Special Feature
中小企業での普及を目指す 国内メーカーのUTM戦略
2024/03/04 09:00
週刊BCN 2024年03月04日vol.2004掲載
(取材・文/岩田晃久)
NEC
シンプルな設計とクラウド管理を訴求
NECは、ルーター製品「UNIVERGE IXシリーズ」のオプションとして「UTMライセンス」を提供することで、中小企業のUTM利用を推進している。シンプルな製品設計と、クラウド型のネットワーク管理サービスにより容易に運用できる強みを訴求し、顧客の拡大を狙う。UNIVERGE IXシリーズは、中小規模向けの「IX2000シリーズ」と大規模向けの「IX3000シリーズ」を展開しており、UTMライセンスはすべての機種に適用可能だ。ただ、大手企業や対策が進んでいる企業では、既にほかのベンダーのUTMや次世代ファイアウォールを導入しているケースが大半であることから、UTMライセンスは、低価格の「IX2106」や「IX2107」を導入する中小企業、本社以外の拠点などでの利用が中心だと見ており、年間ライセンス料を5万円と安価にしている。
UNIVERGE IXシリーズは、累計130万台以上の出荷実績があるが、UTMライセンスを利用している企業はまだ少ない状況だという。しかし近年は、中小企業のセキュリティー意識も高まりつつあるため、同社のプラットフォーム・テクノロジーサービス事業部門デジタルネットワーク統括部IX製品統括グループの佐藤友紀・主任は「利用は右肩上がりで伸びている」と手応えを示す。
多くのUTM製品に組み込まれているファイアウォール機能はUNIVERGE IXシリーズに標準搭載されているため、UTMライセンスでは、IPS、アンチウイルス、URLフィルタリング、Webガードの四つの機能を搭載する。機能を絞ることで複雑な設定を必要とせず使用できるため、セキュリティーの専任担当者がいない場合でも使いやすいのが特徴だ。そのほかにも、ユーザーやサーバーごとに適用するセキュリティー機能やポリシーの設定などが行える。
同社は、クラウド型ネットワーク機器管理サービス「NetMeister」の基本機能を無償で提供している。UTMライセンスをNetMeisterに連携させることで、ネットワークの診断結果、ウイルスをはじめとした脅威の詳細などを自動でレポーティングする「UTM脅威レポート」や、ログ解析機能を利用できる。佐藤主任は「セキュリティーの状況を見える化することで、経営層が投資を判断する基準にもなる」と説明。続けて、「NetMeisterの認知度は年々上がっており、利用も増えている。今後は、NetMeisterを軸にルーターやスイッチ製品を普及させていく」と力を込める。
同社の特約店を販路に拡販を進めている。UTMの知識がない販売店には、各拠点の製品担当者が説明したり、商談の場に同席したりして販売しやすい体制を整えている。佐藤主任は「UTMライセンスからセキュリティー対策の強化を開始して、その後、レベルアップした対策を求める場合は、当社が扱うさまざまなセキュリティー製品を提案していく」と述べ、UTMを入り口に中小企業のセキュリティー対策を長期で支援していく方針だ。
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