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防災・減災でITが大きな役割 進む自治体とベンダーの連携

2024/03/11 09:00

週刊BCN 2024年03月11日vol.2005掲載

 2011年3月11日の東日本大震災から13年が経過した。国内では、その後も各地で大規模な地震が起こっている。24年1月1日には能登半島地震が発生し、最大震度7を観測した石川県を中心に復旧・復興に向けた対応が続く。災害への意識が改めて高まる中、ITが大きな役割を果たしており、自治体とITベンダーが連携して防災・減災を推進する動きが注目されている。
(取材・文/大向琴音)
 

SAPジャパン
被災者支援の第一歩をアプリケーションで実現

 能登半島地震発生後、SAPジャパンはデジタル技術を活用して避難所データを集約・可視化するアプリケーションを開発し、石川県に提供した。

 避難所の情報は、県の防災情報システムのほか、自衛隊や災害派遣医療チーム「DMAT」のシステムでばらばらに管理されており、避難所の全容が把握できていない状態だった。避難者へ支援を行き渡らせるには、異なるシステムのデータを統合し、指定避難所や自主避難所、孤立集落などを含めた漏れのないデータをつくり、避難所の場所と人数をつかむ必要があった。

 同社は、参画している「防災DX官民共創協議会」からの支援要請を受け、1月7日から対応に取りかかった。設計と開発には、開発プラットフォーム「SAP Business Technology Platform」を活用。1月11日に仕様を固め、翌日にサンプルを作成し、13日に実装した。アプリでは、県や自衛隊、DMATのシステムの避難所情報を収集し、正しい避難所情報の一元管理につなげているという。
 
SAPジャパン 吉田 彰 ストラテジスト

 スピーディーにアプリを開発、提供したが、同社の吉田彰・パートナーエコシステムサクセスストラテジストは「アプリケーションはあくまで暫定措置で、被災者支援のための第一歩としてつくった。ずっと運営されていくものではない」とする。もちろん、今回だけで終わる取り組みではない。刻々と変わる被災地の状況に合わせて、ITを活用した継続的な支援に力を入れる方針だ。

 同社はほかの自治体との連携にも積極姿勢で、浅井一磨・インダストリシニアアドバイザーは「防災に関する協力体制や、本当に必要なアプリケーションをいろいろな自治体の方たちと話し合ってつくっていく」とし、「データ整備や一元化(という技術の部分)はもちろん大切だが、緊急時にどう対応するべきか、どんな体制を取ってどんな対策をするべきかなどを提言していくのも重要だ」と訴える。
 
SAPジャパン 浅井一磨 インダストリ シニアアドバイザー
この記事の続き >>
  • 仙台市 プラットフォームを通じて官民連携で防災を推進
  • アンデックス 地元のベンダーにもメリット 他社とシステムを共同開発
  • Spectee 自治体向けビジネスで新たな商機につながる

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