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日立が推進する「OT」と「IT」の融合 大みか事業所で加速するソフト開発、セキュリティー、GX

2024/03/28 09:00

週刊BCN 2024年03月25日vol.2007掲載

 日立製作所は、「OT×IT×プロダクト」の融合を強みに、社会イノベーション事業を成長戦略の柱に据えている。その構成要素の一つである「OT(Operational Technology、産業向け制御技術)」を支えている拠点が、茨城県日立市の大みか事業所だ。歴代社長を輩出した拠点でもあり、OTに関わるハードウェアやソフトウェアの開発、生産のほか、GX(Green Transformation)の実証フィールドとしても活用されている。大みか事業所を訪れ、日立製作所のOTの取り組みに迫った。
(取材・文/大河原克行  編集/日高 彰)
 

「総合システム工場」として操業開始した大みか事業所

 日立製作所の社会イノベーション事業は、50年以上の歴史を持つITと、100年以上にわたって電力や鉄道、鉄鋼、水資源といった社会インフラを支えてきたOT、それらを物理的に実現するプロダクトで構成する「OT×IT×プロダクト」のかけ合わせが強みだ。

 中でもOTの領域では、24時間365日の連続稼働が前提となる重要インフラを安定的に稼働させることが求められるが、日立製作所はそれを支え続けてきた実績を持つ。例えば鉄道分野では正確かつ安全に列車の運行を制御する運行管理システムを提供し、電力分野では発電から送変電、配電のほか、電力会社の情報システムまでを網羅し、電力の安定供給を支えるシステムを構築してきた。公共・産業分野では水の供給を制御するシステムを手がけてきた。

 社会ビジネスユニット制御プラットフォーム統括本部の千葉大春・統括本部長は、「OTで求められるのは、安全性、信頼性の確保、長期稼働の保証である。日立製作所は、社会に貢献するため、重要インフラを支える情報制御システムを、顧客とともにつくり上げてきた。それが日立製作所のDNAとなっている」とする一方、「時代に合わせた機能の刷新が求められている。昨今の『ミッションクリティカルIoT』の分野では、現場システムや基幹システム、外部システムとさまざまなデータを共有し、これをAIによって解析。堅牢性が求められる社会インフラにおいても、社会変化を感知した柔軟な対応を可能にしている」と胸を張る。

 OTの中核拠点となっているのが、茨城県日立市の大みか事業所だ。操業は1969年と55年の歴史を持つが、日立製作所が独自に新設した国内工場としては最も新しい。また、東京ドーム約4個分にあたる20万1000平方メートルの敷地面積も、ほかの生産拠点に比べると規模は小さいほうだ。

 だが、「世界に冠たる総合システム工場」を目指して発足した拠点で、情報制御システムに関する開発、製造、保守、品質保証、運用サポートまでを網羅する一貫体制を持つ総合システム工場として稼働し、業務アプリケーションから制御機器までを開発、生産し、供給する役割を担っている。2020年1月には、世界経済フォーラムが選出する先進的工場である「Lighthouse」に日本企業で初めて選ばれ、名実ともに世界に冠たる総合システム工場であることを証明した。
この記事の続き >>
  • 長期稼働実現のための自律分散フレームワーク
  • 防衛訓練のための専用施設
  • 日立市との連携をGXのモデルに
  • 高効率生産モデルを実現

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