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拡大が本格化する自動車セキュリティ市場 IT企業にも訪れるビジネスチャンス

2024/02/22 09:00

週刊BCN 2024年02月19日vol.2003掲載

 自動車業界では、「CASE」へのチャレンジが加速している。CASEとは、コネクテッド(Connected)、自動運転(Autonomous)、シェアリングとサービス(Shared and Services)、電動化(Electric)の総称で、自動車社会の未来を切り開くトレンドとなっている。だが、新たな取り組みだけに、ビジネスリスクが潜んでいることも否定できない。特にクローズアップされているのが、サイバーセキュリティ対策だ。その最新動向と各社の取り組みを紹介する。
(取材・文/袖山俊夫  編集/日高 彰)
 

アクセンチュア
攻めと守りの両輪で支援を続ける

 アクセンチュアでエンジニアリング・製造領域のデジタル変革を支援する、インダストリーX本部の加藤雅広・マネジング・ディレクター(以下、MD)は、「CASEのような新しいイノベーションが社会に受け入れられるためには、サイバーセキュリティが非常に重要となる」と強調する。
 
アクセンチュア 加藤雅広 マネジング・ディレクター

 2020年6月には、国連欧州経済委員会のワーキンググループで、自動車のサイバーセキュリティとソフトウェアアップデートに関する新たな国際基準「UN-R155」が成立。「世界中で今、段階的に適用が始まっている。日本でも21年から法規として施行されており、もはや対応しないと事業が成立することができないところまで社会的な要求が高まっている」と説明する。UN-R155のポイントは、車両だけでなく、その車両がつながるバックエンドの情報システムに対しても、セキュリティの担保が求められていることだ。

 法規対応はどう進んでいるのか。加藤MDは「完成車メーカーでは、法規への初回対応は一巡した。次は、プロセスや運用の効率化・高度化というフェーズに入っていく。これを進める際の課題は二つある。一つめが、セキュリティ品質の実装・維持に必要な人材や予算の確保が極めて困難であること。二つめが、グローバルにさまざまなサプライヤーと協業する中で、自動車サイバーセキュリティの有識者が潤沢でないがゆえに、品質管理が難しいことだ。いずれにしろ、自動車セキュリティ人材の母数が少ない」と指摘する。 

 それだけに、ITベンダーにとってはセキュリティ市場に参入するチャンスがありそうだ。

 加藤MDも「ITセキュリティの知見があれば、この市場にある程度入ることができる。メリットも多大にある。なぜなら、さまざまにつながるデバイスの中で、セキュリティの実装が早く始まったのが自動車だからだ。自動車サイバーセキュリティに参入し、IoTのセキュリティを理解しておけば、今後より規模が大きなスマートプロダクトのセキュリティ市場に参入するための地力を付けられる。そのためにも、早めに入り知見を蓄積する必要がある。もちろん、どの領域でいかに他社と差別化しながら入っていくかがポイントだ」と説く。

 特に、24年は参入への絶好のタイミングになるという。「24年は、UN-R155の本格的な展開が一つのマイルストーンを迎える。これまでは、われわれのような最先端領域をフォローしているベンダーに声がかかっていたが、プロセスが決まってきたので、それを実行していけるベンダーへの切り替えが始まるとみている。また、車のソフトウェアをアップデートできるSDV(Software Defined Vehicle)の普及もITベンダーには追い風になる。デバイスの機能がクラウド側に移ってくるからだ」と述べる。

 そうした中で、アクセンチュアはどのような優位性を発揮していくのであろうか。加藤MDは「当社の強みは、設計/生産/アフターセールスで構成される自動車の製品ライフサイクルにおいて、プログラムマネジメントや要件のトレーサビリティ確立、設計によるセキュリティのつくり込み、OT(産業向け制御技術)セキュリティ、セキュリティインシデントへの対応、E2E(End to End)セキュリティテストなど、六つの要諦を全部カバーできることだ。自動車開発の最初から最後まで伴走できる体制にあるだけに、多くの完成車メーカーや、(完成車メーカーに部品を直接納入する)ティア1サプライヤーを支援している」とアピールする。

 さらに、今後に向けた同社の取り組みについて加藤MDは「『イノベーションを止めない』というコンセプトで、自動車サイバーセキュリティの領域は引き続き発展していくと考えている。そうした中で、当社は自動車業界に新たな価値を創出する『攻めの活動』と自動車セキュリティという『守りの活動』の両輪で取り組んでいきたい」と期待を寄せている。
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  • アズジェント 早くから市場に着目し狭く深く入り込む
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