤章司、大畑直悠、大向琴音)
 

キンドリルジャパン
三つの刷新手法を組み合わせ

 マルチベンダー保守サービスを手がけるキンドリルジャパンは、メインフレーム刷新に当たって、(1)最新機種に入れ替え、(2)データのみ抽出して活用、(3)脱ホストの三つの手法を提示している。キンドリルグループが世界のメインフレームユーザーに主な刷新手法をアンケートしたところ、三つの手法をバランスよく選択し、それぞれの利点/欠点を考慮しながら、「複数の手法を組み合わせてモダナイゼーションするケースが多くを占めた」と、斎藤竜之・メインフレームサービス事業部長は話す。
 

 メインフレームは、所定の時間までに決められた処理を自動で終わらせるバッチ処理に長けており、主に金融機関や大手製造業のユーザーで稼働している。大量バッチ処理を行うのであれば、(1)の「老朽化したメインフレームを最新機種に置き換え、プログラムを最適化し、運用を自動化するなどして維持コストを抑制する手法」(斎藤事業部長)が、オープン系のシステムに移行して大規模バッチ処理を再設計するより手間がかからないとしている。
 
キンドリルジャパン 斎藤竜之 事業部長

 また、近年のデジタル化の進展により、メインフレームで扱うデータ量は年々増える傾向にあり、データ分析を起点とした企業経営の実践や、技術革新が著しい生成AIの活用に当たっては、メインフレームに蓄積されたデータの活用も欠かせない。こうしたケースでは(2)のデータのみ抽出して、クラウド上で分析・活用する手法も有望視される。

 メインフレームで担う基幹システムの処理は従来通り行うため、既存業務に影響を与えることなく、データ活用も同時に行える利点がある。バッチ処理を伴う基幹業務の処理はメインフレームに任せ、データ分析やAI学習用に活用する業務はクラウド上で行う“二刀流”でユーザー企業の競争力を高める手法とも言える。

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